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ロード・オブ・ロード〜零白の皇〜  作者: スメラギ・零
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二章ー六節[開戦・龍凰市防衛戦]

ー翌日、午前・6:45 龍凰市・防衛線

早朝、龍凰市の南に防衛線が引かれた。

予測されている事だったが、テュール率いる軍勢は、南極に近い南の海上に構築した大規模転移ゲートから戦力を送り込んでおり、そこから一直線に進軍。

予想開戦時刻は、午前7時の予想された。

ただし龍凰市側は、既に全軍の布陣を完了しており、現在、全軍に待機が命じられていた。

龍凰市側の陣形は、龍凰市への空域を阻む様に、横に広くした変則的な魚鱗陣形で布陣しており、最奥には龍凰市の主たるツクヨミが搭乗する旗艦・【月輪(がちりん)】。

全領域万能型魔導戦艦【月輪(がちりん)】は、黒をベースに銀色のラインで彩られ、艦首は龍の頭部を模しており、後部に巨大な満月の様な光輪と流麗な翼を持ち、艦底には爪の様なランディング・ギアを備え、兵装は全て各部位内蔵式となっており、外付けの追加武装も可能なキャパシティを持つ全長500メートル級の美しい流線形の魔導戦艦で、凰月が保有するオーバー・テクノロジーかつロスト・テクノロジーで建造されており、その性能は計り知れない。

龍凰学園の各クラス専用中型戦艦は、最前より2列目に半分づつ右翼と左翼に分かれて布陣していた。


ー午前6:55

龍凰市へ阻む様に布陣した、龍凰学園を含む【セレネ・レギオン】と対峙する様に、遠くの空域にテュール軍の大艦隊が布陣した。

その最奥には、テュール軍旗艦、ヴァルハラ級魔導戦艦【ティウダンス】が確認できる。

零牙達、クラス・アルファの面々は、専用艦の甲板上にて待機していた。

クラス・アルファ教官かつ主任教官である冬華に、ツクヨミから通信が入った。

「冬華、一応の警告を」

「・・・了解」

冬華は、短く返事をするとオープン回線を開いた。

「こちらは龍凰学園・セレネ・レギオン所属、凰月冬華だ。お前達は龍凰市の領域で許可無く軍事行動を行なっている。直ちに転進し軍を退け。さもなくば、力づくで排除する」

しかしーー

「全軍、攻撃開始ーー」

冬華が警告を発したその直後、テュールの号令により、テュール軍全艦から全砲門による一斉射が開始された。

「愚かな・・・。戦とは、先手を取るものだ。そして、貴様達は皆殺しと最初から決まっているのだ」

ティウダンスの艦長席で、頬杖をついて嘲る様にテュールが言った。

幾重もの長距離ビームが、セレネ・レギオンの大艦隊に迫った。

だが、最前列の戦艦群に直撃する前に全面に集中展開した魔導シールドによって全て防がれた。

「ほう・・・備えはしていた様だな。少しは抵抗してくれねば、面白くないからなぁ?」

テュールの艦隊から、クラフティ・メイルを纏った下級神、簡易なカメラアイの頭部のT字の人型戦闘ドローンが出撃する。

そしてーー

「開け。我がヴァルハラよ」

ーーガコン。ゴゴゴ

ティウダンスのヴァルハラ・ゲートが重々しい音を響かせながら開いていく。

そして中から、空を埋め尽くす程のクラフティを纏ったエインヘリアルが出撃した。

テュールは左腕で頬杖を突きながら、右腕を前方に翳し、下知を下す。

「さあ・・・行くがいい、我が軍勢よ。我が前に蔓延る下等な蛮族どもを滅ぼし、我に神槍を献上せよ!」

テュール艦隊の攻撃が断続的になり、出撃した大軍が一気に押し寄せる。

その数は、約10000の戦闘艦の三倍以上の30000強。

「7時・・・予想通りね。・・・冬華」

「・・・了解」

【月輪】の艦長席にて押し寄せる大軍を確認して、予想通りの結果に驚く事も無く、ツクヨミは冬華に指示を出す。

今回、全体の指揮はツクヨミが執るが、最前線の指揮は冬華に一任していた。

戦艦の甲板上で、冬華は【氷皇】を呼び出して抜き放ち、天に向けて掲げた。

「セレネ・レギオン全軍に告げる!現時刻を持って、軍神テュールを敵性存在と断定する。全軍、オープン・コンバット!敵を殲滅せよ!」

『イエス・マム‼︎』

セレネ・レギオンの艦隊より、戦闘員達が出撃していく。

彼らは皆出撃の際に、各々のクラフティ・メイルまたはオリジン・メイルを瞬時に纏って、敵軍に突撃攻撃を開始していった。

「さて、私達も行くか?零牙?」

冬華は、【氷皇】を鞘に戻して零牙の方へ振り返り言った。

「・・・ああ、行こう。皆」

零牙は、艦首の先端に向かって歩きながら言った。

皆も零牙に続いて歩き出す。

零牙は先端から倒れ込む様に自由落下しながら、同時に顕現する。

「我が身に宿るは黒き皇。・・・其は、始原の一振り」

落下する零牙に重なり追随する様に膨大な漆黒の魔力が溢れて、龍の姿を象る。

「世界に響くは龍の咆哮」

魔力体のサイファスは、両翼を広げる。

「万有の力を制御せし黒皇龍よ・・・我が身に纏て顕現せん!・・・シュバルツシルト・ジ・カイゼル‼︎」

サイファスは零牙を両翼で包み込んで鎧となり、零牙は、黒皇龍鎧を纏う最中に残りの顕現文を唱える。

「全てを裂断せし、皇たる龍刃!」

零牙の左側に追随する様に空間の裂け目が形成され、そこから刀の柄が現れる。

「抜刀・・・天羽々斬【(スメラギ)】‼」

零牙が左手で逆手に柄を掴んで、刀を引き抜くと同時に鎧の顕現が完了した。

零牙は、頭から自由落下していた体を捻り、体勢を元に戻して”鎧の両翼を広げた“。

「行けるか?サイファス?」

(ああ、“枷”が一つ外れたからな。魔光翼を使用可能だ。飛行は十全に可能だが翼での攻撃は控えろ、いいな?)

