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☆☆☆――3
☆☆――2
☆――1
それから俺は、『過去』を二日遡った。
別に、今回だけ一気に丸一日飛ばして『二日前』にいきなり戻ったりとかショートカットはしていない。『一回目』では莉奈とデートの約束を電話で取り付けた……はずだった八月三日もしっかり一日の最後まで過ごしていたし、『一回目』では交際二日目にして初めて恋人としてのメールのやりとりを何度もした……はずだった八月二日だってちゃんと『二回目』はあった。ただ両日とも『一回目』とは大きく異なり、とにかく莉奈からの連絡を無視し続け、主に自分の部屋で寝て過していただけであったが……。
まあそんな感じで、俺は今までと変わらず一日一日をたっぷり過ごしながら順番に逆行していって、今日。
今日――八月一日は交際初日、俺と莉奈が付き合い始めた最初の日だった。
確か『一回目の八月一日』では、俺が莉奈を大学近くで行われた花火大会に誘って、その帰り途中にあった長谷川神社っていう神社に寄って俺が告白したんだっけか。
あー、そうだったそうだった。何だか一日一日を逆行してきているせいで、遠い昔の出来事のような感覚に陥っていた。実際は、たった一週間の中にしかいないのに。
でも、それは仕方のないことだ。これは俺が自分自身で招いた災厄。
神様が定めた不可逆という時間のルールに反して、自らの砂時計を逆さに返したことに対するペナルティ。
て、何を俺はカッコつけてんだ。普通の人にできないようなことができて、自分が特別な存在になれたと勘違いしてんのか?
そうじゃない。俺はただ自己中なだけだ。現実を受け止められずに過去へと逃げただけ。
それだけ叶っただけでも一生分の、それ以上の幸福を貰ったと喜ぶべきなのに。
それなのに過去へ遡った俺は目的を忘れて莉奈と一緒にいることを選び、記憶が戻ると莉奈との別れに恐怖し、挙げ句の果てに救いを求めた結果過去へと戻っていく度に莉奈との関係も逆戻りしていっていることに気づいて、後悔した。
過去を遡っていることに後悔していたんだ。自分が恵まれ過ぎているとことを忘れて……本当救えないクソ勘違い野郎だ。
勘違いするな。タイムワープができても、俺が俺であることは変わらない。
最悪最低で、どうしようもなく救えない俺であることが、変わることはあり得ない。
だから。
莉奈を八月七日に死ぬ運命から解放することだって、間違っても自分が莉奈を救ったヒーローだなんて思うんじゃねえぞ。
記憶を全て取り戻した今でも、なぜ自分が過去に戻れているのかは原理や構造その他諸々、未だに何も分からないままだ。
ただ、今回のこの現象で一貫して言えることは、『一回目』と『二回目』は変わらないということだ。細かい行動などの『過程』に変化はあるものの、その行動から起こる『結果』において『一回目』と『二回目』で全く事態が異なるなどの大きな差はなかった。まあ、だからタイムパラドックスが起こらないのかもしれないのだが……従って。
ここから言えることは『どんなに「過程」である過去を変えようとしても、「結果」である未来を変えることはできない』という現実である。いくら過去を変えようと一時的に努力しても、それは未来に届くことなく――八月七日、莉奈に悲劇が訪れる。
だが、『変える』のではなく『そもそもなかった』ことにすれば。
幸いにもタイムワープは一日ずつ過去へと戻っていくというものだ。『一回目』という道そのものを『そもそもなかった』ことにできるくらい莉奈と過去にあった接触を一日ずつ消し去っていってしまえば、『新しい一回目』を始めることができるのではないだろうか。一度の『過程』の変化だけでは微弱かもしれないが、一つの目標に焦点を定めて変化を積り積もらせれば……運命を傾けることができるかもしれない。
