表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロード・オブ・ロード〜零白の皇〜  作者: スメラギ・零
32/49

三章ー九節【黒き太陽と白き雷】

明けましておめでとうございます。今年も細々と更新していきます。

「馬鹿な、襲撃だと⁉︎」

試合会場であるリリス・ドーム内のコントロール・ルームに、【七罪魔王(セブンス・シン)】の一人である【テオ・SIN・ベルゼブル】の声が響いた。

コントロール・ルームに空中投影されている大小様々な画面に、リリス・ドームを含めた他の試合会場内の様子が映し出されていた。

零牙とレリウスが率いるチームの戦闘が佳境に入ろうかというまさにその時、突如結界を貫いて飛来した杭に二人が撃墜された直後の事だった。

各会場内外に無数の転移反応が感知され、完全武装した大集団が出現した同時に、無差別攻撃を開始した。

「テオ、こいつらは・・・!」

もう一人の魔王である【フィオナ・SIN・ベルフェゴール】が、テオに視線を向けた。

「ああーーレメゲトンだ!」

画面には戦闘が得手では無い観客が逃げ惑い、怒号と悲鳴が響く中、警備についていた軍人が、武装集団に応戦している様子が映し出されていた。

会場の各システムを操作するオペレーターの女性や男性が、矢継ぎ早に報告する。

「リリス・ドームだけではありません!五つの別会場の全てに敵性反応を確認!加えて会場外に転移反応、更に上空に、未確認戦闘艦隊の転移を複数確認しました!」

「リリス・ドーム内にも、北口・南口より侵入者を確認‼︎いずれも小隊規模、施設最奥部に向かってます‼︎狙いはおそらくーー」

オペレーターが言おうとした言葉をテオが引き継ぐ。

「【魔のアカシック・レコード】か・・・」

【魔のアカシック・レコード】ーー遥か太古にあったとされる”侵略の時代“から全てが記録され続けていると言われるデータベースの事だ。

ここに保管されているのはアカシック・レコードの一部で、魔界の全てが記録されているものだ。

「フィオナ。魔王の名において、非常事態宣言と全軍へのテロリスト鎮圧の指示を頼む」

フィオナにそう言いながら、テオは身に纏うベルゼブルの紋章が刻まれた豪華な外套を翻し、コントロール・ルームの入り口へ歩き始める。

「あなたはどうするの?」

フィオナに聞かれ、テオは少し振り返って答える。

「無論、出る。奴等の目的が何であれ、これ以上好きにはさせん!」

その言葉に、フィオナは強く頷く。

「もちろん。各所に指示を出したら、私も出るわ!」

フィオナの言葉を聞き、テオは再び入り口に向かうがーー

「お待ち下さい」

不意に女性の声が響き、コントロール・ルームの入り口に、“七十二柱の一族の紋章“が魔法陣に組み込まれた形で展開された。

「この紋章は・・・」

テオはその紋章の持つ意味を知っていた。

魔法陣上に、メイド服姿の美女が出現する。

フィオナは、展開された紋章の一族の名を呟く。





「バティン・・・」

フィオナが呟いた直後、空色の長い髪をアップに纏めた美女【ティア・D・バティン】が臣下の礼を取った。

バティンーーこの一族は、魔界の“絶対者”の側近だ。

人を落ち着かせる様な静かな声で、ティアは言う。

「魔王【テオ・SIN・ベルゼブル】様。魔王【フィオナ・SIN・ベルフェゴール】様。我が主ーー“魔皇”より、お二人への指示を賜わっています」

「‼︎・・・筆頭から?」

ーー魔皇【ルシフェル・SIN・アルカディア】

七罪魔王(セブンス・シン)】】の筆頭であり、魔界における最高権力者にして絶対者。

他の【七罪魔王(セブンス・シン)】より位が高い事を示す“皇”を唯一冠し、現在の“七十二柱”が定まる前の戦乱の時代において、後に夫となる“灰色の龍”と共に魔界を統一し、現在の魔界の基礎を築いた魔族最強の存在ーーそれがルシフェルだ。

表舞台には姿を現さなくなって久しいが、それでも魔界の状況を把握していると言われ、その証拠に自身の側近たるバティンから勅命として、こうして各所に伝えているのである。


ティアは礼を取ったまま、言う。

「はい。我が主は、「敵の目的は【ソロモンの遺産】、並びに【魔のアカシック・レコード】の奪取。そして、あわよくば“魔王暗殺”。だから二人はそのままそこで待機し、指揮を取る様に」、との事です」

「「・・・なッ⁉︎」」

二人は唖然とし、驚愕の声を上げた。

「何故です?このテロ行為を前に、我等に待機をしろと⁉︎いくら筆頭の命とは言え、承服しかねる!」

「まだ魔王として弱輩の身なれど、我等二人が遅れを取る事はありません‼︎」

テオとフィオナはそう憤慨したが、それを嗜める様にティアが言う。

「無論、“レメゲトン”如きに遅れを取るとはあの方は思っておりません。しかし、【七罪魔王(セブンス・シン)】は現在お二人しか就任しておりません。もし何かあれば、魔界に与える影響は計り知れません」

