効率厨のチュートリアル
オープン初日で賑わう最初の町『ファイン』の北門、俺は待ち合わせた友人のアバターを見つけ声をかけた。
「悪いな、まさか先に来てるなんて」
ぼけっと突っ立てるわが友人、長谷部勇人は俺の声に反応しない。
「おーい? 俺だ俺、わかるだろ? ちゃんと先に名前言っておいたし」
それでも反応がない。いい加減イラついてきた。
もっとも待ち合わせたもう一人の友人はまだのようだし、待つ分にはいいのだがその前に二度手間だろうか説明しておくことはしておきたいというのに。
「おい? 大丈夫か? もしかしてVR酔いとかか?」
あまりにも反応がないので、実はログインしたてで、初心者にまれに起こるというVR酔いを疑う。そうだとすると今日一日はなれることに終始し、まったく遊べなくなるため予定を大幅にかえなければならない。
「まずいな、シンに連絡して今日は中止にしておく――」
「えっと」
そこでようやく反応があった。
「どちらさまでしょうか?」
「なんでやねん!」
俺はそんなことをのたまう勇人に思わずツッコミを入れた。
VR技術が世に出てから8年が経過している。
しかしつい最近までその用途は医療用に終始し、民間での開発は大きく制限されていた。何しろ3年目でようやく何にもない部屋でオセロと将棋ができるようになる程度の進展しかしていなかったのだから。
5年目になってようやく個別のアバターが導入できるようになったが、その進捗状況は事実上の独占状況と相まって亀の遅さであった。
そして、黒船がやってくる。海外のとある企業がVR技術を使ったRPGゲームを世に出したのだ。
そのコンセプトはファンタジー世界の冒険というとてもシンプルなものであり、まだまだ荒が存在するものの世界中を熱狂の渦へと巻き込んだ。
しかし、その中に日本は含まれなかった。日本では法規制でVRセットの個人所有が禁止されていたためだ。
ここで政府はようやくVR技術の世界において大きく水をあけられたことに気づいたのである。
法改正により個人所持と民間への開発委託が承認されたのは2年前、そして海外ではさまざまなVRゲームが飛び交う中、今年になってようやく日本製のRPG『オーバーランド・オンライン』が発表された。
俺、境和樹は自他共に認めるゲーマーである。
得意ゲームはシューティングやRPGなど特定のルーチンを繰り返して最適化していくようなゲームだ。苦手なのは体を動かす系のゲームとか反射神経が問われる対人ゲーだ。音ゲーやFPSなどは好きだけどとてもうまいとは思えない。
そんな俺には二人の親友がいる。一人は長谷部勇人、運動神経抜群、勉強は上の下、ルックスは並以上というなかなかのハイスペックだ。高二の去年はサッカーでこいつを中心に全国までいっている。残念ながら一回戦負けではあったが。
そしてもう一人は堂島信二、こいつは滅茶苦茶頭のよい秀才というやつで、全教科で模試全国トップ10入りという化け物だ。他が受験勉強にあえぐ中、もう大学への推薦入学が決定している。
そしてこいつらと俺との間には覆せない壁がある。
こいつら二人ともすでに彼女もちなのだよ。糞が!