「了解だ」

昨日のスカアハとの模擬戦で枷が一つ外れたお陰で、

零牙は自身の顕鎧の本来の性能を一つ取り戻した、それが、”魔光翼“だ。

ただし魔光翼を使える様になったが、以前として魔力の総量には限界があり、一段階使える魔力が増えたが、まだ考えて魔力を使用する必要があった。

ーーバサァ

零牙は鎧状の翼から、漆黒色の巨大な光の翼を形成した。

高出力で形成された漆黒の光翼は、周囲の雲を吹き飛ばす。

ーーブォォォォォッ

零牙は、魔光翼の出力を増大させると、超高機動による漆黒の残像を撒き散らしながら一気に乗っていた戦艦の高度まで駆け上る。

戦艦の高度まで上がった零牙は、滞空して敵軍を見据える。

零牙の周囲には、スカアハ、フェンリル、朧、アンジェ・龍護、影刃以外の面々がそれぞれのオリジン・メイルを纏って零牙を待っていた。

ちなみに、アンジェはまだ自分の内に眠るオリジンが”目覚めていない”為、専用に用意改造されたクラフティ・メイル【MD・A型(マグナス・ドラゴンA型)を使用する。

零牙は、フェンリルの権能で空中に生成した氷の結晶に立つ朧に声をかけた。

「朧、無理はするなよ。少しは戦える様になったとは言え、この戦い、いつまで続くか分からないからな」

「分かってる。零牙こそ、無理は禁物よ。魔力に制限がかかってるんだから」

「分かってるよ」

(心配するな、朧。俺がちゃんと調整する)

零牙は敵軍に向き直り、左で逆手に持った【(スメラギ)】を順手に持ち替えて一度振るう。

零牙は魔光翼の出力を増大させて、残像を撒き散らして敵軍に斬り込んでいった。

零牙に続き、朧、フェンリル、アンジェ、アリシア、モルガン、クレア、エレイン、龍護、影刃以外のアルファの面々も斬り込んでいった。

そして、幾つも残像を伴う光条が敵軍を薙いでいく。

「・・・・・・」

(朧、大丈夫か?)

「アズラル・・・。ええ、大丈夫よ。零牙が、皆が、この二年見守ってくれていた。そして、冬華姉さんとノルンが模擬戦できっかけを与えてくれた。後は、私が皆の想いに応えるだけ・・・」

隣で待機していたフェンリルが口を開く。

「朧様、お供いたします」

「・・・フェンリル」

「朧様の好きな様にさせろと、零牙様と冬華様から言われておりますから。ですが、フォローはさせてもらいます。朧様に何か有れば、零牙様や他の姫様方に顔向け出来ません」

「ええ、ありがとう」

「・・・スゥー・・・ハァー」

朧は深呼吸して、息を整えた。

「ごめんなさい【剣皇】、アズラル。長い間待たせてしまって・・・でも、もう大丈夫。もう一度、共に‼︎」

朧は、前方に右手を翳した。

「来て。・・・其は、剣聖の一振り」

前方に空間の裂け目が現れた。

朧が右手を上に翳すと追随して空間の裂け目も頭上に移動する。

「全てを創りし、創成の龍刃!」

裂け目より、濃密な魔力が何本もの刀を象って朧の周囲を旋回した後、朧の翳した右手に集まり重なり、やがて淡く蒼に輝く刀身を持つ鍔の無い蒼い長刀へと形を成す。

「抜刀・・・天羽々斬【剣皇】‼︎」

朧は、今度こそ完全顕現した天羽々斬【剣皇】を見つめる。

【剣皇】は、何処と無く嬉しそうにいつもより強く刀身が蒼に輝いていた。

「ふふ、ごめんね【剣皇】」

朧は、その輝きを見て嬉しそうに【剣皇】に向かって言った。

「さあ、行きましょうアズラル!」

(ーーああ‼︎)

朧から、膨大な蒼い魔力が溢れ出す。

「我が身に宿るは、蒼き皇」

蒼い魔力が、巨大な龍を象る。

「世界に響くは、龍の咆哮」

魔力で象られた【蒼皇龍アズラル】は、両翼を広げる。

「幻影を生みし蒼皇龍よ、我が身に纏い顕現せん!」

アズラルが両翼で朧を包み込み、鎧と化して融合していく。

「ブラウ・ジ・カイゼル‼︎」

基本的な形状は零牙達と似た流線型の蒼い龍鎧。

背部には流麗な鎧状の翼と鎧状の尻尾。

その先端には細い刀身、腕部はスラリとしており装甲は薄いが、透明度の高い蒼いクリア状の刃が両腕に一対備えられている。

そして装甲の各部にも同様のクリア状の刃が、腕部と合わせて、大小4対。

頭部ヘルムは、大角一対小角4対の計五対の角がサイドに備わっており、頭頂より朧のサイドテールを思わせる様な装飾が後ろに流れている。

ーー【蒼皇龍鎧(そうおうりゅうがい)

顕鎧生命体・蒼皇龍・アズラルが全身鎧となった姿。

無論、朧に最適化された完全顕現状態の姿である。

「実に二年振りね、実戦で纏うのは・・・」

(出力の調整は私に任せて、思うままに動きなさい朧!)

「ーーええ!蒼月朧・・・参る‼︎」

ーーブォォォォ!

朧は鎧翼を広げ魔光翼を高出力で形成し、静止状態より蒼い残像を撒き散らしつつ超加速して前線に向かった。

朧は前方に確認した敵小隊にターゲットする。

そして、更に加速して斬り込みーー

「ーー⁉︎て、敵・・・ガハッ⁉︎」

小隊の最前にいたエインヘリアルは、歴戦の経験から朧の接近に気付くが、警告を上げる前に袈裟がけに斬り捨てられた。

朧は、そのまま近くのエインヘリアルに距離を詰める。

「ーー迎撃しろ!」

ーーダダダダダダ!

朧に数十のルーン弾による射撃が放たれる。

その幾つかは朧を貫いた。

「ーーな、何⁉︎」

弾丸に貫かれたにも関わらず痛みも怯みもせず、何事も無かった様に、全く被弾の反応も見せずに、そのままターゲットした敵を斬り捨てた。

ーーザンッ

「ーーグぁッ⁉︎」

「ーー今だ、撃て!」

残るエインヘリアルは、斬撃を繰り出した直後の一瞬の隙を逃さずに、一斉に連射した。

ーーダダダダダダ!

射撃はまたして朧に命中するが、全く被弾の反応は無く、それどころか朧の姿は、揺らめいて消えていった。

「ーー幻影だと⁉︎馬鹿なッ!いつの間ーーグハッ⁈」

そう言ったエインヘリアルが、いつの間にか背後に回り込んでいた朧に斬り捨てられた。

「クソッ!よくも!」

静止した朧に背後から連射するが、朧は残像を撒き散らすスライド機動で回避して、一瞬で距離を詰めた後、すれ違いざまに斬り捨てる。

「ーーガハァ・・・」

周囲のエインヘリアルが朧を狙い銃口を向け、射撃し続けるが、超高機動で飛行する朧本人を捉えられず、撒き散らされる残像に翻弄され、弾丸は全て残像を通り抜けるだけだった。

「・・・行け」

朧が呟くと共に、半透明だった残像が一瞬で実像になって周囲のエインヘリアルに、朧と同様の残像を撒き散らす高機動で縦横無尽に飛行しながら斬りかかった。

自分に迫る幻影に対してエインヘリアル達はそれぞれ攻撃するが、攻撃はすり抜けるだけだった。

「ーークソッ!何故、当たらない⁉︎ーーぐあぁぁ!」

「ただの幻影が何故攻撃力をッ⁉︎ーーがぁぁぁ!」

ーーザシュ!

