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炎の魔術師と神の使徒  作者: 揚羽常時
傲慢の塔(プライドタワー)編
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最凶の荒神VS最恐の妖怪02

「あうー」


 数日後。


 ソルとツルが退場して、いつもの日常が戻ってきた。


 照ノは、うとうとしながら、クリスの用意した朝食を貪っている。


 今日はトーストとハムエッグとレタスサラダとコンソメスープ。


 レタスをもしゃもしゃ食べながら、


「あーうー」


 とフラフラ。


「パパ。だらしないですよ?」


「それが小生でやす故」


 トリスの言葉にも皮肉で返す。


 ちなみに今日は平日。


 学校日和だ。


 クリスは教会の運営。


 ジルは日光が大敵。


 故に学校に通うのは照ノとトリスとアリスだけなのだが。


「ま、別に行かなくともいいんでやすがね」


 そういうことだった。


 そもそもにして照ノの存在は、紀元前から存在する。


 アリスは六十歳を超えている。


 どちらも特に勉学を必要とする年齢ではない。


 では何ゆえ学校に通っているかと云えば単純に、


「娯楽だ」


 ということに相違ない。


 年齢を数えるだけなら、部屋に引き籠っても出来る。


 それではつまらないから、人間の運営を傍目に見ているのだ。


 ある種、神ならではの娯楽と云えた。


「馳走でやんした」


 食事を終えて、照ノはパンと一拍した。


 本来は仏教の作法ではあるが、神仏習合を旨とする照ノにとっては、背徳ではない。


「クリス嬢~」


「なんです異教徒?」


「コーヒーをお願いしやす」


「はいはい」


 挑発でなければ、クリスも過剰に反応しない程度には丸くなっている。


 差し出されたコーヒーを飲んで、


「うむ。八十五点」


 と不躾に採点する照ノ。


「合格点ですね」


「クリスは良いお嫁さんになりやすね」


「主に操を誓っているのは知っているでしょう?」


「つまり主の慰み者になると?」


 仮想聖釘が、照ノ目掛けて飛んだ。


 照ノはコーヒーを飲みながら器用に躱す。


 グイとコーヒーを飲み干して、


「冗談でやんす」


 苦笑する。


「でも実際のところ性欲はどう処理していやすか?」


 仮想聖釘が飛ぶ。


 手に持ったキセルで弾く。


 それから火皿にタバコを詰めて魔術で火を点ける。


 相も変わらずタバコを吸う照ノに、


「変態!」


 と罵るクリス。


「トリス嬢は?」


「あう……」


 真っ赤になるトリスだった。


「ははぁ」


 照ノは、くつくつと笑う。


「因果な宗教でやんす」


「死ね!」


 仮想聖釘。


 ヒョイ。


「信仰と性欲のコンクラーベでやんすな」


 仮想聖釘。


 ヒョイ。


「クリス嬢さえその気なら幾らでも慰めてやりやすのに……」


 ジャキッと仮想聖釘を構えるクリスに、


「ママ。これ以上教会を壊さないで」


 トリスが冷静になるよう諭す。


「師匠。アリスも抱かれたいよ?」


「ツンデリッターの後でよければ」


「やっぱりツンデレに心を?」


「でやす」


「ばばば……!」


「ば?」


「馬鹿じゃないですの!?」


 狼狽えたのはクリス。


「ならアリスとクリスと師匠で3Pは?」


「ジル嬢にも言われやしたねソレ」


「ジルもアリスもそれだけ師匠が好きなんだ」


「光栄の栄光でやす」


 フーッと天井に向けて紫煙を吐く照ノだった。


「後はクリス嬢とトリス嬢が小生に体を許してくれれば言うこと無いでやんすが……」


「パパは私に性欲を持ってるんですか?」


「当然でやす」


「あう……」


「可愛いでやすなぁ」


 仮想聖釘。


 ヒョイ。


「それだけクリス嬢やトリス嬢が魅力的と云うことでやんす」


 キセルをくわえたままケラケラと笑う照ノに、


「う~」


 とクリスが赤面し、


「パパが……」


 トリスが困惑した。


「悪人」


 輸血パックの血を吸いながら、ボソリとジルが呟く。


「否定は出来やせんな」


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