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ロード・オブ・ロード〜零白の皇〜  作者: スメラギ・零
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三章-十二節【白き騎士と剛腕巨龍】

城の残骸の上で並び立つ漆黒の龍と純白の麒麟の2人に相対するは、翠色の狩人【レラジェ】と紫の巨龍【アスタロト】。


狩人ーー【レラジェ】の【起源(オリジン)顕鎧(・メイル)】を纏ったXIV(フォーティーン)】は三角帽子状のヘルムのつばを弄りながら、巨龍ーー【アスタロト】の【起源(オリジン)顕鎧(・メイル)】を纏った【XXIX(トゥエンティナイン)】は巨大な両に剛腕同士を打ち鳴らしながら、相対する漆黒の龍ーー零牙と純白の麒麟ーーレリウスを挑発する様な雰囲気で見据えていた。

「「・・・・・・」」

沈黙し相手の出方を窺う零牙とレリウスに、アスタロトが馬鹿にした様な口調で言う。

「どうしたよ?こねぇのか?・・・ま、こっちからいくけどなぁ‼︎」

そう言って間髪入れず、アスタロトは両の剛腕を2人に向けーー

ーードドドドドドドドドドドドドド‼︎

両腕に備わるガントレットから、マシンガンの如き連射速度で鋭利な(パイル)を乱射した。


「「・・・!」」

零牙とレリウスは同時に上空へと飛び、アスタロトの攻撃を回避した。


「ハッ!オラオラオラ‼︎俺様のパイルから逃げられると思うなよぉ‼︎」

上昇した2人を追う様に、アスタロトは両腕で再度狙いすまし、先程よりも更に連射レートを上げて2門のガトリングで斉射している様な無数の(パイル)による弾幕が2人を襲う。