同時に斬り捨てる音が響く。

幻影への攻撃は一切の意味を成さず、朧と同様の高機動かつ攻撃力を有する幻影は、瞬く間にエインヘリアル小隊の残りを斬り捨てた。

倒されたエインヘリアルは、光の粒子となって消えていった。

役目を終えた幻影は、スゥと消えていった。

「・・・先ず一つ。次だ」

朧は別の敵に向かって、残像を撒き散らしながら向かった。

「・・・【幻真(リアリティ・ミラージュ)】。私が言うのもなんだが、やはりとんでもない能力だな」

権能で氷結の足場を創り、朧を追いながらフェンリルは呟いた。

蒼皇龍鎧の固有能力は【幻真(リアリティ・ミラージュ)】。

幻真(リアリティ・ミラージュ)】は、幻影を生み出す。

または、あらゆる事象に幻影を付与する能力で有る。

その幻影はただの幻影では無く、同一の攻撃・機動性を備えた幻影を朧の思うがままに生成出来る。

幻影を付与する場合ーー例えば斬撃ならば一度の斬撃で、幻影により斬撃の瞬間に、同一の攻撃力を備えた斬撃を複数の方向から同時に発生させることができる。

これにより、本来なら同時に複数の斬撃を一瞬で繰り出すのは、達人クラスでも容易な事ではない筈が、朧は少ない魔力で、瞬時かつ容易に行うことが出来る。

幻影であっても同様に、自分と同一の攻撃力と機動性を備えた幻影を瞬時に生成、または魔光翼の超高機動の際に発生する残像を幻影に変換する事もできる。

そしてその幻影は被弾しても、怯む事なく完全に消滅もしくは朧が意図的に消すまで戦闘が可能で、魔力反応も本体と同一の為、見分ける事はまず困難で有り、たった一人で集団戦闘を展開する事が出来る。

『がぁぁぁッ‼︎』

次に朧の強襲を受けたエインヘリアル小隊が、同時に斬り捨てられ、同様の断末魔をあげた。

朧が超機動で強襲し、一瞬で小隊分の幻影を展開して斬り捨てた。

強襲から小隊殲滅まで、僅か1秒の出来事だった。

「二年・・・まともな実戦をしていないとは思えない戦闘力。流石は朧様だ。・・・さて、奴らの接近に朧様は気付いておられるだろうが、私が掃討しよう」

時すでに遅しだが、朧に強襲された小隊を援護に来た下級神の小隊が朧に接近しつつあった。

フェンリルは、一気に速度を上げて小隊の前面に躍り出た。

「て、敵襲!・・・お、狼だと⁈」

「遅い・・・!」

ーーゴォォォォォ!

フェンリルは、周囲の四方向の空間から権能によって局所的な小規模の氷嵐を発生させ、小隊にぶつけた。

四方から氷嵐が小隊を飲み込みぶつかり合って、完全に身動きが出来なくなる。

「こ、これは⁉︎」

「バカな⁉︎これは、フィンブルヴェトの権能⁉︎まさか貴様はーー」

そう言った下級神小隊の隊長は、猛吹雪の先にいる白銀の大狼に“蒼銀の神狼”の姿が重なって見えた。

【狼の(フィンブルヴェト・ヴォルフ)】の権能により発生した氷雪によって、隊員達が“崩壊”の効果により消滅していく中で、テュール派の中では死んだと思われていた名を、驚愕と迫る死を感じながら口にする。

「生きて・・・いたのか⁉︎フェンリルーー・・・」

その言葉を最期に、小隊は出撃してから一切の戦闘行為を行えずに全滅した。

「・・・艦隊が、前面に出て来たな。ならばーー」

フェンリルから膨大な魔力が周囲に溢れ出す。

「来たれ。其は、ユグドラシルの欠片。北欧の戒め、神なる縛鎖よ・・・我が元に顕現せよ!」

フェンリルの魔力が周囲に6本の鎖を象った。

「ーー【神鎖・グレイプニル】‼︎」

フェンリルの周囲に先が矛となっている蒼銀の鎖が6本顕現し追従する。

フェンリルがグレイプニルを顕現したのを見計らってか、また小隊を殲滅した朧が、バレルロールで身を翻して艦隊に向かう。

「あの艦隊をやるわ、。フェンリル、ついて来て!」

「ハッ!」

朧は前線に出てきた艦隊を殲滅する為、残像を撒き散らす高機動で肉薄していく。

フェンリルも朧の後に続いて、権能で足場を創りながら駆けていく。

間もなくフェンリルが戦闘距離に到達するが、既に朧は艦隊に斬り込み、縦横無尽に艦隊の間を機動性で撹乱しながら、【幻真(リアリティ・ミラージュ)】による攻撃を仕掛けて艦隊を分断していた

フェンリルは、分断された艦隊の半分に狙いを定めた。

「・・・行け、グレイプニル」

フェンリルの意思により、グレイプニルがそれぞれ別々に敵兵に向かって放たれる。

グレイプニルは、狼が狩りをするかの如く襲い掛かり、先に備えられた矛で貫いていく。

「こ、これは⁉︎」

「防ぎきれない!ーーぐあぁ!」

ーードシュゥ!

権能で創り出した足場に立つフェンリルに向けて、複数の戦艦よりビームが放たれた。

だがそれは、フェンリルが少し意識を向けただけで一本のグレイプニルが射線上に割って入り、容易に防ぐ。

攻撃を仕掛けた戦艦の内の一つの艦長は、驚愕の声を上げた。

「バカな⁉︎防がれただと⁉︎奴は何だ‼︎」

「分かりません!こちらのデータには有りません!」

「所詮は獣風情だ。全艦、全砲門開け!奴を消し・・・ーー‼︎」

ーーズゥン!

斉射の指示を出そうとした言葉は、艦を襲った衝撃によってかき消された。

「ーー何だ⁉︎」

「か、甲板上部に被弾!いえ、何かが・・・貫いて・・・こ、これは⁉︎・・・あの鎖です!」

ーーブゥン・・・

「火器管制システムがダウン!いえ、エンジンからのエネルギー供給が別の物に供給されています‼︎」

「別の物⁉︎・・・あの鎖か‼︎」

甲板上部に突き刺さったグレイプニルは、魔導エンジンのエネルギーを吸収していく。

「艦のエネルギーが、全て鎖に吸収されていきます!」

「あの鎖・・・それにこの能力・・・何処かで・・・」

「まさか・・・!グレイプニル、なのか⁉︎」

艦長は驚愕しながら鎖の名を口にした。

「ーー艦長‼︎」

クルーが、切羽詰まった声を上げた。

「何だ⁈」

「鎖の先に膨大なエネルギーが収束しています!」

「何だと⁉︎」


ー・・・

フェンリルは、権能で空中に生成した足場から動かずにグレイプニルによって、朧によって分断された小規模艦隊の半分、6隻全てを掌握していた。

そして今はトドメを刺すべくグレイプニルの矛先に奪ったエネルギーを収束していた。

周囲に出撃していたエインヘリアルや下級神は、既に【狼の(フィンブルヴェト・ヴォルフ)】の権能で艦隊を包む様に発生させた局地的猛吹雪により氷結・崩壊して、残る者はごく僅かだった。

「終わりだ・・・!」

ーービィィィィィ!

