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プロローグ
俺には、俺自身を特定するための名前がない。
俺の出身は、某国のスラム街で小さいときに師匠に拾われ、息子当然に育ててくれた。師匠は世界最高のハッカーで、俺もそれに憧れた。そして、俺が二十歳になるとき師匠は病で亡くなった。それから俺が師匠の後任として師匠の通り名を受け継いだ。
それから、十年あまりがたった、俺は同業者から師匠を越えたと言われるくらいにいろいろなところをハッキングしてきた。
「よし!ハッキング成功!」
ある日、師匠が唯一ハッキングすることができなかったコンピューター「ゴッドゲート」のハッキングに成功した俺は大量のコンピューターとモニターのおいてある部屋で一人そう叫んだいた。
「師匠……これで俺はあんたを越えたのかな?」
帰って来るはずのない問いかけを呟いていた。
「いや、まだまだだよ」
俺以外誰もいないはずのこの部屋にそんな声が聞こえた。しかし、次の瞬間どこからともなく目を開けられないほどの光が現れた。
「なんだこれ!!?」
思わず手で目を守りつつその発光体を見ると
「師匠?」
一瞬発光体が師匠の形をしたかと思うと俺の意識は無くなっていった。