「「・・・・・」」

「レメゲトンの総戦力もまだ未確認段階です。お二人の出撃は許可できません。魔王がまだ控えているのだとテロリストに暗に示しておき、居場所の確認出来ない魔王を諦めさせ、敵の目的を二つーーいえ、“一つ”に絞らせる事で防衛と殲滅を容易にする。これが魔皇様の戦略です。今お二人が迎撃に出てしまえば敵戦力がそれだけ分散し、逆に防衛が困難になります」

淡々とティアがそう言った後、魔王二人は考える。

(確かに、魔皇様の言う通りね。目的の一つである我々二人の暗殺を諦めさせれば、敵の攻撃は”一箇所“に集中する)

(現在、各会場への攻撃が同時に行われている・・・という事は、敵は目的の物が全て“此処”にある事を特定出来ていない。ならば逆に、目的の物が此処にあると言う事を敢えて晒す事で被害を最小限に抑えられるどころか、敵を一網打尽にも出来る。・・・筆頭はそこまで見越しているという事か)

テオとフィオナは、顔を見合わせて頷きーー

「分かりました。筆頭が命、拝命します」

「同じく、拝命します」

ティアはその返答を聞き、立ち上がって待機の姿勢をとりながら淡い笑みを浮かべた。

ややあってテオが問う。

「しかし敵の全戦力が不透明であるなら、大会参加ならびに観覧者や警備に当たっている兵士達・・・その中から戦える者を総動員しても不安が残りますが?・・幾ら個々人の戦闘能力が突出していても、この物量で来られれば、甚大な被害は免れませんが?」

「その点に関しても抜かりはありません。先程、魔皇の名において【魔界九皇族(デモンズ・ナイン)】に出撃を命じました。加えて試合に参加していたチーム、実戦でも十分戦えると判断したチームにも会場の防衛を要請しました。そしてーー」