正直ここまでの理屈を考えた上でタイムワープを始めたわけではなかったが、ここで忘れてはならないのは、これは莉奈に不運をもたらした俺の償いということだ。
だから今やっていることに一切の報酬はないし、求めちゃいけない。『莉奈が生き続ける』ということに対しても報酬とは思ってはいけない。
だって、元々俺と出会わなければ、莉奈はきっと八月七日以降もいきていたのだから。あの日あの時外に出ていなければ死ぬことはなかったし、とっくにアメリカに行って家族と幸せな日々を送れていたのだから。
俺は莉奈を救うヒーローなんかじゃない。これは、ただ莉奈に本来あるべき運命に戻すための行為なんだ。
自分にそう言い聞かせ、自分自身という存在に後悔しながら、俺はまたベッドの上で深い眠りについた。
ブルルル、ブルルル、ブルルル――
「……んっんんん?」
そうしてどのくらい眠った後だっただろうか。突然ズボンのポケットが震え始めた。
いや、違う。正確にはポケットに入れていた携帯電話がバイブレーションしているのだ。
なぜベッドで横になった状態でも携帯をポケットに入れたままかというと、それは自分に対しての戒めのため。
着信が来るたびに自分が何のために過去に来たのかを再認識し、一刻たりともそのことを忘れないためである。
そうして俺は『二日後』からずっとポケットにしまい続け、それからずっと、初めて恋人としてのメールのやりとりを何度もした日である八月二日の『明日』でも、一日中莉奈からの度重なるメールの着信を肌で感じ続けていた。
しかし、俺はポケットに入れてからまだ一度も携帯を取り出していない。莉奈からの着信に答えてはいけない。莉奈との繋がりを消すために、今の俺はいるのだから。
よってもちろん今回も無視のつもり……だったが。
ポケットが五回目の振動を起こしたところで思い出した。この日、俺は莉奈と一度もメールや電話のやりとりをしなかったはずだ。前日に約束を取り付けて、当日も駅で待ち合わせてすぐに会えたから一切使っていない。
おそるおそるポケットから出して確認してみると……着信電話は、大学の友人からのものだった。
……まあ、莉奈でさえなければ出ても問題ではないか。
「もしもし、健児どうした?」
「おう、綾人。今何してる?」
受話器越しの健児の声は、周囲の喧騒で何やら聞こえづらくなっており、遠くの方ではドンッドンと小さいながらも鼓膜に圧力をかけられているような……打ち上げ花火の音。
「健児、もしかしてその音……花火大会行ってんの?」
「ああ、そうだよ。ついでに莉奈ちゃんも誘っておいたぞ。来るだろ?」
「……悪い、今日はパス」
俺がどこか苦しそうにその声を発すると、健児も「ん?」と訝しげに唸った。
「どうしたんだよ? ちなみに、花火なら今始まったばかりだからまだ二時間以上はやるぞ」
「そういう問題じゃなくて……まあ、用事だよ用事」
「……あ、そうかー、んじゃあしょうがないな――今日は俺と莉奈ちゃんの二人っきりのお祭りってことで」
「そうだな。せいぜい楽しんで。そんじゃ」
「え!? あ、おいちょっと――」
容赦なく通話を切断した。
健児はどうやら俺を挑発することで誘う気だったようだが、残念だったな。『1回目』の時とはもう置かれている状況も、意識も全く違うんだよ。
さて、またひと眠りするか。携帯の時計が示す時刻は午後七時八分。
あともう少し寝れば今日が終わる。今度こそ、『昨日』へと続く睡眠を……。
…………。
………………。
……………………っ!