零牙とレリウスは、アスタロトが張る弾幕を最小限のスウェー機動で躱し続ける。

並の者には回避困難な弾幕に晒されながら、2人は常に敵対者を観察していた。

鋭く舞い踊る様に回避を続ける零牙とレリウスを見て、アスタロトは笑い声をあげ、レラジェは感心した声を出す。

「ハハハハハハハハハハハ‼︎そら、踊れ踊れぇ‼︎」

「ほう?よく動きますね?では私もーー」

レラジェが攻撃に加わろうとした瞬間ーー

ーーブォォォォォォォォ‼︎

翼がはためく様な連続音が響くと同時に、零牙が残像を撒き散らしながら突撃を仕掛けた。

「ハッ、甘ぇんだよ‼︎」

アスタロトは両腕を超高速で迫る零牙に向け、弾幕を集中させた。

零牙は自身に集中される弾幕を稲妻の如き超高速残像機動で縫う様に回避しながら、アスタロトに肉薄するがーー

「・・・ッ!」

直線的な射線である無数の(パイル)の中に、別の“物体”を感知した零牙は弾幕から逃れる為、一瞬の急制動から急上昇で再び上空に飛翔した。

そして零牙を追ってきたのは(パイル)では無く、その弾幕に紛れていたその“物体”だった。

「アレは・・・そうか、レラジェの矢か」

物体は翠色の矢だった。

レラジェが放っていた10本の矢は、回避機動を取る零牙に高誘導ミサイルの如く追いすがり、さながら毒蛇の様に襲い掛かる。

いつまでも追いかけて来る誘導矢から距離を取る為、零牙は速度を上げて更に高度を上げていった。

「やれやれ・・・鬼ごっこですか。逃げた所で無駄なのですけどねぇ。アスタロト。凰月は私が始末しましょう。バエルは貴方がやりなさい」

そう言ってレラジェは翠色の光の翼を拡げ、零牙を追って飛翔していった。

残されたアスタロトは、嘲る様に言う。

「まあ、あの凰月とかいうガキは聞いた事もねぇ雑魚だろうし、どうでもいいがな。それよりもバエルのガキだ。混血のクズどもの筆頭をやる方が、俺様の格が上がるからなぁ」

ーーゴォォォォォ‼︎

アスタロトはジェット噴射の様な轟音を耳にし、音速で迫る存在を認識する。

認識した瞬間アスタロトの左側に、ツバメの様なウイングスラスター持った白き騎士が肉薄した。

「おっと!」

ーーガキィン‼︎

軽くそう言ったアスタロトは、白き騎士ーーバエルの【起源(オリジン)顕鎧(・メイル)】を纏ったレリウスの一閃を左腕で防いだ。

「硬い・・・!」

「なんだぁ、バエルの攻撃ってのはこんなもんかぁ?ーーそらよ‼︎」

アスタロトが右腕で周囲を薙ぐ様に振り、レリウスを狙う。

レリウスは一瞬後退した後に間髪入れずに肉薄し、アスタロトの頭部目掛けて右手の【カラドボルグ・オリジン】で刺突を繰り出した。

右腕は左に大きく振り抜いた体勢、確実に剣撃は当たったがーー

ーーガァン‼︎

「・・・ッ‼︎」

アスタロトは防御せず、頭部フルヘルムの装甲防御力だけで止めていた。

「軽い軽い」

「・・・・」

嘲る言葉にレリウスは反応せず、後方へ距離を取りカラドボルグを振り上げる。

「彼方を裂け・・・カラドボルグ!」

レリウスがカラドボルグを袈裟がけに振り下ろすと共に、カラドボルグの剣身が極大規模に瞬時に伸びる。

「ハッハッハ‼︎このーー」

振り下ろされた圧縮粒子の刃を、アスタロトは両腕をクロスしーー

ーーガキィン‼︎

「ーー程度じゃ、俺様には効かねぇなぁ」

クロスした両腕の隙間から、アスタロトは眼を覗かせる。

まるでニヤリと見下している様な感じだった。

「お次は何だぁ?クラウソラスかぁ?」

アスタロトが馬鹿にする様に言っているが、レリウスは無視して圧縮粒子の刃を砕き、左手のクラウソラスを一閃して波動を飛ばした。

砕かれ、無数の欠片へと変じた圧縮粒子の刃はクラウソラスの波動を受け、欠片一つ一つが短剣状に形状変化した。

「彼方まで追え・・・クラウソラス」

レリウスの号令で無数の短剣となった刃が、雪崩の様にアスタロトに襲い掛かる。

「ハッ!見た光景だなぁ?」

アスタロトは零牙とレリウスの試合を指して、馬鹿にした口調で言い、両腕をだらんと下ろした。

ーーキキキキキキキキキキキキキキキン‼︎

無数の粒子短剣がノーガードのアスタロトに直撃し、小気味良い金属音が鳴り響く。

粒子短剣はアスタロトの装甲に当たって完全砕け散って霧散していき、眼に見えるダメージを与えられていなかった。

「おいおい・・・こんなもんが効くわけねぇだろ?」

(確かに硬い・・・が、奴は装甲の防御力を過信しすぎている。確かにーー)

レリウスは音速で飛行しながら、更に攻撃を加えていく。

自身の粒子短剣の奔流に飛び込み、音速の機動性からの再びの刺突。

ーーガァン‼︎

「効かねぇなぁ」

(この顕鎧(オリジン)は、書に記録された初代アスタロトの当主の“力”。纏った者が血脈の者であれば、相当に骨が折れる事だろう。だがーー)

一瞬の後退から、鋭角の軌道で背後に回り込んでの一閃。

ーーギィン‼︎

「無駄無駄」

(所詮は、その資格なき者が“纏えているだけ”の状態)

アスタロトの直上へ500メートル程急上昇しながらカラドボルグを逆手に持ち直し、間髪入れずの急降下から頭頂部へ突き立てる。

「痒いねぇ」

(であればーー我が一族バエルが培って来た剣の敵では無い!)

レリウスはその後30秒間、無数の粒子短剣による奔流が終わるまでアスタロトの周囲を旋回し、その巨躯の各部に息もつかせぬ“正確過ぎる”剣戟を加えていく。

そして粒子短剣の奔流が終わりーー

「やれやれ・・・ようやく終わったか。アスタロトの装甲は、72柱最高クラス。しかもてめぇの得物は双剣・・・」

アスタロトは、コキコキと首を鳴らしながら言った。

「分かるか?つまり手数重視のてめぇのスタイルじゃ、アスタロトの装甲は破れねぇんだよ。さあこっからは、俺のターンだ。一方的に、な」

アスタロトが一歩、大きく大地を踏み締める。

ーーゴォォォォォォォォォ‼︎

(貰った・・・‼︎)