勇人のほうは別クラスの斉藤美紀というおとなしい子だ。文学少女といってもいい。まぁ、中身は俺が引くくらいのゲーマーだったんだけどね。勇人ほうから告白して二ヶ月、そこまでの苦労は語るに尽くせない。彼女の気を引くためにゲーセンで勇人に音ゲー教えたり、格ゲー一緒に対戦したりと大変だった。そしてそれは今回の話にもつながっていくのだが、それは後で話そう。
信二のほうは橘麗華という。残念ながら彼女については俺は詳しくない。何しろいる場所が遠く離れた北海道だからだ。その橘麗華相手に信二は小学生からかれこれ5年も長距離恋愛をしている。それでうまくいっているらしいからすごい話だ。なにしろ結婚も視野に入れているらしい。普段は俺らと馬鹿やることも多いのに、そういうところがやっぱり違うんだと思う。
さてそんな俺らはただいま高校三年生の夏休み期間中である。受験勉強などを本格的に始めるべき時期というには遅いくらいな大切な時期であるのだが、俺以外はもう推薦決まっていたりするし、俺は俺で専門学校へと行くことを考えており勉強はそこまで必要でもなかった。
そう、俺たちはこの夏を遊び倒す計画を立てていたのである。ただし、遊び方がゲームなため割と不健康ではあったが。
遊ぶゲームは日本発のVRMMO『オーバーランド・オンライン』、その正式オープンが夏休みに入ってすぐとぶつかっていた。
他のMMOゲームと一緒で『オーバーランド・オンライン』もβテストがすでに行われており、俺はそれにもすでに参加していた。だがとある事情から俺はβテストで使っていたキャラを消して新しいキャラで正式オープンを迎える予定であった。
そしてそこに親友たちの事情が入ってくる。
勇人はもちろん彼女と一緒にゲームで遊ぶため。ちなみに斉藤さんはβテストからすでにレイド系トップギルドに所属して掲示板に名前が挙がるくらいには活躍していたりする。
信二のほうも普段は電話やメールしかできない彼女とVR上とはいえ会えるという話で、わざわざ俺に頭を下げてゲームのやり方を聞いてきていた。
そう、二人とも彼女のためにゲームを始めるのだよ。糞が!
そういった事情で夏休み計画されたのが正式オープンでのスタートダッシュだ。
主に勇人が斉藤さんに追いつけるようにするため俺が鍛える予定に信二が乗っかる形ではあったが。
そんなこんなで冒頭に戻る。
俺のツッコミにも勇人――いや、ゲーム中はアバター名のユウと呼ぼう、にはどこかうわの空だ。
「おいしっかりしろ、事前に言っといただろ、アバターが違うって」
そう現実そのままの姿をコピーしたユウとは違い、俺はゲームで知り合った友人からアバターを使用していた。
現在の日本のVR技術ではアバターは現実の完全コピーをそのまま使うのが主流であり、俺もβテスト中はそうしていた。
理由は特に表情に違和感が出るためだ。3D技術が進み、人間に近いデータを作ることはできてもVR上でしゃべらせると必ずといっていいほどそれが人形であるように見えてしまう。それはこの先の課題であった。
そのためゲームにおいてもアバターはいじらないのが鉄則で、いじったいわゆる『整形』は絶対にバレて笑われるのが常であった。
無論、それでもデータを作って別人になろうとする人は多い。だがしかし、そこにもう一つの問題があった。
それはVRアバターは法律上身長(正確には視線の高さ)と手足の長さを変えてはいけないというものである。
このため、ネット上にいくらでも落ちている3Dデータを自身のアバターにするにしても自分用に調整しなければ使えないのだ。そしてそれは素人にはなかなかに困難な代物であった。中にはその調整を専門に請け負う3Dグラッフィッカーが登場するくらいなのだから。
だからこのアバターを手に入れられたのは幸運だったというしかない。それがβテスト時に参加したギルドのギルマスがそういった3Dグラフィックを専門的に作っている人で、オープンには参加できないためギルドを解散させる際にギルドメンバー全員に贈ったネタアバターであっても。