「……眠れない」
どんなに体勢を変えても、何十分目を閉じ続けていても、先程までのような安眠は一向に訪れる気配がなかった。
健児が莉奈と二人きりの状況にいることが、頭から離れずにいた。
……まあ、健児は勉強もそうだが、何に対しても要領がいいやつだからな。元々大学の講義で莉奈に一番先に話しかけたのは俺ではなく健児だったし、莉奈を下の名前で呼び始めたのも健児の方が早かった。
案外、健児は莉奈のこと好きだったりして。だったら莉奈は健児と付き合うべきだ。健児頭いいし、性格も優しいし……健児となら莉奈は幸せになれる。
うん。いいんだそれで。はあ、俺はこの期に及んで何を図々しく未練を感じてしまっているんだか。
「……そうだ」
携帯から莉奈のメールアドレスを消してしまおう。バイブによる戒めはなくなってしまうが、なるべく莉奈との繋がりは消し去った方がいいだろうし、そんなものを残しているから未練が生まれるんだ。あ、それなら送られてきたメールも全て削除しなきゃ。
そう思い、俺は莉奈のメルアドを消した後、メールボックスの『彼女』と書かれたファイルを開いて……って、
「はあ!?」
その衝撃に、俺は跳び起きた勢いでベッドの上に直立していた。
「『彼女』のファイルが……何で今日あるんだ?」
無論『彼女』のファイルとは、俺が莉奈との交際を始めてから彼女とのやりとりを保存するために作った専用メールフォルダだ。しかし『一回目』で俺がこれを作ったのは『明日』である八月二日のはずで、俺と莉奈がまだ交際を始めていない今日――八月一日の今現在、すでにフォルダができているという状況は、どう考えてもおかしいのである。
こ、これは……。
「……もしかして」
どうでもいいことと思いながら、タイムワープのことで一つ気掛かりになっていることがあった。
それは、タイムワープは一体俺のどこまでが適用されているかということだ。
初めは俺の未来での記憶だけが過去の俺へと引き継がれ、それがタイムワープの現象になっているのだと思っていた。
だが『二日後』である八月三日へのタイムワープでそのことが否定された。その日、俺は土手で目を覚ましたのだ。本来の――『一回目の八月三日』は家で目を覚ましていたのにもかかわらず。
つまりこの結果から、タイムワープは記憶だけでなく、ある程度の未来の状況も引き継いで起きていることが分かる。
それは場所はもちろん――衣服などの身に付けているものも。
俺は『二日後』からずっと自分への戒めのために、携帯をポケットにしまい続けていた。寝るときも入れたまま、肌身離さず持ち続けていた。
これが意味する答えは……。
「――っ!」
わずかによぎった可能性にフォルダを開くと……やはり、八月三日までの『未来』のメールが全て保存されていた。
携帯電話も、俺と一緒にタイムワープしてきていたのだ。日付はその日の電波を受信して示していたから過去のものになっていただけで、携帯自体はずっと『未来』でメールを受け取り続け、ここまでポケットの中で俺についてきてくれていたのである。
莉奈との繋がりを消すためにもメールの中身を見ずに消すべきだという声がどこからか聞こえたが、このタイムワープという『非日常』の中で起こった奇跡に突き動かされ、俺はメールを次々に開いていった。
フォルダ内には八月二日にきたものがいくつも保存されており、どうやら『初めて恋人としてのメールのやりとりを何度もした日』という『一回目』の流れは多少強引ながらも守られていたらしい。『こんばんわ!』や、『昨日の花火大会は楽しかったね』などの他愛もない言葉が続いていき――
「……え?」
百通や二百通にも及んだメールの終盤、それは始まった。
『私ね、昨日諸永くんに告白されてすごく嬉しかったんだ。実はね、私も前から諸永くんのことが好きだったんだよ?』
「こんな内容、『一回目』にはなかったぞ?」
