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炎の魔術師と神の使徒  作者: 揚羽常時
竜の呪(ドラゴンズカース)編
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アルト公の想う者11


「えーとー、えー?」


 アリスが困惑するのも無理なからぬ。


 鬼退治でクリスと出張ってから、帰って来たら、照ノが美少年とイチャイチャしていた……という経緯。


「で誰よー?」


 との問いに、


「アルト大公だ」


 さらりと重大発言。


「ブリテンのー?」


「でやすな」


 グレートですよコイツァ。


「知り合いで?」


「色々とございやして」


 今はまだ語る気にもなれない。


 色んな方面で、顔の利く照ノだった。


「わお! ミスアリス!?」


「だねー。ですねー」


「照ノ兄様から聞きました! モルゲンシュテルンの……」


「お父様の件ですねー」


 魔導テロ。


 モーニングスター事件。


 照ノの武勇譚の一つで、教会協会から、エグい金額を振り込まれた。


 もちのろんで、口止め料の意味合いも強い。


「アダムカドモン!」


「だよー」


「すごーい」


 ――おまいう。


 照ノは心中ツッコんだ。


 色々と化け物揃いの照ノ旅団だが、アルトも引けを取らない。


 選定の剣を抜いた時点で、不朽不滅を約束された存在だ。


「で、結局鬼はどうしたんでやす?」


 アリスの驚きには追求しないらしい。


「鬼さんが暴れてたので殲滅をー」


「南無八幡大菩薩。っていうかクリス嬢とアリス嬢で出来やしたか」


「あとエリスー」


「経験を積むのも、確かに必要でやすな」


「そーゆーことー」


「中々得がたい資質でありやすれば」


「エリス?」


「ま、一種小生の弟子でやす」


「照ノ兄様の?」


「へえ」


 ボンヤリと呟いて、キセルをくわえる。


 喫煙だ。


「むー」


「愛らしいでやすな」


 クシャクシャと頭を撫でる。


「えへへぇ」


 それだけでトロンと、蕩ける少年の顔。


「エリス嬢は?」


「帰ったよー」


「では後日との事で」


「クリスさんはいいのー?」


「アレも面倒でやんすがね」


 実際問題、教会協会とは折り合いが悪い。


 協会は、教会全体を派閥に関係なく支援する。


 それは新約国教もそうだが、旧約過激派もまた真なり。


 で、その点でしこりを残すも、また事実。


「へー」


 アリスはよく分かっていないらしい。


「ま、構いやせんがね」


 別に講義しようとも思っていないので、不理解には何を思うでもない。


「ペンドラゴン……ねー」


「色々ござんして」


「照ノ兄様。大好きです」


「御寛容に甘えれば、小生もアルト公は好きでやすよ」


「本当ですか!」


「然り」


 フーッと紫煙を吐く。


「えへあはぁ」


 蕩ける大公。


「お兄ちゃん~?」


「ま、大なり小なり」


 それで言い訳のつもりだから救い難い。


「にゃーよー」


 気紛れな猫のような不平。


「気にしやすな」


「するよー」


「じゃあ気にし続けやっせ」


「胃が保たないー」


「どこまでリソースを割くのかは、アリスに任せ申しやす」


「アリスを愛してー」


「都条例違反でやすなぁ」


「沈黙は金ー」


「雄弁は悪でやす」


「誰にも言わないからー」


「そゆ問題でも……」


 喫煙。


「据え膳食わぬは男の恥ー!」


「だそうで。アルト公」


「照ノ兄様に?」


 ――どうしてそうなった?


 恋立れんりつ方程式は、複雑系だ。


「色々と台無しでやんすな」


 嘆息。


 ついでに主流煙が、吐き出された。


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