その瞬間、6本のグレイプニルの矛先に収束し、グレイプニルによって増幅された奪った魔力が細い照射ビームとなり、爆発的に拡散して乱雑に照射された。

ゼロ距離から拡散照射されたビームは、戦艦を細切れに引き裂き、魔導エンジンを確実に破壊し、戦艦を爆散させた。

ーードォォォォォォォン!

六つの爆発が起こり、空気を震わせた。

「全く。元はお前たちが使った物だろう。能力上、こういう使い方も想定しておけ」

それを聞く者は居ないが、フェンリルは呆れながら呟いた。

「・・・・」

フェンリルは前方から自分に近づく気配に気付き、そちらに顔を向けると新たな敵、下級神と戦闘ドローンで構成された中隊規模の敵が前方に接近していた。

「最期に聞こえた通信は、聞き間違いだろうと思っていたが・・・。毛色は変わっているが、貴様・・・フェンリルか?」

中隊を率いる中級神である隊長が、武器を向け、最大限に警戒しながら聞いた。

「ほう・・・。いずれバレるとは思っていたが、漏れ聞こえた通信内容だけで、私をフェンリルだと断言出来るとはな」

「戯言を・・・。貴様、隠す気など無いだろう。権能にその鎖・・・。権能はともかく、何故グレイプニルを自在に操っているのかは解らぬが・・・その権能は、我等にとっては悪夢そのものだ」

「ん?・・・成る程。お前達、1500年前のあの場にいたか?ならば、不思議はないな。テュールの配下など、相手を碌に観察もせずに侮る者ばかりだと思っていたが・・・1500年も経てば、少しは戦いの基本を学ぶか?」

「貴様ッ‼︎偉大なるテュール様が率いる、我等栄光の神兵を愚弄するか‼︎」

しかし、フェンリルはそんなテュールを讃える言葉に呆れる。

「偉大?栄光?お前達は、奴の何を見ている?奴にあるのは、他者は自分に従うのが当然と言う考えと誇大な自尊心だけだ。神としての力を持っていようと、奴の器量は神として相応しく無い。ましてや、最高神への復権など笑止千万」

「獣風情がッ‼︎奴を殺せ‼︎」

激昂して中隊が一斉にフェンリルに攻撃を開始する。

ーージャラ

しかし、中隊は全員一斉に動きを止めた。

いや、“拘束”された。

「こ、これは⁈」

「動けん!たかが一箇所だけだというのに⁉︎」

中隊全員にそれぞれグレイプニルが、一本ずつ一箇所を拘束していた。

「元々グレイプニルは、お前達が私を拘束する為に使った物だろう。私が自在に操作出来ると分かっているならば、予測しておく出来だろう?」

「何故だ⁈完全に拘束しなければ、効果は発揮されない筈!」

「それは、未完成で共鳴を起こしていなかった時の話だ。我が顕装となり完成したグレイプニルは、接触するだけでいい」

「こんな鎖如き‼︎」

隊長の男は、剣を振り下ろして脚に絡み付いたグレイプニルを切ろうとした。

ーーギィン!

「くッ⁈バカな!」

グレイプニルはびくともしなかった。

「無駄だ。その程度ではグレイプニルには傷一つつかん。・・・終わりだ」

フェンリルの身体が一瞬蒼銀の光を放った瞬間ーー

ーーピキピキピキ

フェンリルがグレイプニルに【狼の(フィンブルヴェト・ヴォルフ)】の権能で氷結させて、中隊全員に“崩壊”を伝えていく。

「ぐ⁉︎身体が凍って⁈」

「た、隊長!助けーー」

「ああああ!」

中隊は次々に氷結・崩壊していき、残すは中級神の隊長だけとなった。

「クククク・・・」

「何がおかしい?」

自身の身体が凍っていく中で突然笑い始めた。

「何、例え今死のうがテュール様の軍は不滅だ。我等は死んでもエインヘリアルとして復活するのだ!」

「ヴァルハラ・システムか。・・・成る程、奴は自身の軍勢全てを登録したのか・・・」

「そうだ。故にテュール様の勝利は揺るがぬ!貴様らが幾ら戦力を削ろうが無駄な事だ‼︎」

「・・・・・」

「クククク、またすぐに戻って来るぞーー」

その言葉を最後に隊長の男は、氷結し崩壊した。

「・・・・奴に勝利は無い。1500年前から、テュールの滅びは確定している。それを為すのは、我が皇だ」

フェンリルはそう呟いた後、敵を倒しながら朧の元に向かった。


ー・・・

『ぐあぁぁぁ‼︎』

上空から無数に枝分かれした青い槍【ゲイボルグ・フレスヴェルグ】が降り注ぎ、更に降り注ぐ槍と交差する様に黒い槍【ゲイボルグ・ニーズヘッグ】も無数に枝分かれして放たれた。

無数に枝分かれして交差した二本の魔槍は、下級神、エインヘリアル、戦闘ドローン、戦艦と多数の敵を貫き容易く屠った。

朧、フェンリルと別れたスカアハは単独もとい、“一人と二匹”で敵軍と交戦していた。

スカアハは、飛行のルーンを使用せずに黒い影のような物を瞬時に生成し足場にしていた。

「ば、バカな⁉︎影の国が介入すると・・・言うのか⁈」

辛うじて即死は免れた下級神の男がスカアハに問う。

だが、その下級神の男も即死は免れたとは言え、クラフティを纏った身体は、魔槍により半身がクラフティ諸共大きく穿たれており、瀕死の状態だった。

「我が夫となる男にお前達は刃を向けたのだ。当然の事だろう。そもそも、龍皇市を敵に回すという事自体が間違いだ。我が国や同盟を結んでいる勢力全てを敵に回すという事に他ならぬ」

「バカな⁉︎抑止力たる影のーーッ!」

ーーザシュ!

