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炎の魔術師と神の使徒  作者: 揚羽常時
傲慢の塔(プライドタワー)編
57/148

最凶の荒神VS最恐の妖怪05

「さて」


 照ノはぼやく。


「今日も今日とて」


 よくやると云ったところだ。


「何がか?」


 と問われれば魔術錠の開錠についてだ。


 神威装置と倭人神職会。


 この二大組織が争っている。


 プライドタワーを中心に。


 陣取り合戦。


 そして照ノのかけた魔術錠を、必死に解こうとする、クリスとトリスであった。


「皮肉だね師匠」


 くっくとアリスが笑う。


 その気持ちは慮れるが、


「特に意識してのことでもないけどね」


 飄々と返す照ノだった。


 罪悪感なぞ持てようはずもない。


 そもそもにしてレベルが違う。


 階位。


 順位。


 そう呼んでも良い。


 少なくとも照ノにとっては、


「ご苦労様」


 と言ってあげたい気分だった。


「照ノ!」


 これはクリス。


「へぇへ」


「ヒントを!」


「努力することでやんすな」


「やっぱり照ノを殺すしか……!」


「それが出来ないのは重々承知でやしょ?」


「くぅ……!」


「一神教的に言うには、これも神の思し召しでやんす」


「主を持ち出さないでください!」


 仮想聖釘。


 ヒョイ。


 照ノは避ける。


 それから「反転愛情」と書かれた扇子を仰いで、


「ツンデレイドも大変でやすね」


 かっかと笑う。


「誰がツンデレですか!」


 仮想聖釘。


 ヒョイ。


「全てが唯一神の全知における認識内なら、これも業でやしょ?」


「死ね!」


 仮想聖釘。


 ヒョイ。


 照ノは、くわえたキセルに、刻みタバコを添えると、二次変換によって情報を現象に具現化……指先に炎を灯してタバコに火を点ける。


 紫煙をスーッと吸ってフーッと吐く。


 ほにゃらっと照ノは相好を崩した。


「あー」


 感慨深げに、


「これが生きてるってことでやんすね」


 そう言うのだった。


「タバコ程度で何を……!」


「しかして唯一神が全知全能なら、タバコを扱うのも唯一神の意思でやんしょ?」


「違います!」


 仮想聖釘。


 ヒョイ。


「なんでもかんでも主のせいにしないでください!」


「とは言われやしてもねぇ」


 鳥の巣頭を、ガシガシと掻く照ノ。


 赤い羽織が風にたなびく。


「地獄や煉獄を生み出したのもお前様の神様でやんしょ?」


「そうですけど!」


「真に対象が全能であるならば、ルシフェルみたいな反逆者は出ないと思いやすが、その辺は如何に?」


「そこまで主の気が回らなかったということでしょう!?」


「なれば全知全能は返却する必要がありやすね」


「死ね!」


 仮想聖釘。


 ヒョイ。


「ツンデリオ=ハーンもいい加減目覚めるでやんすよ」


「だれが八雲風ツンデレですか!」


「たまにはデレも起こしてほしいでやんす」


「私は主に操を捧げてます!」


「勿体ないでやんすなぁ」


「エロ魔神!」


「耳に痛いでやんす」


 照ノはフーッと紫煙を吐く。


 煙は大気に撹拌される。


「しかして小生のように」


 照ノは言う。


「異教の神も存在を許されていやす」


 事実を。


「その辺りは如何に?」


「気まぐれでしょう」


「ほう?」


 照ノは興味深げに頷く。


「即ち異教の神々を許容する懐が。そちらの神さんにはあると?」


「ぐ……!」


 言葉に詰まるクリス。


「原理聖書教も別解聖書教も北欧神話もギリシャ神話も道教も仏教も神道も認めるということでやんすか?」


「我が主が唯一絶対です!」


「それをどう証明しやす?」


「ただ信仰心によって!」


「難儀でやすな」


 照ノは肩をすくめるのだった。


「ぶっちゃけた話……色欲を禁忌としながら淫行でないと子どもが作れないというのはどういうことでやす?」


「ぐ……う……!」


「まぁ何が大事かは人それぞれでやんすがね」


 そしてまたタバコを吸う。


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