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炎の魔術師と神の使徒  作者: 揚羽常時
竜の呪(ドラゴンズカース)編
131/148

命短し恋せよ乙女10


「で」


 焼酎のロック。


 居酒屋での事。


 照ノは、玉藻と酒を飲んでいた。


「玉藻はどう思っているので?」


「真駒のことかや? それともエリスかの?」


「どちらかと云えば前者でやすが」


 都市開発。


 国家が土地を取り上げる。


 政治的には可能だ。


 ただ肯定派も押し留めているのだろう。


 国策だけでも、人は動かない。


「そうなりやすと……」


「魔導災害認定じゃの」


 概ね、照ノと玉藻の意見は、一致した。


「さいなりやすね」


「で、ミズチを攻撃し、攻撃され、敵対を証拠として残す……と」


 焼酎を飲む。


 チーズクラッカーをパクリ。


「で、おんしはどんな立場でやす?」


「暇潰し」


 コレを本気で言うから度し難い。


 照ノは嘆息した。


 ソレも深く。


「近々国交省が動くじゃろうよ。向こうも焦っておる。そうなると…………まぁ結社の派遣で済めばいいがの」


「ミズチの排除に?」


「他にあるまいよ」


「然り」


 辛い焼酎の味。


 それがまた心地よい。


「むしろ照ノはどうなんじゃ?」


「何がでっしゃろ?」


「エリスを殺してもいいんじゃろうか?」


 皮肉気に口の端がつり上がっている玉藻だった。


「殊更特筆する事でもないかと」


 別に生け贄が必要ならくれてやれば良い。


「命を大事にする」


 そのことに照ノは、意義を見出していなかった。


「いっそのこと……」


「こと?」


「先手を打って、エリスを生け贄にするのも含まれやすな」


「おんしはソレで構わんのじゃ?」


「特別」


 サラリと照ノは返した。


「真駒の繁栄にソレが適うなら、止める義理もありやせん」


「ドライじゃの」


「面白がるよりマシでやんすがね」


「かか!」


 大笑する玉藻。


「じゃの」


 笑いながら肯定した。


「そーゆーところが……」


 芋のロックを飲む。


「うむ。美味し」


 玉藻も地酒を飲んでいた。


「要するに」


 と玉藻。


「エリスが行方不明になればいいわけじゃ」


「でやすね」


 ならば。


 玉藻は語る。


「行方不明の手段に如何を問わない。これもまた事実」


「つまり」


「つまりじゃ」


 二人の予想は重なった。


「骨も無く焼き尽くせば、それをミズチのせいに出来る……わけじゃな」


「そこまで政府がしやすか?」


「するじゃろうの」


 地酒を飲んで、玉藻は言う。


「国交省にも公約があるじゃろ」


「なるほど」


 そのためにはミズチが邪魔なわけだ。


「となれば」


 フライドポテトをパクリ。


「エリスを行方不明にしやすか」


「そんなところじゃな」


「で、あれば、火葬場レベル以上の魔術師が必要でやすな」


 そこまで言って、


「つまり玉藻は……」


「そやつと戦えるのが楽しみじゃの」


「そういうカラクリで」


 照ノは嘆息した。


「何か文句でもあるじゃ?」


「ありやせんが」


 ツッコむだけ無駄なのは、重々に承知している。


「そうなると」


「エリス嬢から目が離せやせんな」


「じゃの」


 カラカラと玉藻の笑う。


「一体どんな刺客が送られてくるんじゃろうのう?」


「業が深いとはこのことでやす」


 焼酎を一口。


「それは開けてビックリ玉手箱じゃ」


「出来れば穏当でありたいんでやすが……」


「神と化け物がこっちにいるじゃろ」


「でやすね」


「では相応の刺客がやってくるじゃろうよ」


「今から気が重いでやす」


「本気なのじゃ?」


「バトルジャンキーと一緒にしないでくれやっせ」


 酒を飲む照ノだった。


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