男は最後まで言う前に、高速で上空から飛来した【ゲイボルグ・フレスヴェルグ】によって貫かれ絶命した。

フレスヴェルグは、そのままスカアハの元に舞い戻り、絶命した下級神の男は、光の粒子となって落ちて消えていった。

「・・・他愛の無い」

スカアハが最初に相対した敵勢は、瞬く間に殲滅された。

力の十分の一も出さずに、零牙の花嫁たる“証”で有る自身の天羽々斬すら呼ばずに。

戻って来たフレスヴェルグを掴んでスカアハは呟く。

「さて、私の予測ではそろそろヴァルキリーを投入して来る頃だが・・・」


ーー・・・

ーティウダンス・艦橋

「テュール様。こちらの戦線が押されつつ有り、各前線から救援要請が・・・如何なされますか?」

戦況は龍皇市がテュール側の戦線を押し留め、精鋭達が前線部隊の戦力を瓦解させていた。

「ふむ・・・やるでは無いか。まあ、幾ら我が戦力を削ろうが無駄な事だが。では、救援に応えてやるとしよう・・・ヴァルキリー部隊を投入せよ!」

「ハ!ヴァルキリー部隊に次ぐ!出撃されたし。繰り返す、全ヴァルキリー部隊は直ちに出撃せよ!」


ー・・・

「スカアハ様、予測通りヴァルキリーが投入された様です」

右手に持つフレスヴェルグがスカアハに言った。

「何とも、分かり易い。戦力の随時投入は基本では有るが・・・仮にも軍神が、システム頼りとは情け無い」

「スカアハ様、一息に攻めますか?」

左手に持つニーズヘッグが言った。

「いや、”まだ“その時では無い。しばらくは戦線の維持に努めるぞ」

『ハ!』

スカアハは黒い影の様な足場に立ち、その場でニ槍を優雅に携え、復活した者も混じった敵の大軍を待ち構えた。


ー・・・

「凄え・・・!」

クラス・イオタ専用艦の甲板上で待機している修也は、戦艦を多数含む敵の大軍を瞬く間に全滅させたスカアハの戦闘力に感嘆の声を上げた。

「あれが・・・影の国の女王の力・・・」

「ええ、凄まじいわね。私達は、まだまだ足元にも及ばない・・・」

隣にいた雲蘭も同じだった。

「まあ、経験も力も培った物の格が違うからな」

「黄教官・・・」

後ろで通信していた幽龍が言った。

「出撃ですか?」

「ああ、敵がヴァルキリーを投入した。我々は前線の援護と抜けた敵の排除だ」

『了解!』

幽龍は、戦艦を前方に進ませる。

前線で有る第一ラインと先程まで待機していた第二ラインとの中間地点まで進ませ、幽龍は指示を出す。

「ここに布陣する。修也、纏え」

「了解!・・・行くぜ、ヴァスキ!」

(ようやくか、待ち兼ねたぞ)

「我が身に宿るは、九頭の王。世界に響くは龍の咆哮」

修也より魔力が溢れて、背後に九つの頭を持つ龍を象る。

「界滅の毒持つ九頭龍王よ、我が身に纏て顕現せん!」

魔力で象られた【九頭龍王・ヴァスキ】が修也に覆い被さり融合して行く。

「レクス・フォー・・・ジ・ヴァスキ‼︎」

ー【九頭龍王鎧】

全体的なデザインは人型の龍といった様相だが、零牙達の「皇」を冠する鎧と違い、滑らかな丸みを帯びた受け止めるよりも受け流す事に重きを置いた、暗色の青い流線型の装甲。

格闘戦と近接防御を主軸にした、格納兵装の無いガントレットと脚部装甲。

修也は、まだ「魔光翼」を使用出来る魔力は無い為背部には翼は存在しないが、背部からは龍の頭を模した形状の砲口が8つそれぞれ龍の首で繋がっており、フレキシブルに動く武装として使用でき、本体の頭部には一角を戴き、本体頭部と背部の8つを合わせた「九頭龍」となる。

尻尾も九つ有り、尻尾の先は砲口が開いている。

そしてこの形状から得意とするのがーー

修也は、どっしりと甲板に脚をつけて8つの龍頭を等間隔に広げ、口腔部の砲口に魔力を収束しーー

「砲撃、開始!」

ーードドドドドドドド!

8つの龍頭より、魔力ビームを速射した。

遠くの前線に砲撃が飛び、多数の敵を撃ち貫き、撃ち落として撃破する。

「そのまま続けろ、修也」

「了解!」

「他の者は、修也の援護だ。我々は、このラインを維持する!」

『イエス・マム!』

「まあ、私個人としてはヴァルキリーと戦いたいがな」

「教官・・・流石に抑えてください。凰月教官に怒られますよ?」

無類のバトルマニアで有る幽龍は、本音をこぼすが、それを雲蘭が嗜める。

「分かっている。だが、情報にあったヴァルハラ・システムに、テュールが自軍全員をエインヘリアルとして登録しているならば・・・この戦い、頭を叩かねば終わらんぞ?」

「敵は無限に復活するという事ですか?」

「戦艦や戦闘ドローンは、破壊されればそれまでだが。エインヘリアルは神の魔力が続く限り復活するだろうな」

「・・・・」

「何にせよ、備えておけ。状況によっては、前線に移動する」

「了解です」

雲蘭が返事をすると、幽龍は戦況を見守る為、遠くの前線に目を向けた。


ーー・・・

刹那は、ヴァルキリーの大部隊を相手に戦っていた。

「行け、ブレイド・・・!」

そう言うと、既に刹那が纏っていた【禍皇龍鎧】の鋭い刃の様な装甲から、小さい刃が十数本射出された。

小刃は縦横無尽に周囲を飛び交い、一斉にヴァルキリー達に襲いかかった。

「コレは⁉︎なんーー」

ーーザシュザシュザシュ

ヴァルキリーの一人が言い終わる前に、数本のオート・ブレイドがそれぞれ別方向から、高速機動ですれ違いざまに斬り裂いた。

「くっ!この!」

一人のヴァルキリーが剣を振るい、斬り落とそうとするも、小刀程度の大きさかつ高速機動で不規則に飛び回るオート・ブレイドを捉えるのは至極困難だった。

ヴァルキリーが振るった剣は空振りに終わり、カウンターの様にすかさずオート・ブレイドが数方向から襲いかかり斬り裂いた。

ー【オート・ブレイド】

主に零牙達が持つ龍の顕鎧が装備したもので、大小の刃状、もしくは剣状の部位を飛ばし遠隔操作する思念誘導兵装。

大きさは個人によって違うが、共通するのは破壊する事が困難な点だ。

顕鎧が発現させる思念誘導兵装は、そのものが装甲の一部位が変化したもので有る為、本体の装甲と同一の防御力を誇る。

したがって、本体と同じ防御力を誇り、高速で機動する思念誘導兵装を捉えて破壊するには、相応の技量と力が必要になる。

もちろん、この思念誘導兵装を操るには相応の適性が必要になるが、そもそも零牙や姫達は、【龍剣の円舞(ドラゴニック・サークル)】と言う攻防一体のオールレンジ魔術を習得し扱える為、こうした兵装を扱うのはお手の物だった。

そして操作は、刹那だけがしているだけでは無く、宿るパートナーで有る【禍皇龍・セイブル】も操作していた。

「こんな、鱗如きにッ‼︎」

ヴァルキリー部隊の隊長と思われる女性が、たった今斬り刻まれそうになっていた隊員を庇い、手に持つ盾を翳して自身を覆う障壁の展開して、数本のオートブレイドを防いだ。

「フン!他愛無い。疾さは面倒だが、我が護りを突破する攻撃力はないーーッ⁉︎」

障壁でオート・ブレイドを食い止めた隊長がそう言うが、言い終わる前に高速接近する刹那に気付いた。

刹那は、残像を撒き散らす高速機動で、動きを止めた隊長のヴァルキリーに向かって左手の爪で貫く様に一直線に突撃した。

ーーガキン!ジジジジ・・・

全て、読んだ通りだった。

オート・ブレイドは何も攻撃だけでは無い。

刃による攻撃、装甲による防御、そして陽動にも使える万能兵装だ。

オート・ブレイドは止められたのではなく、ワザと防がせたのだ。

刹那の鋭利な爪は、隊長の障壁に阻まれて届かなかった。

「無駄だ!ヴァルキリー専用のルーン・シールドは、守りのルーンを何倍にも増幅する機能が備えられている!貴様の様な小娘如きの攻撃で突破する事は出来ぬ!」

ヴァルキリーの隊長が勝ち誇った様に言うが、刹那は驚きもしなかった。

「・・・あたしに魔力は、通用しない」

「何⁈ーーなッ⁈ば、バカな⁈」

障壁にヒビが入り、隊長の目が驚愕に見開かれる。

ーーバリン!