現在の俺の姿は金髪ポニーテイルの鼻がすっと通った美人さんである。アバター名はナナ、これはこのアバター名がナナエルというからであった。ちなみに元ギルマスはこれを仕事で徹夜して2日で作り上げた後、会社で没になったデータを流用して作ったらしい。
もともと天使として作ったらしく、どことなく中性的であった。ただし胸はでかいが。
「いや、でも、本当にかず――むぐ」
俺はリアルネームを話そうとしたユウの口をあわててふさいだ。
「あほか! リアルネームは絶対禁止っていっただろ!」
ただでさえアバターから変なのが沸きやすく、そのうえリアルばれしやすいゲームなのだ。わざわざリアル情報を流すなど自殺行為だ。
「す、すまん、えっとナナ? なんか違和感あるな」
「仕方がないだろ。このアバターで男の名前付けるわけにはいかないんだから」
俺ははじめから男であることを隠すつもりはない。それにさっきからこっちを見ている連中にむしろ俺が男であると知らせるためにそんなことを言った。
「いやしかし、こういわれているのと実際に見るとじゃねえ?」
「そんなこと、この仕様にした運営にいえ」
俺が女性型アバターを選らんだのには理由がある。実はこのゲーム、装備に性差が存在する。男には男性は専用武器が多く、女性は専用防具が多いという特徴があった。
そして俺の最終目標において女性専用防具の存在はきわめて大きいのだ。
「それよりそろそろPTで話そうぜ」
今までは全部オープンで話していたが、さすがにリアル情報がうっかり口からこぼれる危険はなくしたほうがいい。
「どうやるんだ?」
「俺が申請するからウィンドウがポップしたらYESを押してくれ」
俺はユウ注視する。すると他人へのメニュー画面が開き、それからPT申請を選らんでそれに触れる。これで申請が行われたはずだ。
≪ユウ様がPTに入りました≫
システムアナウンスが聞こえた。うまくいったようだ。
「うし、じゃあメニュー開いて会話ってところを全体からPTにしろ」
俺はそういいながら自分でも会話を切り替える。
『こ、こうか』
『OK,OK』
俺はシンが来るまでユウに各種メニューについての説明を始めた。
「ごめん、遅くなった」
シンが来たのはそれから10分ほど経ってからであった。
とりあえずPT申請を飛ばす。
『ん、これでいいかな?』
『OK,OK』
これでようやく全員がそろった。ちなみにそれぞれの彼女であるサイトーとレイ(だれがだれかはわかるだろう)は今日は未参加だ。というかサイトーさんは普通に自分のギルドのほうで活動しているしね。レイさんは明日から参加だ。
『さてと、それじゃあ説明するぞ』
俺の声に二人がうなずく。
『まず最初は肩慣らしに北へ出る。この町のクエストは無視する方向で。気になるなら後からやってくれ』
本当は町のサブクエストはともかく、このゲームのシナリオたるメインクエストはやっておいたほうがいいのだがオープン初日で激込みが予想されるのでスルーだ。
『最初のマップのスラッグとラビットが相手だ。ウルフは無視だ』
そう説明しながら北門を出る。最初の町の周辺MAPとあってモンスターはすべてノンアクティブだ。こちらから殴らない限り攻撃してこない。
ある程度人気がないところまで来ると、俺らはそれぞれの武器を取り出した。
俺は杖、ユウは剣と盾、シンは弓だ。
ちなみに俺らのステータスは以下のようになる
ナナ/1Lv サモナー/[][][][][]
STR10
VIT1
INT1
AGI1
DEX1
MID1
LUK10
ユウ/1Lv パラディン/[][][][][]
STR6
VIT6
INT4
AGI3
DEX3
MID2
LUK1
シン/1Lv レンジャー/[][][][][]
STR5
VIT1
INT1
AGI6
DEX10
MID1
LUK1
俺の職業≪サモナー≫はモンスターを召喚して戦う職業だ。主に精霊、動物、アンデットの3種類が存在し、俺はアンデットを召喚していく予定だ。精霊召喚だと火力職になれるし、動物召喚は壁役になれる。アンデットはそういうのとは違う使い方がメインだが、そこらへんは後述しよう。