ティアはそこで言葉を切り、テオとフィオナの背後に視線を向ける。

ティアの視線を追う様に、魔王二人が背後に目を向けると、黒銀の長いポニーテールの美女【凰月冬華】が携帯端末で通信中だった。

そして、程なくして通信を終えた冬華が口を開く。

「たった今、我が祖母のツクヨミから、我々龍皇学園に命が下った」

冬華は懐に端末を仕舞いながら、続ける。

「全教官及び全クラスは、テロリストの殲滅を現時刻をもって開始する」

近くでは、龍の頭部を模したフルフェイスの仮面を被った藍色ロングコートの女性ーーファントムが、大型ハンドガンの簡易点検を行い、準備を整えていた。

点検を終えたファントムが、ホルスターにハンドガンを納めながら言う。

「リリス・ドーム最奥部に侵攻中の敵は、私が排除しよう」

そう言ってファントムが、コートを翻しながら入り口に向かって歩き始めると、冬華に通信が入った。

「澪凰か?丁度いいお前にもーー」

「事情は把握しているよ、冬華。会場の内部に入り込んだ賊は、私と龍姫が外に行くついでに始末していくよ」

澪凰の口調は、まるで散歩にでも行くかの様な軽く涼やかだった。

「外?そうか・・・感知したか」

「うん。北と南の賊を始末しに行くついでに殺っておくよ。だからファントムは、自分の部隊と合流して遊撃にまわった方がいい。その方が動き易いだろう?」

冬華はファントムと顔を見合わせて、頷いた。

「分かった、そちらはお前たちに任せる。私も教官と全クラスに指示を伝えたら、出撃する。以降は各自の判断で敵を撃滅しろ。言っておくが、くれぐれも“加減”しろよ?」

「ふふ・・・分かってるよ」

通信が閉じると、冬華とファントムが行動を開始する。

ファントムはまるで黒い風の如く素早さで入り口から出て行き、冬華は懐からインカムを取り出して通信をかけながら続いていった。

二人が出ていった後、テオとフィオナは軍と回線を開き、戦闘指揮を開始した。






ーー・・・リリス・ドーム・南側通路

「そう・・・ありがとう、いつも助かるわ」

七大天使達のVIPルームに程近いこの通路で、黒い軍服の上に灰色のコートを着た銀髪の美女ーー【宵月イブリス】が壁に持たれながら通信中であった。

「勿体無いお言葉です。では予定通り、【忘却騎士団(オブリヴィオン・ナイツ)】と合流し、任務を遂行します」

通信相手は、静かな声音の女性だ。

「ええ、お願いね」

そう言ってイブリスは通信を終えて、VIPルームに戻る為に歩き出す。

そこへーー

規則正しい複数人の足音が響き、曲がり角からタクティカルベストとズボンに身を包んだ魔導銃で完全武装した集団が現れた。

現れたのは6人、侵入した小隊の分隊だ。

レメゲトンの分隊はイブリスと15メートル程の距離で、彼女と対峙する形となった。

分隊員は油断無く魔導銃ーーアサルトライフルを構え、広い通路に左右に分かれながらイブリスに銃口を向けていた。

洗練された動き“では”あった。

隊長と思わしき女が、警告を発する。

「止まれ、女!貴様は純血か?混血か?五秒以内に答えろ!さもなくば殺す‼︎」

しかし、イブリスは多数の銃口を向けられていても淡い笑みを浮かべ、優雅に歩いていた。

分隊が塞ぐ方へ向けてーー

「聞こえないのか!血はどっちだと聞いている‼︎」

再度、隊長の女が警告を発するがイブリスは歩みを止めなかった。

「まあいい、貴様如きにかまけている時間は無い。殺せ‼︎」

痺れを切らした隊長の合図で、分隊員はアサルトライフルの引き金を弾こうとした瞬間だった。

『・・・ッ⁉︎』

イブリスの姿が消えた。

それは瞬きをする間も無い程、刹那の時間だった。

隊長含めた6人の分隊員達は、引き金を弾く寸前で動きが止まった。

分隊の背後には、銃口を向けていたはずのイブリスの姿があった。

そしてイブリスがすれ違った事を示す様に、一陣の風が遅れて6人の間を駆け抜ける。

その瞬間ーー



ーーザシュン

静かな斬撃音が響くと共に、6人は首を落とされた。

ゴトンと音を立てて分隊全員の首が床に転がり、銃を構えて立ったままの胴体がゆっくりと崩れ落ちながら、噴水の様に血が吹き出して通路を濡らした。

イブリスは、血糊を払うかの様に“手刀”にした右手を払う。

そして、何事も無かったかの様に優雅に銀髪とコートを翻しながら立ち去っていった。

自分達が死んだ事に気づく間もなく絶命した6人は、気付いていなかった。

いや、気付けるはずが無かった。




ーー自分達が誰と対峙していたのかを・・・













ーー・・・リリス・ドーム、最奥部前

最奥部の宝物庫に至る大扉の前の大広間を、40人で構成された小隊が占拠していた。

「まだセキュリティを解除出来ないのか?」

「すみません!予想外でした・・・こうも勝手が違うものとは・・・」

大扉に手を翳してセキュリティを解除しようとしている隊員に、タクティカルベストと重装のアーマーで武装した隊長の男が急かす様に聞いていた。

他大勢の小隊員は、入り口からの敵を警戒する様に展開していた。

小隊の構成員は、アサルトライフルで武装した者が大半だったが、魔術士や近接武器で武装した者の姿も数名。

「勝手が違う?魔界式の術による封印では無いのか?」

「いえそれが・・・」

セキュリティ解除に挑んでいる隊員が、大扉を見上げる。

「見た事が無い術式ばかりです。魔界式セキュリティの解除は自身がありましたが・・・こればかりは自分の手には負えません」

“72柱”の紋章では無い術式による“7重”の魔法陣が、大扉に浮かんでいた。

「チッ、静かに事を運ぶつもりだったが仕方ない。大扉を破壊するぞ!“魔壊弾”を使用する!総員、装填!」

その一声で、近くで展開していた10数名の隊員が応じ、アサルトライフルのマガジンを“ある72柱”の一族の能力が付与されている特殊弾に交換する。

装填された特殊弾は、魔力そのものや魔力で構成されたものに“不和”を引き起こす事の出来る代物だった。

「よし!うーー」

「それはちょっといただけないなぁ」

隊長の男の号令を遮る様に、大広間の入り口から声が響いた。

大扉に注目していた、隊長を含めた小隊の全員が一斉にそちらに視線を向けた。

漆黒の陣羽織を戦闘スーツの上に羽織り、誰もが見惚れるほどの美貌を誇る銀黒の髪の美女が、腰背部右側に差した漆黒の大太刀の柄頭に右手を置いて入り口にもたれ掛かっていた。

「き、貴様は⁉︎」

隊長の男が入り口付近で武器を向けている隊員達に、叱責する様な“何故知らせなかったのか?”という視線を送るが、視線を向けられた隊員達は一様に瞳に戸惑いの色を浮かべ、首を小さく振っていた。

「名乗る気は無いよ」

そう言いながら美女ーー【凰照澪凰(おうしょうみお)】はもたれ掛かるのをやめ、漆黒の大太刀【天羽々斬・極皇】を抜いた。

「直ぐにーー終わるからね」

『・・・ッ‼︎』

そう言って、無邪気とも狂気的とも取れる不敵な笑みを浮かべた澪凰に、小隊全員は本能的な恐怖に駆られて息を呑んだ。

澪凰が左側に、スゥっと霞の構えを取った。

その瞬間、【龍眼】による凄絶なプレッシャーが放たれ、大広間にいる小隊全員に襲い掛かる。

更に強大な龍の気配まで膨れ上がり、澪凰と対峙する者達は生物種の頂点とも言える存在を感じ取り、本能の全てが危険を訴えかけ、恐怖に震える。

特に絶世の美女がそんな気を放っている事が、恐怖と死の予感もひとしおだった。

「あぁ・・・ああああああああああーーーーーーッ‼︎」

一人の隊員が耐えきれなくなり、狂った様に銃を撃ち始める。

ーーダダダダダダダダダダダダダダダダ!