刹那の爪は、障壁をいとも簡単に食い破った。

「終わりよ・・・【絶皇】!」

左手のガントレットから天羽々斬【絶皇】の刀身が高速でせりだし、パイルバンカーの様に突き出される。

突き出された【絶皇】は、固有能力で有る「断絶」によってルーン・シールドの機能を断ち切り無効化しながら貫き、更に相手の纏うヴァルキリー専用のクラフティ・【ワルキューレ】の防御ルーン、装甲に流れる魔力を無効化し、装甲強度だけになった鎧を貫き、その先の胸を貫いた。

ーーザシュ!

「ーーガハッ!ば、かな⁈・・・ヴァルキリーの、ルーンを・・・容易く・・・」

刹那は左手を振って、隊長のヴァルキリーから鮮血を撒き散らしながら刀をひき抜いた。

ヴァルキリーの隊長は支えを失って堕ちていき、やがて光の粒子となって消えていった。

「貴様‼︎よくも‼︎」

隊長を失った残る隊員達が刹那を包囲して、一斉に手に持つルーン武器から、魔力砲撃を全方位から仕掛けた。

ーーダダダダダダ、ビィィィィィ、ダン!

連射弾や照射ビーム、単発弾が、ヴァルキリー達の持つ近接武器より放たれて刹那を襲う。

しかし、刹那は回避機動を取ることも防御する事もなく、滞空していた。

(愚かな、我等に魔力が効かない事は一度見れば分かるだろうに。奴のヴァルキリーはこの程度か・・・終わらせろ、刹那)

刹那の中に宿る、【禍皇龍・セイブル】が呆れながら言った。

刹那は、全身の装甲に無意味な攻撃が当たって消えて行く様を感じながら返事をする。

「ええ、そうね」

ーーチャキ・・・バシュン

刹那は両腕を胸の前でクロスさせ、鎧の各部からオート・ブレイドを周囲に射出して展開する。

「く、くそ⁈何故効かない⁈」

「全て出し切れ‼︎隊長の仇を‼︎」

残るヴァルキリー達が、更に砲撃を激化させるが、刹那の敵性魔力無効化体質により、全て無意味な攻撃と化す。

ーーシャリン!

刹那は激化した砲撃を意にも介さずに、クロスさせた両腕のガントレットから、顕鎧を纏っている際に二振りの長刀へと変化する【絶皇】の刀身を迫り出し、先に刀身を備えた長大な尻尾を身体の全面へと巻きつける様に持ってきた。

「・・・【三の太刀・嵐禍(らんか)】!」

魔力刃を生成して刀身を伸張した十数本のオート・ブレイドが刹那の周囲を高速で乱旋回し始める。

ーーザン‼︎

刹那は、両腕の【絶皇】と刀身を備えた尻尾を一気に周囲を薙ぎ払い、得物で有る【絶皇】、全身の刃の様な装甲、刀身を備えた尻尾、そして周囲を高速で旋回するオート・ブレイドより、無数の斬撃波を乱舞させた。

漆黒と縁が紅で彩られた魔力の刃が、刹那を中心に周囲に出鱈目に乱舞して、周囲の空間を微塵に斬り刻む禍々しい斬撃の嵐が生まれた。

「ーーなッ⁉︎」

「ーーコレは⁉︎」

「ーー全員、防御だ‼︎急げ‼︎」

その場のヴァルキリー全員が、持ち得る限りの防御を行うがーー

オート・ブレイドに押される様に拡がる黒紅の斬撃の嵐は、「断絶」が付与されている為、容易く防御を無効化し斬り刻み、触れたヴァルキリー全てを瞬時に光の粒子に帰し、飲み込んでいく。


「バ、カな⁈小娘、如・・・きに・・・⁈」


ーー黒紅の斬撃の嵐が収まった後、刃の様な装甲を持つ、禍々しい黒紅の龍鎧を纏う刹那だけが残った。

「さて・・・」

再び、大軍勢が迫って来ていた。

ヴァルキリー、中級・下級神、エインヘリアル、戦闘ドローンの混成大部隊が、軍団規模で複数進軍を開始した。

「さっきよりも多い・・・増援か」

(数だけは多いが・・・。我等にとっては楽な相手だ。魔力攻撃に頼る者が多いからな)

「行くわよ。セイブル」

刹那は、黒紅の魔光翼を拡げる。

すると、進軍する大軍勢の一部がーー爆ぜた。

「滅焔・・・!織火ね」

滅焔が爆ぜた方を刹那が見ると、既に織火が進軍する敵軍に魔光翼で高速接近し、攻撃を仕掛けていた。


ーー・・・

「・・・【焔皇】!」

ーーゴォウウ!

織火が、天羽々斬【焔皇】を横薙ぎに振るうと、付随して敵軍に球状の滅焔が幾つも爆ぜ、大穴を空ける。

「バカな⁉︎たった一撃でこの数を⁉︎」

「狼狽えるな!数の有利を活かせ!攻撃を浴びせ続けろ!」

ーーダダダダダダ、ダンダンダン、ビィィィィィ

滅焔の斬撃を免れた敵が、一斉に手に持つ銃火器、ヴァルキリーの近接武器、ドローンの内蔵火器を、紅蓮の龍鎧を纏う織火に向けて攻撃を放つ。

しかし、放たれた攻撃は織火の周囲10メートル程で全ての攻撃は、【紅皇龍鎧】を纏っている際の相乗効果により発生し、装甲表面に揺らめく滅焔で構成される不可視の障壁とも言うべき滅焔により、属性、術式、特性と攻撃の構成そのものを瞬時に燼滅し、攻撃を消し去った。

「何⁉︎」

「攻撃が燃え尽きた⁉︎」

(この程度の攻撃など、我が滅焔の前には無力・・・なあ、織火?)

織火の内に宿る【紅皇龍・ヴァーミリオン】が織火に言うと、織火は左手のガントレットに内蔵された砲口を展開して、敵軍に向けて掃射した。

「消えなさい・・・!」

ーーガガガガガガガガ!

