魔女3
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朝は息苦しさで目を覚ました。どうやら柔らかで温かくていい香りのする何かに包まれているらしい。何となく手を伸ばしてみたら、
ムニュリ。
ボクの手のひらいっぱいに広がる柔らかで温かい感触があった。
これはなんだろう? そう疑問に感じながら、手を握ったり開いたりを繰り返していたら、
「…あ………んん♪」
ボクの頭上から聞き覚えのある女の子の声が聞こえた。そのおかげで今の状況がすぐにわかった。
「うわぁぁっ!!」
思わず声をあげて後ろに下がる。
「う~ん。もう朝~?」
寝ぼけ眼のカウスさんがあくびをしながら起き上がる。って、
「何で人に抱きついてるんですか!! しかもなんで裸なんてすか!」
ボクに抱きついていたカウスさんは服を纏わずすっぽんぽんな状態だった。
「私、温かい抱き枕がないと眠れないんですよ。それに寝るとき裸の方が寝やすいんですよ。」
カウスさんはニコニコと笑いながら答える。
「あの、カウスさん。なんかボクの事をじっと見てるようなんですか?」
なんかさっきから人のこと見ているようでなんか落ち付かない。
「それは見知らぬ人がいたら注目されますよ。魔女ならともかく、魔女の敵は人ですからね。それに、ここに来る魔女は大なり小なり人の手によって辛い目にあってきたわけですし、警戒しますよ。」
ボクとカウスさんが食堂に来たのは食事しに来たんだけどこの状況じゃ落ち着いて食事も出来なさそう。
「あの、ボクは外で食事してましょうか?」
「別に気にしなくて良いですよ? モミジさんは私に召喚されたお客様ですから。」
カウスさんはそう言うけどボクは頷けない。そう言って辞退しようとした時、
「カウス姉! アレ!」
そう言いながら指さした先には、煙が空へと昇っている。
「森の入り口に立てられた砦からの狼煙ですよ。
どうやら、人間が襲いに来たようです。」
カウスさんはボクにそう告げてから、魔女達に向き直った。
「皆! 急いでスバル達の救援に向かうよ!」
『はい!』
カウスさんの言葉に皆が頷いて駆け出していた。
「モミジさんも一緒に来てください。」
カウスさんに手を引かれ駆け出す。
今までいた建物を出て森に入った時、カウスさんの手を引いて抱き上げる。お姫様抱っこというやつだ。
「キャッ!! モミジさん!!」
「気にしてる場合じゃないよ!」
怒りで耳まで真っ赤に染めたカウスさんの苦情にそう返して走り出す。その速度はなかなかの速度であっと言う間に砦にたどり着いた。
「カウス姉? イヤに速かったで………その男の人は?」
「スバル。気にしてる余裕は無いわよ。兵を撃退しないと。」
2m近い背丈の大柄で金髪の女性がボクの存在に気づいて問いかける。
「モミジさん。そこの見張り台の梯子を昇ってください。」
言われた通り梯子を昇り、見張り台に昇り魔女の森へと攻め込む兵達を見つめた。
「モミジさん。この戦いを見ていてください。」
ボクの後から梯子を昇ってきたカウスさんの言葉にボクは後ろに下がりその戦いを見守った。