その瞬間、隙を見つけたと言わんばかりにレリウスのヘルムの両眼を輝き、ウイングスラスターから膨大な魔力を噴射し一気に音速域に到達しながら斬り掛かる。

「だから無駄なんだよ‼︎」

アスタロトは左腕を盾の様に掲げ、吐き捨てるように言った。

肉薄したレリウスは、左側から薙ぐ様に二刀で一閃しーー










ーーーザシュン‼︎

「な・・・にッ⁉︎」

カラドボルグとクラウソラスによる“正確過ぎる軌跡“の一閃は、アスタロトの左腕の装甲を斬り裂き、生身の肉体にまでダメージを与えた。

アスタロトの左腕から鮮血が吹き出す。

「馬鹿・・・な⁉︎」

破られる筈が無いと侮っていた相手が自身の装甲を破った動揺から、アスタロトが少し体勢を崩す。

レリウスはアスタロトの隙を逃さず、追撃を仕掛ける。

「く・・っ!」

堪らずアスタロトは、体勢を崩しながらもふくらはぎの装甲に備わるスラスターを噴射し、大きく距離をとった。

アスタロトは左腕を見つめ、忌々しげに言う。

「有り得ねぇ・・・!このアスタロトの装甲を破っただと・・・?いくらバエルとは言え、簡単な事じゃねぇ。てめぇ・・・何をしやがった・・・!」

最後の方はレリウスに視線を移し、アスタロトは言った。

「簡単な事だ。貴様は装甲を過信しすぎている。いくら初代アスタロト当主の顕鎧(オリジン)だからと言って、貴様が本来の力を引き出す事など出来る筈もない」

「何だと・・・‼︎」

レリウスは、右手のカラドボルグの切っ先をアスタロトに突き向けて言う。

「確かにアスタロト一族の顕鎧(オリジン)は、要塞(フォートレス)と称される程最高クラスの装甲防御力を誇る。だがそれはあくまでも、”血脈“に連なる者が纏うからこそのものだ。もし貴様がアスタロトに連なる者であれば、まだ未熟な俺が初代当主の装甲を斬り裂くなど不可能だったかもしれない」

レリウスはカラドボルグの切っ先をアスタロトに向けたまま、矢を番える様に左手のクラウソラスを構えながら断言する。

「貴様等は所詮テロリスト。差別意識の固まりたる純血至上主義の魔界への回帰を掲げる貴様等如きに・・・“護り”を理念とする誇り高きアスタロト一族の顕鎧(オリジン)を纏う資格は無い!」

レリウスはウイングスラスターから魔力を噴射し、突撃態勢を整えーー

「我が双剣を持って顕鎧(オリジン)を剥ぎ取り・・・貴様本来の力と、そのくだらない思想ごと斬り裂いてやろう‼︎」

ーーゴォゥウ‼︎

レリウスは溜めていた莫大な魔力をウイングスラスターから噴射し、周囲の地形を抉り飛ばしながら一気に加速して突撃した。

「ッ‼︎舐めるな、クソガキがぁぁ‼︎」

両者の距離が瞬時に至近になり、アスタロトは怒り吠えながら右腕でストレートを繰り出す。

流石にアスタロトの顕鎧(オリジン)によって巨人の如き剛腕と化している為、重量によって加速し“若干”のソニックブームを起こしていた。

アスタロトの拳が向かう先は、もちろん眼前に迫るレリウスだ。

(馬鹿な、クソガキめ!その速度で突っ込んでくればもう避けられねぇ!これで終いだ‼︎)

