表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
炎の魔術師と神の使徒  作者: 揚羽常時
竜の呪(ドラゴンズカース)編
98/148

エレクトロキネシス20


「苦戦しておりやすな」


 照ノが声を掛けた。


 少し離れた場所から。


「そちらは終わったので?」


「ええ。西方浄土へ」


「貴方がいいますか」


「黄泉路でも構いやしやせんがね」


 どちらかというなら神道系列だ。


 天常照ノは。


「それにしても天晴れでやすな」


「誰が?」


「無論、吸血鬼でやんす」


「……………………」


 半眼で睨むクリス。


 彼は飄々としていた。


「まさかセカンドヴァンパイアとは言え……」


「何か?」


 ルドルフも興味を引いたようだ。


「竜殺し相手に、こうも生き延びるのは優秀な証拠でやす」


「藤原遠野は?」


「西方浄土へ」


「四鬼まで滅ぼしたの?」


「はあ。まあ」


 ボンヤリと照ノ。


 喫煙しながら。


「化け物揃いね」


「おんしがいいやすか」


 それもまた事実。


「にしても暑いねー」


 クリスは炎の庭で、鎮火作業に明け暮れていた。


 エリスは、炎のない場所に避難。


 クリスは痛痒しない。


 照ノは当事者。


 そして吸血鬼は炎の届かない空中へ。


 赤い月を背負って、地上を睥睨する。


「手を貸さなくとも?」


「吸血鬼は私が滅ぼします」


「ではその通りに」


 一瞬の半分で、仮想聖釘が具現した。


 もう半分で、投擲される


「――っ!」


 ルドルフも然る者。


 あまりなマニューバで、回避してのける。


 アスカロンの刀身は、十メートル。


 そして吸血鬼は、それ以上の高さを、維持していた。


 結果、魔術と聖釘の応酬に相成る。


「さりとて使徒の、堅物さよ」


 照ノはくわえているキセルで喫煙する。


 フーッと紫煙を吐いた。


「本当に良いの?」


 エリスが問うてきた。


「何とかなるでやしょ」


 彼の返答は、簡潔を極めた。


「そうかなー」


 アリスは懐疑的だ。


 無理もないが。


「とはいえ市場としては、吸血鬼は協会の御敵でやして、場合によっては一般的な魔術師でも、名誉を協会に売れとうるさいほどでやんす」


 実質的にそんなことに、以前は照ノも巻き込まれた。


 その時は吸血鬼ではなかったが。


「照ノはソレで良いの?」


「すでに遠野は駆逐しやしたし」


 それだけでも名誉は売れるだろう。


 藤原の神童……遠野。


 その使役する式神……四鬼。


 藤原から吸血鬼が出たのは事実だが、藤原に責任を帰結させようとの意思は、照ノには無かった。


 元より家督は正式に譲っている。


 であれば老後の人生で吸血鬼になっても、それは当人の責任だろう。


 喫煙。


「けど苦戦してるよー?」


 アリスがズケズケと言う。


「大丈夫でやすよ」


 照ノにしては慈愛の言葉。


 珍しくはあろう。


 基本的に、


「無頼」


「歌舞伎」


「無神経」


 を素で行く天常道。


 紅羽織が翻る。


 百合の意匠をあしらった、白羽織のアリスと対照的だ。


「さて」


 クリスが、吸血鬼を見据える。


「そろそろ終わらせますか」


「可能で?」


「不可能ならば……それなりに」


 パン。


 音が破裂した。


 空気が引き裂かれた。


 アスカロンの全力全開。


 それは吸血鬼ルドルフを、水平に斬り裂いた。


 跳んで、間合いを詰めて、横一文字に切り裂く。


 言ってしまえばそれだけだが、その結果しか、吸血鬼は読み取れなかった。


 肺と心臓を、胸と背中ごと斬り裂かれ、そこで漸く、自分の死を認識する。


「わお」


 とはエリスの賞賛。


 アリスも驚いてはいるようだ。


 照ノには当たり前のことなので、殊更驚愕も出る能わず。


「でしょうな」


 程度だった。


 こうして吸血鬼事件は、終わりを見る。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