『一回目』が遠すぎて忘れているだけ? いや、だとしてもありえない。莉奈はかなりのシャイ人間だ。デート後に打ち解けあった俺たちならまだしも、まだ付き合い始めて二日目の時に、彼女がこんな自分から恥ずかしい話題に飛び込むような真似をするとは考えられなかった。
携帯を握る右手に震えを覚えながらも、俺は次のメールを開く。
『諸永くんは覚えてないかもしれないけど、班に分かれてあるお題について議論しなくちゃいけない講義で、諸永くんと一緒の班になった時があったんだ』
「……そういえば」
確かにそんな時はあった。その時、最初莉奈は俯いてばっかりで全然視線を合わせてくれなくて……。
『今もそうだけど、私って昔から人見知りで、特に高校は女子高だったせいか男の人には苦手意識があったの。だから諸永くんが一緒の班になった時も怖くて少し距離を置いて席に着いたんだけど、そんな私に向かって、諸永くん第一声何て言ったと思う?』
『「ねえ、床に足付かないの? もう少し浅くイスに座ったら?」だよ! 私が今までずっと悩んできた低身長のことをその場で平気で言ったの!』
「……ふっ」
俺的には、莉奈が自分の身長にコンプレックスを抱いていたことも知らなかったし、議論の前に軽くスキンシップをとるつもりで言っただけだったのだが。
『私すごい悔しくて、どうにかして見返してやろうと、次の週の同じ授業で十センチ以上する高いヒールの靴を履いてきて言ってやったの。「どう、女性は簡単に大きくなれるの。私はもう小さくなんかない!」って。そしたら最初諸永くんキョトンとしてて、分かった途端に「あははは」って大声で笑い始めちゃって』
「ふはっ」
その後、散々莉奈に怒鳴られていたら「講義の邪魔だ!」って教授に言われて教室から追い出されたんだっけ。
いつしかメールの開封に躊躇いを感じなくなっていた俺は、すぐに次のを開いて……。
『でもね、私その時なぜだか嬉しかったの。その時期はまだ知り合いという知り合いがいなくて、同級生とほとんど会話したことなくてね。初めて心の底から思いをぶつけられる相手ができて、しかもそれが男の人だってことにとっても興奮した』
『それから、大学にいるときはいつも諸永くんと一緒に過ごすようになって……何だか、だんだんと諸永くんを『男の人』ではなく、『異性』として意識してきちゃって』
『気付いた時には、もう言葉じゃ表しきれないくらい諸永くんを好きになってた。そしたら昨日諸永くんから、その好きな男の人から告白してもらっちゃって、もう信じられないくらいに嬉しかったよ』
「…………」
でも、でもそれは……俺のせいで、莉奈は……。
そうして、再び俺は後悔の渦に呑み込まれそうになったが、莉奈のメールがまだ終わっていないことに気付き、次のメールの本文を画面に映した。
すると、そこに書かれてあったのは――
「――っ!」
『それにね……その、もし私が海外とか、どこか遠くに行くことになったりとかしても、この大学はおろか、世の中で私が遠くに行くことを心の底から悲しんでくれる人なんて家族以外一人もいないんじゃないかって思って、大袈裟かもしれないけれど、どこか虚しさを感じていたところがあったから』
『だから諸永くんに「あなたのことが好きです」って言われた時、もちろんそれだけでも嬉しかったんだけど、「ああ、この世界で私のことを想ってくれていた人がいてくれたんだ」とも思って泣きそうになっちゃった』
『いつかの未来、例えば明日隣に諸永くんがいなかったとしても。諸永くんからどうしようもなく離れて行ってしまう運命だとしても後悔なんてしない。私は迷わず今諸永くんといることを選ぶよ。そのくらい、あなたに告白されたことが、私の中でかけがえのないものになった。あなたと付き合っていく未来が、私にとって最高の明日になったの』
『そういうわけでね、諸永くん――』
『――私のことを好きだと言ってくれて、本当にありがとう。諸永くんが私に告白してくれて、恋人同士になれて、今すごく幸せです』
