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ロード・オブ・ロード〜零白の皇〜  作者: スメラギ・零
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一部 一章[漆黒の皇龍と列王史]

一章-零説


ーここに記すは 道のりである


ー漆黒の皇龍 古き王と魔女と邂逅し 邪竜は胎動す


ー漆黒の皇龍 古き王と共に 邪竜を討ち果たさん 其は伝説の再演なり


ーーーーーーーー[▪️▪️の書]より抜粋


俺の名は、【凰月零牙(おうげつれいが)】、髪の色は黒銀、眼は銀灰色

朝6時30分

俺はいつも通りに起床する。

今日は月曜日、今日から高校2年になる、俺の通う学園は、かなり特殊な所で一応、学年という区分けはあるが、あってないようなものだ。制服に着替えて、自分の部屋を出てリビングに降りる。

すでにテーブルには、今、家にいる人数分の朝食が用意されていた。

「おはよう零牙、起きたのね」

キッチンから声をかけてきたのは、緋色の眼で足元まである美しい長い黒髪の少女、【災月刹那(さいげつ せつな)】、幼馴染の一人で、婚約者の一人だ。

「私達が起こすまで、寝ていても良かったのに」

「そうですね。起こす前に、零牙の寝顔を堪能するのは、婚約者の特権ですから」

「それには同意だね。私達の朝の楽しみだから」

そう言うのは他に朝食の用意をしていた三人、蒼色の眼に蒼い髪を腰元まであるサイドテールの少女、【蒼月朧(そうげつ おぼろ)】、紅色の眼に長い金髪のツインテールの少女、【輝月(きげつ)アンジェ】、琥珀色の眼に腰下まである長い銀髪の少女、【宵月(よいつき)アイナス】、同じく三人共、俺の幼馴染で婚約者だ。

「姉さん達は、もう出たのか?」

俺は、テーブルにつきながら聞く。

「ええ、今日はいつもより早く出たわ」

「それより零牙、食べないのか?」

「いや、みんなを待ってたんだが」

「あたし達は、待たずに先に食べていてもいいのよ?」

「そうそう、零牙はこの家の主なんだから」

「ふふ、本当に真面目ですね」

「それでも、一緒に食べる方がいいだろ?・・・いただきます」

他の4人が席に着くのを確認して俺は、朝食を取る。

俺達の食事はかなり多い、それこそフードファイターかと思われるだろう。理由は、俺達の血筋による体質ともう一人分の食事をしなければならないためだ。

朝食を済ませて、俺達は通学時間まで少しゆっくりしてから家を出る。玄関出ると

「おはようございます。零牙様、姫さま方」

「おはようございます。零牙さん、姫さま方」

家の門の前で出迎えてくれたのは、二人の幼馴染の少年、俺を様を付けて呼ぶのは、黒髪の少年、【久遠影刃(くおんえいじ)】、さんを付けて呼ぶのは、オールバック気味の逆立ったブラウンの髪の少年、【久盾龍護(くじゅんりゅうご)】、二人共いわゆる俺の従者だ。

「二人共、いつから待ってたの?」

「15分ほど前ぐらいです」

「俺達が家を出る直前でもいいって言っただろう?もしくは、五分前でも」

「いえ、やはりきちんとお出迎えをするためには、早めでないといけないので・・・」

「・・・はは、これでも俺が止めたのですが、この時間が限界でした」

「いいじゃないですか。昔よりは直前になりましたよ」

アンジェの言う通り、昔は1時間前から待ってた事もある。それを考えると随分とましになった。

「まあ、そうだな。とりあえず行くか。遅刻して、姉さんに怒られたくないからな」

俺達は、学校に向かって歩き出す。


ーー【龍凰市】

俺達の住む龍凰市は、日本の太平洋領海内にある上空2000メートルにある空中大都市で面積は北海道とほぼ同じ。本土とは、各所に設置された転送用の魔方陣で行き来する。上空ではあるが、高度な魔導科学技術により地上と変わらない環境で、酸素濃度の変化による負荷の心配がない。

龍凰市の中心部に俺の実家である、凰月邸がある。俺の一族、凰月一族と災月・宵月・蒼月・輝月・焔月・ルナフィールド・白月・久遠・久盾の主要な関連一族と他に世界中の様々な一族が、凰月一族に忠誠を誓っているという。

凰月の嫡男である俺も、全てを把握は出来ていない。

この龍凰市は、凰月一族と主要一族が集まる都市であり、これから俺達が向かう学園がある。


学園の門の前には、少し人だかりが出来ていた。

おそらく、その原因は先に出た一人だろう。

原因の少女がこちらに気づいて、こちらに歩いて来る。

「零牙、おはよう」

腰元まである跳ね気味の暗紅色の髪を襟元で一つに結えたロングストレートにした彼女は、【焔月織火(えんげつおりか)】俺の幼馴染で婚約者の一人だ。これで、5人目だが、婚約者はまだあと4人いるのだが、主に俺の祖母が決めている。