展開した砲口より、豪雨の如く滅焔の弾丸が敵軍に降り注ぐ。

「ぐぁぁぁ!」

織火の攻撃を防ぐ為に敵は障壁を張るが、弾丸の着弾した箇所は瞬時に焼き尽くされ、蜂の巣にされた。

「く、くそ!ルーン障壁が意味を為さんとは!」

「距離をとって攻撃しろ!あの焔に触れるな!」

敵は織火から距離を取り後退しながら、遠距離攻撃主体に戦術を切り替えた。

だが、放たれる攻撃の一切は、織火に到達する前に焼き尽くされて消滅し、攻撃が織火に届く事は無かった。

(今更距離を取るか、無駄な事だ。そもそも我等が最も得意とするのは、対多数及び広範囲攻撃だ)

「・・・【焔皇】」

ーーゴォウウ

織火は、【焔皇】を天に向けて掲げて、刀身に高密度の滅焔を纏わせる。

「・・・【一の太刀・劫火】」

織火は、上段に掲げた【焔皇】をその場で一気に振り下ろした。

刀身の滅焔が斬撃と共に一気に解放され、前方十数キロを放射状に放たれた滅焔の斬撃波が呑み込んで行く。

ーーゴォォォォォウ‼︎

『ぐぁぁぁぁぁぁ!』

解放された滅焔は、射線上の敵軍全てを呑み込み、防御や回避などの抵抗諸共、その一切を燼滅する。

「・・・・・・」

眼前の敵軍の全滅を確認した織火は、【焔皇】を振り、滅焔の放射を終了した。

滅焔の影響で、大気中が紅く輝いて見えた。

「・・・!」

全滅した敵軍を補う様に、すぐさま増援が後方の艦隊より出撃し、再び織火の前方は敵軍で溢れかえった。

(また、増援か。・・・キリが無いな)

「どれだけ来ようが関係無いわ。零牙に刃を向けるなら、全て燼滅するのみ」

織火は、【焔皇】を再び掲げて、敵軍を「【一の太刀・劫火】」による滅焔放射で迎え撃った。


ーー・・・

「はあぁぁぁ!」

クラス・アルファ専用艦の防衛に残ったアリシア達はは、艦の周囲の敵と交戦中だった。

アリシアが、3メートルの巨人型の戦闘ドローンをエクスカリバーで上段から一刀両断した。

アリシアは【円卓の王鎧】を纏っており、背部に装備された蒼いマントにより浮遊していた。

浮遊で有る為飛行とは違い、あくまで空中での最低限の戦闘行動を可能にするだけであり、浮遊の速度は個人差による所が大きい。

アリシアの背後から、別の巨人型ドローンが腕部に搭載された火砲をチャージし放とうとする。

「アリシア様!」

火砲が放たれる寸前に、近くで戦闘中だったクレアが、自身の顕鎧【円卓騎士の焔鎧】に装備された小型の太陽の形状をした遠隔攻撃兵装【プロミネンス・オービット】から紅炎・・・魔力で作り出したプロミネンスをビーム状にして、巨人型ドローンにオービットの一つから放った。

そして、クレアの警告に反応したアリシアが背後を振り返りながら、横薙ぎに一閃して斬撃波を飛ばし、巨人型ドローンの両脚部を両断した。

脚部の姿勢制御スラスターを失ったドローンは体勢を崩した。

そこへ、オービットから放たれた貫通性の高いビーム状のプロミネンスが巨人型ドローンを飲み込み消滅させた。

「感謝します、クレア!」

アリシアは、クレアに短く礼を言うとすぐさま近くの敵に斬り込んでいく。

「ーーフッ!」

アリシアを援護したクレアは、眼前の敵に意識を向け直し、受け止めていたエインヘリアルの武器を弾き、袈裟がけに斬り捨てる。

戦艦の周囲で敵を叩くのは、アリシア、クレア、エレイン。

甲板から援護に回るのは、アンジェ、モルガン、影刃、龍護だ。

影刃と龍護は、顕鎧を新たに“最適化”している最中の為、艦の護衛に冬華が回した。

アンジェは、専用に用意されたクラフティ【MD型・AC(マグナス・ドラゴン:アンジェ・カスタム】を纏い、甲板上から、鎧に装備された思念誘導兵装と銃火器を使用しての援護を行なっていた。

クラフティ・メイル【MD型・AC(マグナス・ドラゴン:アンジェ・カスタム】は、アンジェの要望で最も得意とする戦術、【龍剣の円舞(ドラゴニック・サークル)】を使用した攻防一体の戦術を、更に広域に延長する装備が多数搭載されている。

MD型(マグナス・ドラゴン)】は、元々中遠距離支援型として開発されたクラフティだ。

元々MD型の装備は、支援目的の思念誘導兵装を多数搭載しており、近距離、遠距離、回復用など所有者によって目的に合わせた物を選択可能で有り、手持ちの銃火器もそれを補う形で選択する。

アンジェのクラフティは、言うなれば“繋ぎ”では有るが、零牙の婚約者たるアンジェが使う為に、半端な物は使わせられない。

その為、設計と開発を担当したのは同じ婚約者で有る【桜花・ルナフィールド】だ。

ルナフィールド一族は、凰月の技術研究開発を担っており、現在配備されているクラフティ・メイルもルナフィールド一族の設計である。

中でも桜花は、零牙や姫達、従者達の装備の研究開発を全て行なっている。

アンジェの周囲には【龍剣の円舞(ドラゴニック・サークル)】との併用を想定した思念誘導兵装【オート・Dブレイド】が数十本展開していた。

【オート・Dブレイド】は、アンジェの【龍剣の円舞(ドラゴニック・サークル)】を使用する際に創り出す魔力剣を纏わせて使用する。

これにより、ただでさえ強力な凝縮・圧縮魔力の塊である魔力剣の威力を中身を伴わせる事で更に増幅出来る代物だ。

纏わせた魔力剣を射出する事で全方位射撃戦を、纏わせた魔力剣を魔力として別の対象に付与させる事で戦術支援を、纏わせた魔力剣を魔力障壁に変換しての機動防御、斬撃だけで無く使い方によって様々な応用が出来る装備となっている。

装甲は傾斜を多用した機動性を重視した魔女の様なスラリとしたスレンダーなデザインをしており。

装甲表面には対魔・対刃・対弾を織り交ぜた多重コーティングが付与されている。

装甲の各所に小型の高出力スラスターを多数備え、【魔光翼】の機動性とは比べる程では無いが、それでも機動性は遥かに高い次元でまとまっている。

性能的には完全顕現したオリジンには及ばないが、軍に配備されている隊長・エースクラスのカスタムやワンオフよりも倍以上の超高性能を誇るクラフティとなっている。

アンジェは甲板上からDブレイドを操作して、艦に近づく敵を斬り刻みながら、周囲を浮遊して戦うアリシア達の援護を行なっている。

モルガンは艦に防御結界を付与しながらアリシア達を魔術で支援する。

影刃と龍護は、そんな二人を守るべく攻撃は控えて護衛に専念していた。

ーーザシュ!