『……あはは、ちょっと重かった? あちゃ……私ってば何言ってんだか(笑)ごめんね、気にしないで』
『じゃあね――また明日!』
「…………くっ」
もうここまでが限界だった。これ以上メールが続いていたら、俺は瞳の全体を覆う涙の膜のせいで正しく文字が読めていなかったと思う。
目元から頬に零れ落ちたいくつかの雫を両手で全て拭き切った後、しっかりと顔を上げて前を見据えた俺は――走りだした。
服装は部屋着のままだけど関係ない、俺は靴に足を無理矢理ねじ込んで玄関を飛び出し、それから……健児に電話をかけた。
「もしもし?」
「もしもし健児か? 今どこ――」
「莉奈ちゃんなら、花火会場の近くの長谷川神社で待っているように電話で言ってあるぞ」
「――って、え?」
戸惑う俺の声を聞くと、健児は「ははっ」と小さく笑ってから、
「ったくお前。息切らしながら走ってくるぐらいなら、初めから花火大会来るって言えばよかっただろーがよ。世話が焼けるわ本当」
「健児……っ! 恩に着る!!」
勢いよく電話を切ると同時に、俺はさらに加速を試みた。
健児にここまでしてもらったんだ、ここで頑張らないで、一体いつになったら頑張るっていうんだよ。
そうして無我夢中に走り続けてしばらく経った時、少し慣れてきたためか、次第に辺りの音が聞こえるようになってきて――ジジジジジジジジジジジッ!
けたたましいセミの鳴き声が、今日も俺の鼓膜への連打を始めた。
これからやろうとしていることは、結局のところ意味がないことなのかもしれない。
セミが七日で散るように、同じく散ってしまう儚いものなのかもしれない。
……だとしても。
たとえそうなのだとしても、それでもやるんだ。
セミが七日間生きたことを証明するように、俺は――
「はあ……はあ……莉奈……」
「わわ、どうしたの諸永くん? 汗すごいよ?」
神社に着くと、赤を基調とした浴衣姿の莉奈が俺を見つけるなや急いで近づいてきて、バックからハンカチを取り出し俺の頬の汗を拭った。
「いや……ごめん……遅くなって」
大勢の人が長い列を作りながら、神社の前を通って駅のある方面へと向かっており、空がさっきからずっと静かなところをみると、どうやら俺は花火に間に合わなかったようだ。
しかし、そんな俺に莉奈は迷わず首を横に振った。
「ううん、大丈夫。気にしないで。だけど、健児くんに電話で言われた時は最初わけ分かんなかったよ。突然理由も言わず『今日、綾人が何か話したいことあるらしいから、あいつが来るまで長谷川神社で待ってて』ってさー。まあ、おかげで諸永くんの名前知ることができたから良いけどね」
「あ……あいつ……」
そもそも最初からこれが目的だったのか。
いや『話したいことがあるらしい』って……そこまでやられたら、もうおせっかいの領域だっつうの!
えーっと……と、いうことは。
莉奈は俺を直視したまま首を少し傾げると、
「ところで、話って、何?」
やっぱそうなりますよねー。
「あ……いや、そのおー……」
やばい、今までこの時のために走ってきたのに、莉奈から早速問いただされて俺はパニックを起こしていた。
ど、どうしよう。こういう時って最初何て言って切り出せば……うわあ、頭の中が真っ白で何も思いつかない。
とりあえず一度話題を変えて、しばらくしたらその話の後にでも――
「――でも、よかったよ」
「えっ!?」
あたふたと目を泳がす俺を前に、莉奈はニッコリと笑顔で。
間違いなく今日一番であろう輝かしい、俺だけの花火を表情に打ち上げて、
「今日、綾人くんに会えて、よかった」
その、瞬間。胸を中心にしてじわーっと温かい何かが全身を駆け巡った。
何だか、莉奈のその一言で全てが報われたような、そんな気がして……俺はまた泣きそうになっていた。
だけど、その前にすることがある。言わなきゃいけないことがあるんだ。
涙を必死に堪えながら、目の前の莉奈をしっかりと見つめて、俺は言った。
七日間の恋を、始めた。
「あなたのことが好きです」