ユウの職業≪パラディン≫は壁役としてメインを張れる職業で、そのうえ回復やダメージ分散といったダメージコントロールが得意な職業だ。また、弱点もちが多い聖属性をスキルで発揮することができるのも強みだ。
シンの職業≪レンジャー≫は他のゲームとはちょっと異なり、槍や刺突剣、弓や銃といった点で攻撃する武器をメインとして扱う職業となっている。無論、レンジャーの名のとおり野外活動にボーナスが入るスキルもあるのだが。
『シン、悪いが最初は短剣にしてくれ、弓はあとで絶好のポイントがあるから』
シンの職業≪レンジャー≫には初期装備で弓と短剣がある。俺は短剣を使うように指示した。最初は無理やりにでも体を動かすことを覚えてもらうためだ。
『うお、結構ムズいな』
『うわ、気持ち悪い』
ユウはラビット相手に右往左往し、シンはスラッグに短剣をザクザクと突き刺していた。
俺のほうも杖をゴルフのように振ってラビットを跳ね飛ばしていた。
『ユウ、動きに違和感あるならステータスのアシストの値を下げろ』
もともとスポーツが得意なユウがうまくいってないのはおそらくアシストが利きすぎて、体の動きに違和感があるからであろう。
案の定、しばらく試してからは動きが格段によくなった。
『うし、レベルアップ!』
『こっちも』
二人がレベルアップしたところで一度集めた。
『よし、スキル使おうか。ユウは≪パラディン≫の≪クロス・スラッシュ≫で、シンは≪レンジャー≫の≪ピアッシング≫な。とりあえずMPなくなるまで』
『このアシストってのは?』
『つけると体が勝ってに動くよ。初期スキルならいらんけど、後半スキルにはそれつけたほうがいいのもある』
『≪クロス・スラッシュ≫! うぉぉ』
さっそくユウがアシストつきでスキルを放ち、体が引っ張られてバランスを崩して転んだ。
『≪ピアッシング≫! お、一撃だ。でも地味だなぁ』
シンの突き刺した短剣が一撃でラビットを屠る。一応専用のエフェクトは出てるのだが、初期スキルなので地味なのは否めない。
『それは弓にも乗るからそういうなって』
俺はシンを慰めつつ、あいかわらずのゴルフだ。
各スキルは熟練度があり、それによってスキルレベルが上昇する。初期スキルはぶっちゃけ適当にやってても楽にカンストするのだが、多く使わせていたほうがいい。
そんなことを3レベルになるまで繰り返した。
『あがったな? うし、一回町もどるぞ』
『これでアイテム売ってサブとったら次の町だっけ?』
『そうそう、今日はこの後が地味にきついんだが明日からの本格的な狩りの準備だと思ってくれ』
『しっかし、ウルフってのとも戦ってみたかったんだがな』
『死ぬぞ』
『へ?』
『3人がかりなら何とかなるかもだが、多分死ぬぞ』
『そんなに強いの? あれ』
『明日も説明するけど動きが桁違いだからな』
そんなことを話ながら町へと戻った。
町の中は相変わらずだ。正式オープン初日とあってプレイヤーでごった返している。
初期出現ポイントが町の南であるため北はまだましだが、それでも気をつけて歩かないとぶつかる羽目になるだろう。
俺たちは北の端の商店に狩りのドロップ品を売り払った。ぶっちゃけ二束三文にしかならないので捨ててもよかったのだが、この商店には別の目的があるのでついでだ。
「で、3人全員がこの仕事を請けるのかい?」
NPCの店主に壁に貼ってあった依頼書を持っていく。
するとそんなことを話してYES/NOのウィンドウがポップする。当然YESを押した。
≪クエスト:キャリアーへの道 を受諾しました≫
そう、このクエストを受けることが目的であった。より正確にはこのクエストを達成することで得られるサブ職業≪キャリアー≫が目当てであった。
このゲームは職業制ゲームだ。キャラクターメイキング時に全16職から一つを選択する。これがそのキャラのメイン職業となる。
だがしかし、このゲームにはそのほかに無数のサブ職業が存在する。確かβテストではわかってるだけで32種類ものサブ職業が存在した。そしてメイン職業をサブに選択することもできる。
キャラクターは一つのメイン職業と五つのサブ職業からなる。
例えば俺ならば、メイン職業は≪サモナー≫であり、このクエストをクリアすることでサブ職業の一つが≪キャリアー≫となる。
