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炎の魔術師と神の使徒  作者: 揚羽常時
竜の呪(ドラゴンズカース)編
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命短し恋せよ乙女01


「夏だ!」


「空だ!」


「海じゃー!」


 そんなわけで、某県某市はプライベートビーチ。


 真駒家の所有地に、照ノたちはきていた。


 全員が水着姿だ。


 エリスは泳げないのだが、空気を読んで、水着になり、ビーチパラソルの下で、読書にふけっていた。


 真駒家に歓迎を受けた照ノ。


 同上クリス。


 同上アリス。


 結界内にジル。


 発案者のエリス。


 飛び入りのアルト。


 ここまでは宜しい。


「泳ぐのじゃー」


 そこにイレギュラーがいた。


 水着姿の……目を見張る妖艶な女性だ。


 ケモナー必須のキツネ耳と尻尾。


 コスプレではなくガチだ。


 太陽光を反射して、金色に輝く尻尾は計九本。


 白面金毛九尾の狐。


 大妖怪。


 玉藻御前と呼ばれる魔導災害であった。


 照ノは貧血に近い目眩を覚えたが、あまり人の事は言えない。


 照ノ自身が、そもそも日本最古のテロリストだ。


 ただ問題は、今回、玉藻御前が参加した理由だ。


 照ノの場合は、厄介事に巻き込まれやすい。


 玉藻御前の場合は……嬉々として厄介事に首を突っ込む。


「何を企んでいるのか」


 無論、真駒の件だろう。


 その程度の推測は簡単だ。


 御流様みながれさま


 そに繁栄を約束された一族。


 カースドブラッドの家系だ。


 何かしらの問題を抱えているのだろう。


「それにしても」


 とは愚痴の一つも……ソレは出ようという物。


 玉藻御前が、首を突っ込んで、シッチャカメッチャカにならなかった事がない。


 在る意味哀しい信頼だ。


 先の避暑に於ける、参加の意思を示したラインのコメントが、九尾の狐……玉藻御前なのであった。


「うおおおおおお!」


 お尻から付きだした九尾が邪魔そうに見えるが、苦も無く玉藻御前は海を楽しんでいた。


「なんだかなぁ」


 照ノは、スイカジュースを飲みながら、ヒロインたちの水着姿を眺めていた。


「その、どうかな?」


 読書をしながら、泳げない浜辺のエリスが尋ねる。


「良い土地でやすね。土が生きていやす」


 それも事実だった。


「えへへ」


 はにかむエリス。


「エリスの水着も似合ってやすよ」


「ありがと」


「しかしこんな大人数で押しかけて大丈夫でやしたか?」


「見たでしょ?」


「あー」


 たしかに見た。


 泳ぐ前に、実家に挨拶はした。


 広い屋敷だった。


 生憎と家主はいなかったが、使用人がいて、大人数にもかかわらず、一人一人に部屋が割り振られた。


 今こうしているビーチにも使用人がたたずんでおり、命令を待っている。


 照ノのスイカジュースも、その産物だ。


「家主は仕事で?」


「あはは。まぁ」


「いいんでやすけどね」


 ジュースを飲む。


「それにしても良いところでやすね」


「ザ・田舎だよね」


「別段卑下する必要もありやせんよ。此処は良い土地でやす」


「ありがと」


 苦笑が閃いた。


「照ノは泳がないの?」


「さてどうしやしょ」


 殊更クールを気取るつもりもないが、三千年も生きれば、島国の神として、海の有り難さは半減もする。


 場合によっては失礼な感想ではあれども。


「ところで飛び入りの御方は?」


「魔導災害」


「えーと?」


「玉藻御前。御前と呼んでやってくやされ」


「御前……」


「九尾の狐でやすよ」


「あー、あの伝説の」


「でやす」


「本当にいるんだね」


「そこはまぁ神秘でやすな」


「強いの?」


「最強の一角でやんす」


 事実だ。


 場合によっては、戦略兵器以上にタチが悪い。


「ふぅん?」


 納得したのか。


 していないのか。


 エリスもスイカジュースをチューと飲んだ。


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