その瞬間ーー澪凰の姿が掻き消えると同時に、その隊員の首が飛んだ。

その背後に澪凰が、大太刀を振り払って現れた。

「う、撃てッ・・・‼︎撃てぇッ・・・‼︎」

隊長の男が震えながら号令を出した。

“認識”する間もなく、仲間が殺された事に惚けていた隊員達が号令を皮切りに、ある者は近接武器を出鱈目に振り回しながら澪凰に突撃していき、ある者は魔法を無茶苦茶に乱発し、そして大半の隊員達は銃火器を乱射した。

最早小隊員達は、味方に攻撃が当たる事も考えることが出来ずに、ただただ澪凰という強大な存在を排除する事しか頭に無かった。

「・・・・・・・・・フフ」

魔法や弾丸が飛び交う大広間を、瞬間移動かと見紛う程の速度で縦横無尽に駆け回り、澪凰は漆黒の大太刀を振るっていった。





そして、隊長の男の号令から十数秒後、大広間に立っていたのは澪凰ただ1人だけだった。










ーー・・・・リリス・ドーム 南口前

南口には、2個大隊規模のレメゲトンの戦力が布陣していた。

「制圧部隊からの連絡は?」

隊長の大男が、部下に聞いた。

彼は、機関銃と重装のアーマーで武装していた。

「・・・ダメです、一切応答がありません!」

部下の報告を聞いて、大男は指示を出す。

「仕方ない・・・増援を送る!部隊を編成すーー」

「それには及びませんよ」

指示を出し終わる前に凛々しい声が響いた。

「誰だ⁉︎」

声を出した大男を筆頭に2個大隊の構成戦力の全てが、声がした方向に一斉に武器を向ける。

ブーツの音を響かせながら南口よりーー純白に黒のメッシュが入った足下まで伸ばした髪を靡かせ、漆黒の戦闘スーツの上から、家紋が入った黒い陣羽織を羽織った美女が姿を現した。

「あなた方が送り込んだ部隊は、今頃全滅しているでしょう」

穏やかな声音かつ丁寧な口調だが、龍姫からは静かな気が揺らめいていた。

「・・・ッ‼︎ーー総員、戦闘態勢‼︎」

隊長の大男は、龍姫から滲み出る微細だが濃密過ぎる剣気とも殺気とも取れる“気”を感じ取り、対峙している相手が危険だと訴えかける直感に従い、率いる大隊に即座に指示を出した。

「いい判断ですね。私としても“何者だ”とか、面倒な問答をしたくありませんでしたし、ではーー」

龍姫は両目を閉じ、そして一拍置いて開きながら言う。

「殺すとしましょうか」

金色に淡く輝く【龍眼】で敵群を睥睨しながら不敵な笑みを浮かべ、まるで何でもないような事とでも言うような軽さで、しかし空恐ろしい程の冷たさで、龍姫は敵に死を告げた。

