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ロード・オブ・ロード〜零白の皇〜  作者: スメラギ・零
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三章-異説三【”▪️”の名を持つ“▪️▪️▪️”。決して交わる事の無く、表でも裏でもある世界の一巡目。ーー遡行(そこう)の時】

ーー・・・1日後

異大陸の帝国の侵攻は圧倒的であった。

まず一年もの間、単騎で完全に侵攻を食い止めていた龍騎士が戦闘不能になり撤退した事で、最果ての地の生命を駆逐し僅か1日で完全に制圧。

最果ての地に前線拠点を構築しその1週間後、そこを足掛かりに大陸各地に侵攻を開始した。

最果ての地の乱れから発生する【魔獣乱進(パレード)】を食い止める防波堤でもある軍事要塞都市【フィンブル】は、いち早く未知の軍勢の侵攻に気付き戦闘を開始した。

都市司令は未知の敵に動揺する兵を鼓舞し奮い立たせ、その一方で各国にこの事態を知らせる為に主に新兵を中心とした部隊を派遣し、残った兵士で迎え撃つ構えをとった。

フィンブルには優秀な機鎧(マキナ)乗りが各国から多数集まり、末端の一兵に至るまで経験豊富で練度も高く、この都市を落とすには2カ国以上の全戦力を投入しなければならないとまで言われる程であった。

だが帝国は億以上の戦力で侵攻しているのにも関わらず、量産機90機、隊長機10機の計100機の10分隊だけで攻めーーーーーーーーーーー僅か1時間で陥落させた。

無論フィンブルの兵士達は全力で迎え撃ったが、機鎧(マキナ)の性能が違いすぎた。

帝国の量産機はこちらの大陸のエース用のカスタム機に匹敵し、エース機や隊長機に至ってはこちらのエース機の5倍以上の性能を有していた。

その故最早勝負にすらならず、フィンブルの機鎧乗り達は敵の量産機にすら擦り傷を負わせる事すらままならず、戦闘開始5分で城門を破られ、抵抗虚しく蹂躙されていった。

追い詰められたフィンブルの司令は、最後の抵抗として都市の動力炉をオーバーロードする事による自爆を敢行、道連れを狙ったがーーーー帝国の損害はゼロだった。

僅か1日後、補給を済ませた帝国軍は軍を分散し各地に魔の手を伸ばしていく。

帝国軍は進軍しつつ途上の村々や歴史的建造物等ーー人・魔獣・動物などあらゆる生命体を2週間かけて念入りに滅ぼし、国々を攻めていった。



フィンブルからの報告を受け取った各国はすぐさま防衛網を構築し徹底抗戦の構えを見せながらも、迫る帝国軍に対して交渉を試みるもーー帝国軍が使者を攻撃するという暴挙に及んだ為に交渉すら行われずに断念した。


各国と帝国間の各地での戦闘は、機体性能や物量差はありつつも諸将や兵達、そして民間組織でありながら度々国を危機から救ってきた英雄達の奮戦もあり、一ヶ月もの間の膠着状態を作り出す事になった。

膠着状態が半月程経過した時、各国は秘匿回線を用いて会議を開き、各国間での情報共有を行うと共に連日帝国軍への対策を共同で模索していた。


問題は機鎧(マキナ)の性能差であった。

各国は自国の機体の性能を向上させようと試みていたが、戦時下かつ短期間での性能向上には無理があり、生産済みの機体を一機でも遊ばせる余裕など無かった為、早々に切り上げられた。

敵機への対策を考える前に戦局はどんどん悪化していき、多くの者達がその命を散らしていった。




ーー・・・3か月後

各国や各地の必至の抵抗も虚しく、大陸の8割は帝国の徹底した攻撃によって更地に変えられていた。

国家は一つ又一つと滅ぼされていき、既に国家としての形を保っているのは、大陸西部に位置する国と龍騎士を駆る青年が属する皇国の2つしか残っていなかった。

滅ぼされた国々の生き残りは大陸西部の国に集結し、各国の英雄達を中心に必死の抵抗を続けていた。

そんな中で唯一例外であったのが、大陸東部に位置する皇国であった。


帝国の侵略は、もちろん皇国にも及んでいた。

しかし皇国は大陸最大の国家であり、皇帝を頂点とした帝政を敷いてはいるが、その治世は非常に穏やかである。

更に信じられない事に、こう言った国家にありがちな謀略などが一切存在せず、また「粛清の日」と呼ばれるある作戦以降犯罪率は0%という驚愕の事実が存在している。

そして極めつきは大陸一の発展ぶりである。

瓦屋根の建築をベースにしながらも近未来的な摩天楼が拡がっており、趣きと見慣れぬ真新しさが見事に調和していた。

一番の発展はーー軍事力だ。

粒子根源皇機鎧ーー【オリジン・ロード】と呼ばれる機動兵器【ドラグロードグリント・オルタナティブ】に使用されているテクノロジーを元にした機体ーー粒子根源機鎧(オリジン・マキナ)の開発に、当然皇国は成功していた。