だがレリウスは、アスタロトの拳の軌道を正確に“視えていた”。

そしてその拳を、頭部の左側面スレスレで躱しーー








ーーザシュン‼︎

ーー・・・ドスン

2本の剣ーーカラドボルグとクラウソラスは、寸分違わず正確に同じ横軸線上の軌道を描き、左腕を半ばから斬り落とした。


「ぐ・・・がぁぁぁぁぁぁぁぁっ⁉︎」

アスタロトの苦悶の声が轟き、左腕から鮮血が噴水の様に吹き荒れ、アスタロトの巨体がよろめく。

アスタロトとすれ違ったレリウスは慣性をウイングスラスターからの噴射で強引に殺しながら反転し、自身軌道をなぞる様に再度突撃、追撃の一閃を繰り出す。

「クソ・・・がっ‼︎」

ーーザシュン‼︎

アスタロトは激痛を堪え体勢を僅かに立て直しながら、右腕でレリウスの追撃を防御した。

「ぐぅっ・・・⁉︎」

「少しズレたか・・・」

体勢を若干立て直しながら防御した為、二刀による同一軸線上のレリウスの一閃は僅かにズレ、右腕の装甲を斬り裂いただけに留まった。

「クソがっ・・・この俺様が、バエルのガキに“3度”も良い様にやられるっていうのか・・・⁉︎そんな筈はねぇ・・・そんな筈はねぇ!混血如きに・・・‼︎」

アスタロトは左腕の切断面を右腕で押さえながら、憎々しげに言った。

アスタロトの脳裏には魔王ベルゼブルであるテオと、足元まである金髪ポニーテールのバエルの美女に倒された過去が浮かんでいた。

「終わりだ・・・‼︎」

敗北寸前なのが認められないアスタロトにレリウスはそう告げ、トドメを刺すべく突撃する。

「・・・ッ⁉︎ふ、ふざけんじゃねぇ・・・‼︎」

ーードドドドドドドドドドドド‼︎

アスタロトは右腕のガントレットから、(パイル)を連射する。

しかし片腕を落とされ使用不可となり、右腕のガントレットも損傷した状態の連射速度は無傷だった時と比べ様も無い程に落ち込み、もはや面制圧は不可能だった。

「片腕喪失と損傷程度でこの有り様か・・・」

レリウスは、もはや弾幕とは呼べない程の(パイル)の連射を最小限の回避機動で躱し、アスタロトとの相対距離を急速に詰めつつ、呆れた様に呟いた。

レリウスは“バエルの瞳”で(パイル)の軌道を正確に全て読み取り、一発も掠る事なく肉薄していく。

しかしーー

「・・・ッ⁉︎」

レリウスは直上から急速に近づく気配を察知し、急性動をかけて後退した。

ーードォォォォォォォン‼︎

レリウスとアスタロトの間に“翠色”の物体が墜落し、、小規模なクレーターを形成した。

「な、何だ・・・⁉︎」

突如目の前に墜落した物体に驚いたアスタロトが射撃をやめ、それを確認しようと巻き起こった土煙に目を凝らす。

「・・・・」

レリウスも後退したその場に着地し、土煙が晴れるのを待つ。

程なく土煙が晴れて墜落した物体の正体を確認したアスタロトが、驚愕の声をあげる。

「な・・ッ⁉︎れ、レラジェ⁉︎」

クレーターの中心部には、翠色の狩人の顕鎧(オリジン)姿のレラジェがうつ伏せの状態で倒れていた。

完膚なきまでに叩きのめされたといった様子のレラジェが纏う顕鎧は、所々が砕け生身が見えており自動修復が行われているが、修復速度にも影響を及ぼす程に ボロボロの状態だった。

「あ、有り得ねぇ・・・‼︎いけすかない奴だが、この俺様とやり合える程の奴がこうもあっさり・・・⁉︎」

「なら、その程度という事だ」

困惑するアスタロトに、敵対者に対して向ける冷徹な少年の声がかけられる。

「・・・ッ⁉︎」

弾かれる様に上空を見上げるアスタロトを追うように、レリウスはゆっくりと声の主を見上げる。

「て、テメェは・・・‼︎」

声の主が発する圧倒的なプレッシャーに臆したのか、若干の恐怖を滲ませるアスタロトの声を聞きながら、自分よりも早く相手を倒した声の主をレリウスは称賛する。

「流石だ、零牙・・・」







ーーブゥン・・・・

名を呼ばれた黒き皇は、アスタロトとレラジェを上空より見下ろしていた。

ウイングスラスターから形成される漆黒色の光の翼を拡げ、頭部フルヘルムの両眼を銀色に爛々と輝かせ圧倒的なプレッシャーを放つその姿はーー













「お前達にーー視るべきものは無い」






ーー天空から全てを睥睨する漆黒の龍そのものであった。








ーー・・・三章-十二節【白き(ヴァイス)騎士(リッター)剛腕巨龍(アスタロト)】・終













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