『・・・ッ‼︎』

龍眼による心臓を鷲掴みにされているようなプレッシャーとは別に軽く告げられた死の宣告に、彼等の間を一気に恐怖が駆け巡った。

「調子に乗るな‼︎貴様など、我らレメゲトンの敵では無い‼︎」

しかし、そういった感覚が鈍いのか、一人の隊員の男が長剣を振りかぶりながら龍姫に斬りかかった。

龍姫はその攻撃を龍眼の空間把握で、一瞥もくれる事無く“視ながら”、左手を前方に翳す。

龍姫のその動作で、直上にドス黒い雷雲が形成された。

「降臨せよ。・・・其は、白雷の一振り」

ーーズガァァァン‼︎

龍姫が得物を喚ぶ最初の文言を言うと共に、直上の雷雲から“空間を引き裂き“、極大の純白の雷が降り注いだ。

その雷は、攻撃を仕掛けた隊員の男を眼前にまで迫っていた剣ごと消し飛ばし、まるで地から天へと昇る龍の如く降り注ぎ続ける。

純白の雷の奔流は紫電を迸らせ、周囲一帯を出鱈目に駆け巡り地を砕き、降り注ぎ続ける余波で衝撃波を巻き起こす。

まるで、自身の顕現を何人たりとも妨げるなとでも言う様に。

「全て斬滅せし、白き雷霆の龍刃」

再び雷が天空の雷雲より、空間を引き裂いて複数本降り注ぎ、地面を砕き走りながら極大の雷へと集束していく。

龍姫が極大の純白の雷の中へと左手を突っ込むと、雷は周囲に更に激しく紫電を撒き散らしながら大太刀へとその姿を変えていく。

「抜刀・・・天羽々斬・【白皇(びゃくおう)】!」

龍姫が雷を斬り裂く様に斬り払い、【白皇(びゃくおう)】が完全に顕現した。




天羽々斬・【白皇(びゃくおう)】ーー

純白を基調とした美しい大太刀だが、柄が槍の如く長いく、鍔は雷を周囲に迸らせている様な意匠をしている。

最大の特徴は柄よりも長い刀身が、鋭角状の細い稲妻マークの様な6本の枝刃を持つ七支刀型となっている事だ。

全体の印象は槍と言っても通用する様な威容を誇る、変則的であるが純然たる大太刀、それが【白皇(びゃくおう)】だった。

『・・・ッ!』

龍姫の天羽々斬が完全に顕現した事で、抑えていても滲み出る程の力を内包する【白皇(びゃくおう)】の力を感じ取り、対峙する大隊全員が戦慄した。

その様子を見た龍姫が言う。

「おや?臆しましたか?無理もない事ですが、手加減はしませんよ?あなた方はここで全員死ぬのですから。さてーー」

龍姫が一本踏み出した瞬間、空間そのものが帯電した波動が広がっていく。

「手早く片付けるとしましょう」

波動は龍姫を中心としてドーム状に広がっていき、半径十五メートルの空間と環境そのものを変貌させた。

「これは・・・何だ・・・⁉︎」

隊長の大男は見た事の無い光景に、絞り出した様な声を上げた。

龍姫を中心として拡がったのは、彼女が力を開放したした事によって形成されたーー“巣”。

途方も無い力を有する、生物種の頂点種族とも言える龍族が作り出すもの。

そしてそれは意図して起きるものでは無く、“皇”を冠する程の龍が一定段階の力を漏らすだけで起きてしまう自然現象。

ただそこに在るだけで環境を変貌させる事象ーー【龍域】だ。

大隊の目の前に拡がったものは、純白の雷が出鱈目に乱舞して空間そのものが紫電を帯びる力場だった。

龍姫がまた一歩踏み出した時、複数人の隊員が力場に足を踏み入れる形となりーー

「が・・・⁉︎」

「ぐっ・・⁉︎」

一人は雷に心臓を貫かれ、一人はうねり跳ねた雷に両断され、一人は集束した雷に焼かれて絶命した。

「龍域ーー我ら龍族が力を解放するだけで生じる環境支配事象」

龍姫は一歩、また一歩と、敵に向かって優雅に歩みを進めながら語る。

その度に大隊の何人かは足を踏み入れてしまい、絶命していく。

「これは言わば、我らの”巣“。龍族の生活圏であり、絶対不可侵領域。我ら龍族とまともに戦いを始めると言うのであれば、まず龍域に抵抗せねばならない。そうでなければーー」