「もう手伝いは終わったのか?」

「ええ、母さんは昨日徹夜だったみたいで、朝食を届けに行ったの」

俺達は話しながら門をくぐり、自分達の校舎に向かい歩き始める。

その道中では、良くも悪くも他の生徒たちの注目を浴びる。

それもその筈、俺の幼馴染達は全員が、顔立ちが良く、スタイルもいいのでモデルか何かと思われるほどの美少女と美女達だ。

そのため、道の両脇に集まって注目を集めてしまっているこの光景を誰が言ったか“大名行列”と、俺達は注目を集めつつも自分達の校舎に向かう為、学園内の中心にある、ランドマークというべき月と龍の紋章が描かれた門をくぐると、一瞬で場所を移動して校舎に着いた、異能科の校舎だ。

この【龍凰学園】は、異能科と普通科で校舎が分かれている。

異能科には、特殊能力者達が通っているが、龍凰学園では主に、人界に生きるもの達が主だっている。

ここに通うもの達は普通に魔力を宿していて、大半は英雄の子孫やその身に神代や伝承の生き物を宿しているものなどその出自は様々だ。

そして、普通科とはその名の通り普通の力を持たない生徒達が通う学科なのだが、厳密に言えば、彼らも普通とは言いがたい、単純にまだ目覚めてないだけだ。


龍凰学園の普通科は、少しでも異能力に目覚める可能性のあるものを入学させている。

しかし、強制的に入学させるわけではなく、あくまで、学校案内のパンフレットを送っているだけなのだが、その入学率は100%と確実で、その理由は、授業料やその他諸々が学園側が全て負担するためである。ちなみに一般入試枠は存在する。


俺達は、そのまま大訓練場に向かう。

異能科の授業は基本的に戦闘訓練や魔力訓練や模擬戦が多く一応基本的な裏の歴史についての座学もあるが、歴史の授業はあくまで能力に目覚めて間もなく、今まで異能に関わって来なかった生徒のための授業であり、後は訓練と模擬戦だ。


今日の最初の時間は模擬戦だ。

俺達は制服のままだが、この学園の制服は戦闘用に作られている為、そのまま制服で訓練になる。

模擬戦は、基本的に二クラス合同で行う。

クラスは全部で10クラスあり、アルファからカッパまでのギリシア文字がクラス名に使われている。

俺達は、クラス・アルファに所属しており、

今回はクラス・イオタと合同で行う。

そして、イオタのリーダーは、

「久しぶりだな!零牙!」

そう言いながら近付いて来るのは、イオタのリーダーの【久尾修也(くおしゅうや)】中等部の頃から転入して来て以来、俺の事をライバル視している。

「まさか、休み明けすぐの模擬戦でお前と戦えるとは、修行の成果を試す絶好の機会に恵まれたものだ」

「いや、まだ俺と当たるとは決まってないけどな」

模擬戦はクラスごとにランダムで一人選出されなるべく様々な相手と戦って戦闘経験を積む為だ。

「いいか!今日こそはお前を・・痛っ?!」

修也の言葉が途切れる。

その理由は

「・・何をチンタラやっている?とっととクラスごとに整列しろ」

長い黒銀の髪をポニーテールにした凛々しい美女、【凰月冬華(おうげつとうか)】俺の姉であり、そして何故か婚約者でもある。

何故、実の姉が婚約者なのか?一般的におかしくないか?と前に親族に聞いたことがあるのだが、「お前は凰月だ、世間一般の常識や法は関係ない」とのことだった。

姉さんから頭に手刀を食らった、修也が頭をさすりながら自分のクラスに戻る。

「今日の模擬戦は、休み中の鍛練の成果を見る為のものだ。ちなみに今回は、自分の得物、顕鎧を所持しているものは顕鎧の使用は禁止する。それぞれ用意されている。模擬戦用の武器を使用してもらう。では、各自準備を整えろ!5分後に模擬戦を始める!」