肝心の性能はというと、帝国軍の機鎧に対して無双していたドラグロードグリントには遥かに及ばないものの、この大陸の他の国々が開発した機体を遥かに超える性能を有していた。

オリジン・マキナを実戦投入している皇国は、帝国軍の侵攻を全く寄せ付けずに撃退していた。

脅威的なのは、他の国々の機鎧は一切歯牙にもかけずに撃破しまくっていた帝国が、皇国の機体を一機も堕とせていないのだ。

故に皇国の被害はーーゼロである。


その事を知った生き残りの国は、皇国に救援要請と共に技術提供を懇願したが、その回答はーー












ーーーー「邪魔をするな」

だ。


今まで穏和で平和を愛し、民草の事を第一に考え、困った者には救いの手を無償で差し出す素晴らしい国だと思っていた国からの信じられない返答に、もはや皇国以外では唯一の国に集った各国の為政者達は絶句するしか無かった。











ーー・・・皇国・中央大通り

風光明媚な建物の間を走り、皇城まで直通で繋がるこの大通りは、6メートルの機鎧(マキナ)が大隊規模でも十二分に通れるように広大に造られている。

そんな大通りの歩道には全国民が現在集っており、大通りを行進する大集団を皆真剣な眼差しで見つめている。

行進するのは皇国軍の兵や将校達、一見すると軍事パレードにも見える光景だが、実際には“儀式”だ。

ーーズゥン・・・ズゥン・・・

一定の間隔で重い足音を響かせ、軽装の鎧武者のような機鎧が2列をなして行進していく。

十分程量産機の列を国民が見送ると、次いで各師団の団長・副団長・部隊長クラスの個性豊かなカスタム機がやって来る。

そしてその列が通り過ぎると、いよいよ幹部クラスーー遊撃傭兵団の構成員達の機体が姿を現す。

師団長や部隊長クラスの機体よりも、一目見ただけで窺い知れるであろうワンオフ専用機の一団だ。

そして彼らは巨大な台座を神輿のように一部の側近を除いた全員で担ぎ、一糸乱れぬ動作で行進する。

彼らが担ぐ台座には、皇国の象徴機である夜色の龍騎士ーー【ドラグロードグリント・オルタナティブ】が装備を外された状態で横たわっていた。

皇国の象徴機が国民の前に姿を現すと、皆が一様に恭しく臣下の礼を深く取った。

象徴機を中心としした集団が通り過ぎると、いよいよ“(メサイア)“が姿を現す。

黒塗りのオープンカーの後部座席中央に座る遊撃傭兵団団長の黒銀の髪の青年、そしてその横で寄り添い深い愛情の眼差しで真剣な表情で見つめる、この国の“姫”である副団長の銀黒の髪の美女。

皇国にとって1番の重要人物達の登場に皇国民達は跪き、先程よりも更に深く臣下の礼を取る。

国民達の表情は皆一様に沈痛の面持ちであり、深い悲しみに彩られていた。

それもそうだ。

青年は未だ深い昏睡状態から回復していなかった。



国民達の悲しみ敬礼を受け、青年を乗せて車は進んでいく。

やがて、儀式の場である皇城の城門前の大広場へと到着し、青年は慎重に運び出される。

大広場は機鎧と無数の兵士達で埋め尽くされており、空中には“荘厳な椅子”を写した映像が、皇国の端にいても見える様に投影されていた。


大広場の中央には一足早く運び込まれた青年の搭乗機ーー【ドラグロードグリント・オルタナティブ】が、右膝を突いた状態で待機していた。

その左側には巨大な漆黒の騎士槍が逆手で突き立てられていた。

夜色の龍騎士の前には玉座が用意されており、青年は慎重に座らせられた。

そしてその側にすぐさま、銀黒の髪の美女が寄り添う。

“皇と皇妃”が玉座に揃い、その前に遊撃傭兵団の全構成員が跪き頭を垂れる事で、準備が整ったと言わんばかりに皇国は静寂に包まれる。

誰も衣擦れの音すら立てずに緩やかな風の音だけが微かに聞こえる中、“祭司”を待っていた。


大広場の入り口ーー城門を越えてすぐの場所に、魔法陣が展開する。

皆が跪いて見守る中、恭しく頭を垂れた状態で現れたのはーースタイルの良さが浮き彫りになる漆黒のローブを纏い長槍を携えた純白の髪の美女と彼女が率いるウロボロスの面々だった。