また一人、力場に踏み入ってしまった者が絶命した。

「相対する事すら叶わない」

仲間が十数人力場によって絶命した事で、ようやくその危険性に気づいた隊員たちが後退る。

大隊の隊員達の戦闘意欲は途切れていないが、恐怖に駆られているものが大半以上であり、後退り事しか出来なかった。

「・・・フフ」

ーーザシュン‼︎

笑みを溢すと同時に力場と共に掻き消えた龍姫は、次の瞬間には前方にいた隊長の大男の首を刎ねていた。

何が起こったかを隊員達が認識する間もなく、龍姫は力場を伴って大隊や直後に来た援軍を蹂躙していった。





ーー・・・リリス・ドーム 北口前

「おい!応答しろ!目標は奪取出来たのか?状況を報告しろ!・・・クソ、どうなっている⁉︎」

北口には、師団規模のレメゲトンの戦力が布陣していた。

そしてその団長の男が、インカムに向かって怒鳴っていた。

「おい聞こえるか!状況をーー」

そしてもう一度呼びかけようとした時だった。

「全員、とっくに斬り捨てたよ」

軽やかであるが凛々しい女性の声が響いた。

「・・・‼︎」

その場にいる全員がのした方へ視線を向けると、北口ゲートの上に長い銀黒の髪の美女【凰照澪凰(おうしょう みお)】がスラリとした美脚を組んで座っていた。

「き、貴様は!エキシビジョンに出ていた・・・いやそれより。斬り捨てたとはどう言うことだ!まさかレメゲトンの精鋭が、貴様如き小娘にやられたのとでも言うつもりか!」

団長の男は、部下に手で合図を送って戦闘態勢を整えさせながら言った。

「やれやれ・・・」

澪凰はそう呆れながら、ゲート上からヒョイっと北口を塞ぐ様に降り立った。

その動きに、団長を含めた師団全員が警戒する。

澪凰は、右腰背部に差した大太刀の柄に右腕を持たれ掛ける様にした余裕ある立ち姿で敵を睥睨する。

「そう言ってるじゃないか。それにあの程度の練度で精鋭とは・・・やはり君達レメゲトンには”視る“べきものは無いね」

「何だと・・・ッ!」

挑発し見下すような物言いに、団長の男の表情は憤怒に染まる。

しかし、感情に任せてすぐに攻撃しようとはせず、歴戦の戦士とも言える程に経験を持つ団長の男は、相手の隙を窺っていた。

(私の経験上、こんな物言いをする様な奴は必ず何処かに隙がある筈だが・・・。この小娘・・・あの飄々とした態度でありながら、全く隙が無い・・・!いやそれどころか、あれを隙だと見て突っ込んだが最後、確実に斬られる・・・!そんな確信がある!)

団長の男は、自分達の使命を侮辱された事による怒りを押し込め、冷静に相手を観察する。

周囲の団員の大半は怒りの声を上げているが、感知能力が高い者の幾人かは額に汗を浮かばせ、最大限の警戒を澪凰に向けていた。

(この小娘はーー化け物だ・・・‼︎)

団長はそう確信し、さりげなく後ろ手に端末を操作して援軍を要請した。

不意に澪凰が、顔を少し横に向けて背後に意識を向けた。

その行動を団長や団員がチャンスと思う間もなく、澪凰が言う。

「どうやら反対側は佳境の様だ。ではこちらもーー急ぐとしようか」

そう言って澪凰は眼を【龍眼】にしながら、敵対者達に視線を向ける。

『・・・ッ‼︎』

その瞬間、広域に桁違いのプレッシャーが拡がった。

澪凰の眼前に存在する全ての敵対者に龍眼の影響がのしかかり、まるで金縛りにあったかの様に動きを止める。

澪凰がゆっくりと漆黒の大太刀ーー天羽々斬【極皇(きょくおう)】を抜いた。

極皇(きょくおう)】の漆黒の刀身が顕になると、澪凰自身の龍の気配に加え、更にもう一体別の龍の気配が膨れ上がった。

レメゲトンの師団全員が恐怖と死の予感に慄き、身動きを忘れてただ見ることしか出来なかった。

「さあ・・・始めようか!」

澪凰の姿が掻き消えると同時に十数人が斬り伏せられ、遅れて鮮血が噴き出す。

敵対者全員が澪凰を見失ったと認識した時には、彼女は敵群の只中で、一太刀しか振るっていないと認識する速度で、漆黒の軌跡を描きながら大太刀を振るっていた。

戦闘が始まっていると師団全員が認識した時には、既に数百以上の団員・戦闘ドローンが斬り捨てられていた。

ようやく澪凰を攻撃しようとするが、武器を向けた瞬間ーーまたは、攻撃の意識を向けた瞬間、澪凰によって一太刀で斬り伏せられる。

「フフ・・・ハハ・・・」

澪凰は終始不敵な笑みを浮かべて時折声を漏らしながら、僅かな血すらも刀身に付着する事すら許さぬ桁違い速度の剣閃で、漆黒の大太刀を振るっていく。

「一人で仕掛けるな!全員でーー」

ーー胴を両断し。

「クソッ⁉︎またやられーー」

ーー首を刎ね。

「刀の間合いで戦うな‼︎距離をーー」

ーー“縦”に両断し。

「よくもッ・・・ーー」

ーー心臓を穿つ。

澪凰は、一太刀一太刀が絶技とも言える剣閃の余波によって、一人だけで無く数十〜数百規模の敵を一太刀ごとに斬り捨てていく。

やがて、レメゲトンの兵が抗うことすらままならない剣威の最中、敵の増援が到着した事を確認し、澪凰は戦闘を始める前の場所ーーリリス・ドーム・北口前に瞬時に移動した。

「ふむ・・・どうやら、更に君達の増援が増えた様だね。流石に“一割未満”の力で、君達にかまけている場合では無いね。ならーー」

澪凰は天羽々斬・極皇の切っ先を天に向け、真っ直ぐに掲げる。

「ーー終を謳うとしよう」

澪凰から莫大な銀黒の魔力が渦を巻き、天に向かって立ち昇り、大気を震わせる。

かろうじて澪凰の剣威を生き延びていた団長の男は、幾ら歴戦とは言え、対峙した事が無い桁違いの魔力に戦慄しながら唖然と呟く。

「ば、馬鹿な・・・さっきまでのが、たったの1割未満・・・だと・・・⁉︎これが・・・これだけの莫大な魔力をその身に内包していると言うのか・・・⁉︎たかが混血が・・・⁉︎」

その言葉に澪凰は、呆れる様に笑いを溢して言う。

魔血(デモンズ・ブラッド)神血(ゴッド・ブラッド)。そして獣血(ビースト・ブラッド)龍血(ドラゴン・ブラッド)・・・君達が混血と呼ぶ血をもつ者は、その身に強大な力を持って生まれてくる。これらハイブリッドやクォーターの力を、君達は舐め過ぎている。次に純血種以外の他の種を見下すのであれば、良く調べてから発言すると良い。ーー次があれば、だけど」