『はい!!』

各クラスごとに、訓練場の両側にある武器庫に向かう。


ー5分後

準備を整えて、訓練場の両側で集合して待機していた。

「よし、全員準備できたな?では、最初の組み合わせを発表する」

ふと、向かい側に目をやると修也がそわそわしていた。

その様子に気づいた、姉さんが少しため息をついて、

「やれやれ・・・最初の組み合わせは、零牙、久尾、前に出ろ」

「はい!」

「はい」

前に出て俺は修也と中央で対峙する。

「零牙、今日こそはお前に勝つ‼︎」

「やるからには、俺も負けるつもりはない」

俺の得物は刀だ。俺の流派は、凰月流零式刀術という片手で刀を振るい、空いた片手で他に武器や魔術や魔法を行使して戦う戦闘スタイルで、対する修也の得物は、刺突剣だ。

「それでは、構えろ」

俺は、半身になって左手で中段で構える。

対して、修也は同じく半身になり左手を前に突き出し、剣を上段で構える。

「・・・・始め‼︎」

姉さんの声が響くと同時に修也が、一気に距離を詰めてくる。

俺に近づくと、さらに踏み込んで刺突を放つ。

俺は逆半身になって刺突を躱す。

躱された、修也が刺突からすぐさま横薙ぎを繰り出す。

それを予測していた、俺は刺突を躱した時からバックステップで距離をとる体勢を取っていた為、すぐさま距離を取り、俺の鼻先を剣先が掠める。

後方へ跳躍した、俺をすぐさま修也が距離を詰めて刺突を繰り出す。

今度は右へ跳躍して躱し、さっきと同じく修也が距離を詰めて刺突を繰り出す。

俺は今度は右半身になり最小限の動きで躱し、大きく後方へ跳躍して距離をとった。

ー成る程、本来の得物ではないから戦闘スタイルを変えているというよりも試しているのか。

今度は、修也も詰めては来ず。

「全く、やっぱりその戦い方は慣れないな」

「悪いな、これが凰月の戦い方だからな」

凰月の戦いはまず、攻撃を防御や回避しながらの観察から始めるが、これは相手の動きや戦法を確認する為だ。

「それより、新しい技を試しているのか?」

「ああ、刺突を新たに取り入れようと思ってな。

休みの間、刺突主体で鍛練してたんだよ。・・・ところで」

修也は、剣を一回転させて構え直しながら

「俺の戦い方は何度も見てきただろ?お前にとっては充分の筈だ。お互い本来の得物ではないとはいえ、俺は、全力のお前を超える。・・・来いよ。零牙」

「・・・そうだな」

俺は、右から左へと刀を振りぬき構え直し

「・・・行くぞ。修也」

一瞬の間を置き、零牙は瞬時に距離を詰める。

修也も向かってくる。刀と剣が激しくぶつかり合い金属音が響き、そのまま競り合うが

「・・っ・・くそっ!」

勢いを殺された修也が押されていた。

零牙は修也を競り押した後、不意に引いた。

競り合う為に力を入れてた修也は、零牙の動きに反応できずに前に体勢を崩した。

そして、返す刀で零牙は攻勢に出る。

零牙は右切り上げを放つ、修也はかろうじて防御するが、受け止めきれず吹っ飛ばされる。

(零牙は予備動作を最小限に動いた為、久尾は一瞬反応が遅れて競り合ってしまった、・・・勢いが零牙に完全に殺されたな)

空中で体勢を整えて地面についた修也が再び向かっていくのを見ながら冬華は思った。

(・・・最初は冷静に攻めれていたのだがな、零牙が攻勢に出ると分かって、追いつきたいと思う余りに意地になったな)

修也が再び零牙に突撃して刺突を繰り出す。

零牙は刀で受け流して、左薙を繰り出す。

修也は、体勢を崩して仰向けに倒れながらも回避する。

零牙は左薙を繰り出した勢いのまま、左切り上げで倒れた修也を攻撃する。

修也は転がりながら起き上がり、距離をとって回避するが、零牙が瞬時に距離を詰めて逆風で、中段の構えになっていた、剣の鍔に引っ掛けて手から弾き飛ばして修也の喉元に刀を突きつけた。

「そこまで!」

決着がついたと判断した、姉さんの声が響いた。

「あ〜また負けたかぁ」

脱力した修也が地面に座って、天を仰いだ。

俺は刀を下ろし、修也に手を差し伸べた。

修也が手を取り立ち上がって

「やっぱり、慣れない戦法だったからダメだったな」

「そんなことはないだろう。それにお前は、本来の得物ではないし、お互いに本当の全力ではないからな、新しい技を試すのは悪くないだろう?」

「それもそうだな。だが、負けは負けだ。俺の鍛練不足だ。また修行して零牙、お前に挑む!今度は全力で戦える対抗戦でだ!」

「ああ、わかった」

そう、数ヶ月後に全クラス対抗戦がある。

対抗戦では、能力の制限はなく全力で戦える。

俺は、自分のクラスに戻る。

『お疲れ様「でした」、零牙「様」「さん」』

皆が労いの言葉をかけてくる。

「次!刹那、関羽、前に出ろ」

再び姉さんの声が響く。

「じゃあ、行ってくるわね」

「ああ、頑張ってな」

刹那が関と対峙する。

「では、始め!」

こうして模擬戦が続いていく。


—午前11時・龍凰国際空港

滑走路に一機のプライベートジェットが着陸する。

タラップから全身を覆うマントと目深くかぶったフードの四人の人物達が降りてくる。

「ここが龍凰市ですか・・・・・成る程、この地は力に満ち溢れていますね。とくに龍の力がとてつもなく大きい、奴が、ここに来たのはこの力が目的ですか」

「どう?気配を感じる?」

「・・・・はい姉上、多数の大きな力に紛れて、微かに奴の邪悪な力を感じます」

「では、魔力探査で探りながら奴を探しましょう」

四人は歩き出し、市内に向かった。


ー・・一節・終



































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