魔法陣が消えると、純白の髪の美女は玉座へと静かに歩みを進める。

そして皇と皇妃の前まで来ると携えていた槍を振るい、何処からともなく荘厳な装飾を施された台座を召喚した。

純白の髪の美女は何かを求める様に天空に向けて両腕を伸ばし、天の果てを見据える。

その凛々しくもどことなく妖艶さを感じさせる淡く輝く瞳で見据えるのは、表層で見える天空ではなく位相空間の深淵。

彼女は謳う様に言葉を紡ぐ。

「始原と終局を内包し因果と時空を統べし、大いなる剣にして刀にして槍よ。御身の担い手たる世界の守護者を正しき道へ導く為ーー我等の前に神々しくも禍々しい、その高貴なる姿を顕現したまえ!」

その瞬間ーー








ーーバキバキバキバキバキバキ‼︎

皇城直上の天空にガラスの如くヒビが入り、蜘蛛の巣状に拡がりーー






ーーバリンッ‼︎

天空が割れ空の欠片が無数に落ちる中、虚空が現出した。

そして空間の狭間ーー虚空すら斬り裂く様に、全長2.5メートル程の穂身に結晶の様な大太刀の如き刃を等間隔で13備わった黒銀の騎士槍が、その姿を顕現させる。


ーーガキィン‼︎

騎士槍は純白の髪の美女が召喚した台座に自らを突き立て、その存在を皇国中に知らしめた。

間をおかずに極大の魔法陣が台座を中心に展開され、尋常では無く広大な皇国に拡がっていく。



魔法陣から光の粒子が天空に向けて渦巻き、やがて徐々に拡がっていく。

光の粒子はまるで逆に流れる滝の如き勢いで天に向かい、波及する粒子は疲弊した大陸を癒す様に包み込み、大陸を蝕む帝国軍を押し流す様に呑み込み、やがては海を越えて”世界“全体を包み込んでいく。


世界全体を包み込んだ光はその輝きを更に増し、世界を白く塗り潰していき、”始まり“へと世界を巻き戻す。


世界が白く包まれる中、皇国に属する総ての者とウロボロスの面々は玉座に座る救世主へと頭を深く垂れ、”遡行の時“を静かに待つ。


玉座に座る黒銀の髪の青年に寄り添っていた銀黒の髪の美女は、腰に差していた大太刀を青年の得物である台座に突き立てられた騎士槍の側に立て掛け、再び青年の側に戻ると共にその身体を抱き寄せ、想いを込めて胸に強く抱き締める。

彼女は愛おしいそうに青年を数秒間見つめ、他の者と同様に眼を閉じ、その時を待った。


皆が静かに待つ中、ウロボロスの長たる純白の髪の美女の声が響く。







ーー「世界よ。今度こそ・・・我等が救世主ーー【レクス・ゼノ・メサイア】を正しき道に!」


その言葉を皮切りに、世界は眩すぎる光に包まれて完全にホワイトアウトする。










ーー世界の時間は巻き戻る。

ーーだが”一巡目“の記憶が残るのは極限られた者だけ・・・その中に世界の救世主=“皇”たる青年とその対である”皇妃“である銀黒の髪の美女は含まれていない。

ーー故に再び同じ道筋を辿り、同じ結末にたどり着く可能性はある。

ーーだが・・・・・・魂に焼き付いた想いは消えない。


故にこそ銀黒の髪の美女ーー【澪凰(みお)・アマツ・スメラギ】は、巻き戻る時の中で深く自身の魂に刻み込む。











ーー今度こそ・・・絶対に離れない。





ーーレクス・・・今度こそ、必ず・・・!










ーー世界は望む。

ーー“(ロード)”と“救世主(メサイア)

ーー完全同一位相体であるこれら表裏の存在の真なる覚醒を・・・

ーーその時こそ、究極の相互補完をもたらすのだから・・・










ーー・・・三章-異説三【”▪️”の名を持つ“▪️▪️▪️”。決して交わる事の無く、表でも裏でもある世界の一巡目。ーー遡行(そこう)の時】・終














レクスの世界における機鎧=零牙の世界における顕鎧

完全同一位相体ーー異なる世界における座標軸そのものが重なっている存在。互いに認識し出会う事は無いが、影響を与え合う相互補完の関係。

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