澪凰の魔力は渦巻き続け、彼女の天羽々斬の刀身に集束していく。

やがて漆黒の刀身は玲瓏な銀黒のオーラを纏い、周囲を黒に染める。

澪凰が立つ地点を中心に黒い力場が生じており、空間も地も大気も氷結し融解する様に燃えていき、敵対者が恐怖に慄きながらも散発的に行われる妨害の全てを完全に拒絶する。

ーー澪凰は謳う。

そして同時に、反対側の南口でも莫大な魔力が天に向かって渦巻いていた。

龍姫もまた南口前にて、天羽々斬の切っ先を天に向けて掲げていた。

既に、天羽々斬の刀身には白黒の魔力が集束しており、龍姫を中心とした雷の力場を発生させながら、終わりを謳おうとしていた。

彼女の眼前には、既に満身創痍でありながらも残された戦意を総動員して攻撃を続けるレメゲトン兵達の姿があった。

戦闘開始前は2個大隊規模だったが、要請していた増援と合流し、今や龍姫と対峙する彼等の規模は3個師団にまで膨れ上がっていた。

しかし桁違いの戦闘能力を持つ龍姫によって、あれから蹂躙され、僅かなひと時でその数を大きく削がれていた。

それでも全滅の憂き目に遭わなかったのは、ひとえに龍姫が“一割未満”の力しか出していない為であった。


眼前で無意味な抵抗を続ける敵軍を【龍眼】で睥睨しながら、澪凰と龍姫は終わりを謳う。

二人の魔力・剣気・権能が、それぞれの天羽々斬の刀身に極密度で集束し、周囲の空間や環境そのものへの影響が更に大きくなり、氷結し融解し滅せられ、雷が乱舞し斬り刻む。

「焔にして極氷、氷にして極焔。我が太刀は黒き太陽の具現・・・」

「降り注ぐは地を裂砕し、天を消却し、宙を滅する極雷。我が太刀は白き裁きの具現・・・」

渦巻いていたそれぞれの莫大な魔力も二人に集束し、極密度に圧縮された玲瓏な力を纏い、重圧を増大させる。

二人から発せられる重圧によって敵対者達は跪き、莫大な推力を有する戦闘艦も、強制的に地上に引き摺り下ろされていく。


「「顕現するは終の一太刀・・・」」

ーー謳われたのは“皇”の一撃。

ーー神の一撃など影にすら及ばぬ、一刀絶殺の一閃。

ーーしかし、模擬試合で直前まで見せたものでは無く、“完全”に敵を滅ぼす為の剣閃。

周囲の破壊の様相が奏でる音すら忘れさせる、一瞬の静寂が訪れる。






ーーリリス・ゲート南口前

龍姫が終を告げる。

「皇の太刀ーー【八雷神(やくさのいかづち)】」

ーーズガァァァァァァァァァァァァァァァン‼︎

龍姫が前方を斬るように天羽々斬を片手で振るった瞬間、瞬く間に空は曇天と化し、世界の全てを震わせ轟く程の雷音が響き渡る。

鏡が割れる様に天空が破れ、空間ごと突き破って純白の雷が豪雨の如く降り注ぐ。


その数ーー“800万”。

一応都市に影響を与えぬ様に範囲は絞っているが、それでも一本一本が空間そのものを破壊する力を凝縮した雷が局所的に降り注ぐ。

「総員・・・防御・・・をっ‼︎」

「動けなーー」

「雷に触れるーーぐァァァァァァァァァ!」

「数が多すぎる・・・‼︎避けらーー」

あらゆる防御も耐性も一切を無視する”空間切断“の塊である白き雷は呑み込み、斬り裂き、貫き、敵対者を消滅させていき、その余波は破壊を撒き散らす。

降り注ぐ雷は細い雷であれば線の斬撃だが、極大の雷となればその斬撃は面となる。

800万も降り注ぎ続ける力の暴威によって、南口前はレメゲトンにとっての地獄が広がり、阿吽叫喚の坩堝と化す。

轟音を伴い降り注ぐ万雷の中、龍姫は優雅に立ち口元に不敵な笑みを浮かべながら、眼前の敵の一切が滅びるまで、冷たい視線で睥睨し続けていた。








ーーリリス・ゲート北口前

エキシビジョン・マッチでは寸前で止められた“御業”が告げられる。

周囲が氷つき燃え盛り融解し滅せられる中、澪凰が終を告げる。

「皇の太刀ーー【終極(しゅうごく)】」

天に向けて真っ直ぐと掲げ、“星そのもの“とも言える莫大な力を纏った天羽々斬が、大地を斬るかの如く振り下ろされる。










ーー星が生まれる。

天羽々斬・【極皇(きょくおう)】より放たれた無数の斬撃は、極氷と極焔という相反する絶大な力を帯び、紅と蒼が澪凰の魔力によって極限まで入り混じった銀黒を帯びていた。

