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第23話 イベントが本気モード②

 もしかすると、本当にシナリオの強制力というものは存在するのかもしれない。

 ヒロインは誰にも捕獲されることなく、敷地の外へと逃げ出すことに成功したみたいだ。

 裏門から出ていくヒロインを窓から見かけた侍女がいるとの報告を受けた。

 シナリオの強制力。その言葉によって自分の胸に走る痛みには気が付かないふりをする。


 学園が始まる前に残されたイベントは一つだけ。

 ディビットルートの中では一番大きなイベントで、ヒロインが誘拐されてしまうのだが……

 絡まれている女性をヒロインが助けるイベントを思い出す限り、安全な気もするのだ。

 あれは、大根演技のやらせイベントだったから、安全も良い所だった。

 今回のも、実はマクルメール子爵家に保護されただけとか、市井にいた頃の知人の馬車に乗せてもらったとか、家出した娘を見つけて連れ戻そうとしたけど人違いだったとか、そんな感じなんじゃないかな…… と思ってしまうのは仕方がない気がする。

 かといって放置するわけにもいかないのが、辛い所なのだが。

「リリアンを迎えに行ってくるよ」

「護衛の手配をいたします。それと侍従もリリアン様の捜索に向かうように手配いたします」

 リタの言葉に手を振る。

「護衛もいらないし、侍従を捜索に向かわせる必要は無いよ」

「ですが……」

「大丈夫。念のため帯剣はしていくけど、まだ昼前だからね。それに、大勢で動いたら誰かの目に留まって小鳥のさえずりが煩くなる」

「しかし……」

「大丈夫。リリアンもバカじゃない。あの服装でなら上位商業区域までしかでないだろうし、そこに行くまでに見つけるから」

 誘拐のイベントはディビットが残したノートを見る限り、ヒロインが平民の友達に会いに行った時に起きていることから、商業区域でも平民と兵士の住居に近い下位商業エリアで起きると予想できる。

 平民と兵士の居住区域を馬車が走ったら目立ちすぎるし、走れる道も広さの関係で限られてくる。詰所も近いから馬車での誘拐騒ぎとなればすぐに衛兵がきて馬車が走れる道を封鎖するだろう。

 なので、シナリオ通り昼間に馬車での誘拐騒ぎなら、馬車の出入りが少なく逃げやすい下位商業エリアだろう。上位商業エリアは馬車での出入りが多いことから馬車での逃走には不向きだし、下手をすると居合わせた貴族の護衛が追跡や撃退に回る可能性も捨てきれないので考えにくい。

 着替えている時間は無いので、そのまま帯剣して屋敷の外に出る。護衛はいらないとは言ったが、風景に溶け込むように距離を置いてついてくるのが確認できた。

 まぁ、仕方がない。リタからバーランへと情報が回ってバーランがつけたのだろう。それでもつけられた護衛が1人というのは、私の意見を少しは尊重してくれたのだと思っておこう。


 ヒロインなら、隠れながらとか考えずに、まっすぐ商業区域に向かうのだろうと、小走りで商業区域へと向かう。

 思った通り、商業区域に入る手前で、ヒロインの後姿を見つけた。

 どうやら誘拐騒ぎが起きる前に、ヒロインを確保できそうだと安堵する。

 名前を呼んで逃げられたら目も当てられないので、更に距離を詰めようとすると、ヒロインの側に一台の馬車が滑り込んできた。

 ドアが開けられ、そのままヒロインが馬車の中へと消える。

 ヒロインを馬車の中に引きずり込んだ男は覆面をしていた。

「リリアン!!」

 馬車は商業区域に入ることなく、王城や貴族家に仕える使用人たちの家が集まった商業区域手前にある使用人街を走り抜けていく。

 嘘でしょ!? 誘拐イベントが本気モードだなんて!! 大根演技のやらせイベントと差がありすぎる!!


 





 


タイトルを間違えていたので前話かえてあります。イベントは本気モードをイベントが本気モードに変更。

前話 予定調和 の部分をディビットが言っていたシナリオの強制力 に変更してあります。

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