メイン職業はどうやっても変えられないが、サブ職業は付け替え自由であり、それがこのゲームのキャラメイキングの自由度を大幅に引き上げている。
『で、このサブがなんで有用なんだっけ?』
俺たちはクエストを受けるとその足で最初の町『ファイン』を出て一路北の牧場へと向かっていた。
『まず職業特性の所持重量制限+1000が初期ではおいしい。次にステータス補正がSTRとVITである点も有用だ』
職業特性とはサブ職業におけるその職固有の性質で、例えば≪貴族≫なら≪褒章:1日1000G≫などといったその職のあり方を有利なデータとしたものである。
そしてサブ職業はその職ごとにレベルに合わせてステータスに補正がかかる。
所持重量制限とはそのキャラが持てるアイテムの重量合計であり、1000+STR×5が基本となる。
基本的にダンジョン等でそこまでの重量を必要とされることはないが、狩場にこもるためには必須といえる。
『STRに補正あるのが少ないからな。前衛ならこれと≪鍛冶師≫と≪炭鉱夫≫は鉄板だな』
STRがあがるほど近接攻撃のダメージは増えるのだ。上げない手はない。またシンは最終的に銃装備を目指すのだが、銃は必要STRが高めに設定されている。これの補正を使えばレベルアップ時にSTRに振る必要はなくなるだろう。
『サブのレベル上げはその職業適性を使い続けるんだろ? 面倒そうだな』
『まぁな。というかそこまで簡単なわけないだろ。オンラインゲームならそんなもんだ』
『ユウはあんまりこういうゲームやらないからね。これでもオープンしたてだからまだぜんぜん楽なほうだよ』
『うへー』
そうこう言っているうちに目的地についた。
『メーモ牧場へようこそ!』
という看板が寒々しい牧場だ。わざわざ町の郊外にある割りに規模は非常に小さい。
『なんか変なのが』
『あれがメーモ?』
柵の中には羊のようにモコモコにした牛とでも言うべき動物が存在してた。
『めー』
『もー』
泣き声くらい統一しろよといいたくなるようなこの動物が『メーモ』といい、こいつの乳や肉、毛や皮はこのゲームにおいてあらゆるものに利用される。
が、しかし今回この牧場に訪れた目的はメーモではないのでスルーする。
目的の場所は牧場のさらにはずれ、乗合馬車発着所である。
このゲームの移動手段はいろいろあるが、この乗合馬車が最もポピュラーであろう。主要な町や施設の往来をしており、この『メーモ』牧場へも目的の町『セントラル』との乗合馬車がでている。
当然最初の町『ファイン』と『セントラル』を繋ぐ馬車もあるのだが、込み合ってどれだけ待つ羽目になるのか予想がつかない。
ならばと思い、郊外のはずれの施設から出ている馬車ならそこまで込まないだろうという予想は当たっていた。
案の定発着所には4人が並んでいるだけであり、これなら一緒に次の馬車に乗れる。
俺たちは前に並んでいる4人に軽く会釈をしてその後ろにならんだ。
『あとどのくらいですかね?』
『ユウ、会話切り替えないと聞こえないぞ』
『あ、っと』
「後どれくらいだかわかりますか?」
「あ、多分3分くらいですよ」
「ありがとうございます」
あまり待たなくて済みそうで助かる。
キャリアークエのための荷物がそれなりにきつい。
待ち時間が長ければ向こうの長椅子に座るんだが、それくらいならおとなしく立っていよう。
「それにしてもすごいアバターですね。どこのサイト製ですか?」
「友人が個人的に作ってくれたものですよ」
そんな話を振られたので俺は無難に答えた。
「それってβの時のギルドの人だろ? すげえよなぁ」
『ユウ、あんまりアバター関係は話さないほうがいい』
話を続けるユウにシンが警告した。
「よければ作成者さんの名前を教えてほしいなぁ」
「オープンからは仕事の都合でやれないそうなので会えませんよ」
適当にはぐらかしておく。まぁ、嘘は言ってないしな。
その後来た馬車に乗って、俺たちは一路次の町『セントラル』へと向かうのであった。
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