斬撃は陽炎の様に揺めき複雑かつ鋭い軌道を描きながら、触れたものを瞬時に斬り裂き氷結させながら焼き尽くして消滅させ、反応出来ぬ程の速度で敵群を蹂躙していく。

そこには防御魔法も術式も耐性すらも全てが無意味と化し、陽炎の様な銀黒の斬撃の間を縫ってかろうじて躱したと思っていたとしても、常に太陽フレアの如き波動を斬撃が撒き散らしている為、直後に消滅していく。

「な、なんだ・・・⁉︎なんなんだこれは・・・⁉︎」

「防御できなーーウァァァァァッ‼︎」

「あ・・・足が・・・⁉︎いつの間に・・・⁉︎」

防御しようとした者を消滅させ、次元違いの力の暴威を前に唖然として立ち尽くす者を呑み込み、完全に躱したと思い込んだ者の両脚を被弾していた事に気づかせる間もなく滅していった。

その間ーー僅か一秒にも満たぬ出来事である。

敵群の“前半”を一瞬にして蹂躙した斬撃の嵐は、敵の直上でひとつに集束していき、その場の空間を破壊しながら“漆黒の球体”が顕現した。

澪凰の暴威に晒されている敵群は、“たった今”味方の大半が消えた事実に混乱し狼狽えるも、直上の光景を見た瞬間に武器を落として言葉を失い、思考も停止同然で“ソレ”を見上げた。

空中に現れたのはーー












ーー漆黒の太陽だった。

“今”生まれた太陽は、プロミネンスと共に極低温と極高温の波動を脈動する様に周囲に放ち続け、その圧倒的な存在感を知らしめる。

しかし、感じるだけで氷つき燃える様な波動を撒き散らしていても、熱すぎて寒過ぎるが故にレメゲトン兵は何も感じ無かった。

ただ茫然とし、直上100メートルに瞬く間に顕現した太陽を見上げた。

「は・・・はは・・・」

ーーゴォォォォォォォォォォォォォォォ‼︎

漆黒に輝く太陽が堕ちる。

直下にいるレメゲトン兵達は最早戦意を喪失し、自分達の終わりを待つ事しか出来なかった。

黒い太陽は、堕ちながら周囲を氷結させながら焼き尽くしながら、莫大過ぎる力が故に空間そのものを破壊していき、堕ちていく後にはガラスが割れた様な景色を残していく。

戦闘艦と戦闘ドローンは顕現した余波で既に全滅しており、残るは地上戦力である兵達だけだった。

「・・・有り得ん・・・!太陽、だと・・・⁉︎悪い夢だ・・・。我等はレメゲトン・・・魔界を、あるべき形に・・・」

師団長の男は膝をつき、茫然自失といった様子でうわ言の様に呟いていた。

不意に男の耳に女性の言葉が聞こえる。

「零牙の晴れ舞台によくも水を差してくれたね?これはその報いだ。ーー消えると良い」

戦慄を覚える程に静かな怒りを込めた澪凰の声が冷たく響いた。

その言葉に師団長の男は、澪凰に視線を向けた。

澪凰は変わらずに不敵な笑みを浮かべていたが、その眼は笑っておらず、恐ろしい程に冷たい殺気に満ちていた。

絶世の美女からその様な視線を向けられ、普通よりも遥かに深い恐怖を感じた師団長の男は、震える声で言う。

「・・・化け物・・・」

その言葉が男の最期の言葉となり、その直後に黒い太陽に呑み込まれ、部下共々消滅していった。

ーーゴォォォォォォォォォォォォォォォ‼︎

黒い太陽が地上に堕ち、極大の黒い焔氷柱が成層圏を貫いた。

銀黒の焔柱は宙に向かって轟々と立ち昇り、斬撃波でもある極大のプロミネンスが東洋龍の様にうねり、辛くも難を逃れていたレメゲトンの戦力を引き裂いていく。

北の地からは玲瓏な焔氷柱が天を貫き、南の天からは神々しい純白の万雷が地を裂き砕く。

桁違い過ぎる力と力の狂宴とも言える光景に、影響圏内にいる敵は逃げ惑い、安全圏にいる者達は敵も味方も一瞬手を止めて魅入ってしまう。

その力を“かつて”体験した事のある者達がこの光景を見て思うのは、ひとつの事件だった。






ーー“黙示録”


澪凰と龍姫が周囲に展開するレメゲトンを殲滅するまで、地獄の様で神々しくもある光景を生み出す、黒き太陽と白き万雷の狂宴は終わる事は無かった。




ーー・・・三章ー九節【黒き太陽と白き雷】・終












































面白い・続きが読みたいと思って頂けたら、評価の程をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