青いマントを装備した漆黒の騎士顕鎧【円卓騎士の黒鎧】を纏って、鎖に雁字搦めに拘束された漆黒の聖剣【黒鎖の魔剣・アロンダイト】で、エインヘリアルの一人を斬り伏せたエレインがアリシアに声を飛ばす。

「ーー!アリシア様!あちらを!」

「ーー!あれは・・・」

アリシアがエレインの指す方角を見ると、新たな艦隊が進軍して来ており、艦隊の旗艦と思われる大型艦が艦首部分より大型砲塔を展開し、濃密な魔力を充填し始めた。

「ーーアンジェ様!」

「ーー既にチャージが⁈全員、防御を‼︎」

影刃のがアンジェに呼びかけ、それを受けたアンジェの声で、全員が防御態勢を取った。

モルガンも攻撃魔術を一旦やめ、防御結界を何重にも張り巡らせる。

学生とは言え、強大な存在とも渡り合う実力を持つアンジェ達が防御に徹するーーそれほどまでに砲塔に充填された魔力は、“神”レベルを思わせる程の膨大な魔力量だった。

全員が防御態勢を取る中、敵艦の射線上に純白の騎士が割り込んだ。

「アリシア⁉︎」

モルガンが声を上げると同時に敵大型艦が、充填した膨大な魔力を集束した極大のビームを撃ち放った。

ーゴォウウ‼︎

アリシアは、迫る強大な魔力砲撃を見据え、剣の柄を握り締め直す。

(神格クラスと同等の魔力を凝縮した砲撃・・・。今の私に止められるか・・・?)

(いや、止めてみせる。この程度を止められなければ、零牙の婚約者を名乗れはしないーー)

「エクスカリバー・・・拘束解除(バインド・リリース)

その言葉と共に、エクスカリバーの刀身を覆っていた拘束装甲がパージされて、純白に輝く刀身が顕になり、刀身の根元から刀身に沿って膨大な白金の魔力が出力し、刀身を伸張する魔力の刃を形成する。

「聖剣の王よ・・・。汝が放つは闇を照らす輝き。断罪の光を纏い、裁きの刃を振り下ろせ!」

アリシアは、刀身を圧縮・凝縮した魔力の刃で数十メートル以上に伸張したエクスカリバーを大上段に構えて、迫る戦略級の魔力砲撃に向けて一気に振り下ろした。

「ーージャッジメント・セイバー‼︎」

膨大な魔力同士がぶつかり合い、大気を震わせる凄まじい衝撃波が伝播する。

ーーゴォウウ

「ーーぐッ!・・・・ーーッ!」

アリシアは、エクスカリバーに力を込めて神レベルの魔力砲撃を斬らんとしていたが、押し留めるので精一杯だった。

「ーーぐう!留めるだけで一杯とはッ!この砲撃・・・!ただの魔導エンジンではあり得ない出力をッ!」

今は押し留めているが、砲撃は一向に出力が衰える事無く、押し切られるのは時間の問題だった。

「このままでは・・・!」

(限界まで出力を上げるしかない・・・一時的に魔力切れになるが。姉上達がいるならば!)

アリシアがそう思い、限界まで魔力をエクスカリバーに供給しようとしたーーその時。

(いや、この程度ではないだろう。アリシア?)

「ーー⁉︎」

アリシアは、自身の奥底から聞こえた自分と瓜二つの声に驚いた。

「ーーなッ⁉︎誰だ⁉︎」

(やはり、忘れているか・・・。まぁいい、いずれ思い出す。少し変われ、アリシア)

「ーーな、何を⁉︎」

その瞬間、アリシアの意識が途切れて“声の主”に意識が切り替わった。

「ふ・・・“重なっている”だけだが、こうして動くのは久しぶりだ」

纏う【円卓の王鎧】は純白の部分は一瞬で漆黒に変わる。

「目覚めろ、【ネメシス】」

アリシアに瓜二つの少し低い声でそういった瞬間、エクスカリバーも金色はそのままに純白は漆黒に変わっていき、出力している【ジャッジメント・セイバー】の魔力も漆黒に変わり、元々高密度・高圧縮された魔力がアリシアよりも更に出力が爆発的に上昇した。

”アリシアと変わった彼女”は、アリシアが防ぐ事で一杯だった戦略級の魔力砲撃を“ネメシス”と呼んだ黒金のエクスカリバーを右手だけで持ち、片手で簡単に砲撃を防ぐ。

「・・・なるほど、そういう事か。非道なマネを・・・。ーーフッ!」

“彼女”は少し力を入れただけで、簡単に砲撃を両断した。


ーー特務艦・艦橋

「バカな⁉︎あの砲撃を防ぎ切っただと⁉︎」

「敵性存在の魔力が急激に上昇しています!」

「だが、二度目は無い。再度砲撃だ!奴らを薙ぎ払え‼︎」

「了解!再チャージ開始!」


ーー・・・・

「ほう?冷却のインターバルも無しに再チャージか。流石は世界蛇の心臓。だがーー」

“彼女”は左手に膨大な黒金の魔力を顕現させる。

「我が“黒天の龍槍”の前には、複製如き・・・無意味だ」

やがて膨大な魔力に覆われて詳細な姿は不明だが、黒金の魔力は、巨大な騎士槍へと左手に形を形成し顕現する。

黒金の騎士槍の周囲の渦巻く膨大な魔力の一部が、穂先に集束・圧縮され、高密度の球体として形成された。

“彼女”は、騎士槍を敵艦に向けた。

「ーー消えるがいい」

ーーゴォウウ‼︎

騎士槍の穂先に集束・圧縮した魔力の塊が一気に解放され、高密度の照射ビームが放たれる。

黒金のビームは大気を引き裂き、射線上の敵を消し飛ばしながら敵特務艦を呑み込み、敵艦の防御術式をものともせずに跡形も無く消滅させた。

ある“神”の複製心臓を中心に、魔力を内包する生体部位を使用されて製造された特務艦は、複製とは言え“世界蛇”を利用して製造された生体艦で有り、防御能力も”本物“に劣るが高いレベルに有り、主神もしくは主神に匹敵する力で無ければ損傷を与える事すらままならないと軍内で言われている戦艦の為、テュール軍の主力艦として量産されていた。

そんな戦艦を簡単に消滅させた“彼女”の、その“主神”レベルにも匹敵する魔力砲撃は、テュール軍を震撼させた。

「これで、容易にはあの戦艦を前に出しては来ないだろう」

“彼女”は、未だ膨大な魔力を纏う黒金の騎士槍をゆっくりと下ろしながら言った。

ー(貴女は、一体?)

ー(いずれ、思い出すと言ったはずだ。お前・・・いや、私達が何者であったかを・・・そして、“最後の責務”を・・・)

ー(最後の責務・・・)

ー(今の攻撃は、私の魔力を使用した。魔力も少し分けたから、魔力切れの心配は無い。後は出来るだろう?ではな、アリシア。必要な時は手を貸す。私達は零牙の花嫁なのだからなーー)

内での会話の直後に意識が切り替わり、“彼女”からアリシアに戻り、それに応じて黒金の騎士槍は消え、顕鎧、聖剣の漆黒部分は純白に戻っていった。


ーー六節・終











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