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第24話 イベントが本気モード ③

 ディビットからの淑女教育に嫌気がさして、公爵家の屋敷を抜け出した。

 まさか、あんな簡単に抜け出せるとは思わなかった。

 てっきり、どこかで捕まるかなと思っていたんだけどね。

 久しぶりにお母さんのところに顔を出そうかなとも思ったけれど、今の服装を思い出して止める。

 この服装でお母さんのところには行けない。

 自分でドレスにポケットを作成して、子爵からもらったお小遣いの一部をいれてあるから、それでカフェでお茶でもしようかな。

 気分転換しなくちゃね~ と足取り軽く歩いていたら、いきなり覆面姿の男に馬車の中に引きずり込まれた。


 ――― え? いったい何??

 引きずり込まれたときに後方から聞こえたのは自分の名前を呼ぶ切羽詰まったディビットの声。

 え? ちょっと私、ヤバい状態!? とパニックになって騒ぎそうになったが、ピン! と来る。

 あ、これディビットルートのヒロイン誘拐イベントじゃん。

 なんだ~ あせった。イベントならディビット助けに来るし大丈夫だよね~。と安心していたら、自分を誘拐した覆面姿の男に話しかけられた。

「意外だな。もっと騒ぎ立てるかと思ったぞ。怯えて声が出ないわけでもなさそうだが、そっちがお前の本性か?」

 ………?? なに言ってるのかな。っていうか、ゲームでも小説でも、こんなシーンなかったよ?

 まぁ、描かれている以外の部分も現実なら多いけど、ゲームも小説もこれくらいのシーンなら入れそうじゃない?

 あれ?? 頭の中に浮かぶのはゲームのヒロインが誘拐された時のスチル。

 焦った顔のディビットと周りに居る人の驚いた様子。そして街並み。

 思い出したのは、ヒロインが誘拐されたシーンの小説の描写。


―― 下位商業区域に差し掛かったマリアンヌ。その脇を通る馬車から伸びた手がマリアンヌの細い腰に回され馬車の中へと引きずり込んだ ――


 ………… あれ? ゲームも小説も誘拐された場所商業区域じゃね?

 私が誘拐されたのって、使用人街って呼ばれるとこだよね……。

 え? これイベントじゃなかったりするのかな?? 

 え?? もしかしてこれヤバいの?? いやいやイベントだとしよう。そう思おう。で、助かるために私がすることは……… うん、無いよ。

 ゲームは誘拐されたらオートモードで話し進むもん。ディビットが助けに来てスチルゲット! その過程のディビットのことなど出てこない。 

 小説も、どうやってディビットが誘拐されたヒロインの元にたどり着いたかは書かれてなかった。


 馬車に連れ込まれたときディビットの声が聞こえたから大丈夫。大丈夫。

 自分に言い聞かせていると、覆面男に、あごを持ち上げられ、顔を覗きこまれる。

「確かに顔は美人だよな」

 覆面男の言葉に顔が引きつる。

 今に限って、美人などと褒められたところで微塵も嬉しくない!! 

 なんか貞操の危機を感じる!!

 ディビット!! 淑女教育頑張るから早く助けに来て!!




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