ロンドン三.
ジョージは神山淳たちに連れられ、衝撃的なものを見せられた。ポータブルDVDプレーヤー自体も驚きだったが、そこに映し出された映像は、次々と人が消えていくニュースだった。
「これは… どういう仕組みなんだ?」
ジョージはポータブルDVDプレーヤーをあらゆる角度から眺めた。
ジョージにとって、人が消えていくニュースよりも、目の前の機械の方が興味を引いたのだ。
「あなたがこれから発明する物によって、この世界が二つに分かれる」
「二つに分かれる?」
「莫大なエネルギーを、一つの世界では支えきれないから分かれたのだと思います」
青島孝が答えた。
「私の研究は、完成するのか」
「残念ながら、私たちの世界では確認できません。もう一つの世界がその影響を受け、急速な科学技術の発展と、深刻な環境悪化を辿りました」
「君たちは、自分たちの世界が正統で、もう一つの世界はそうではないと思っているようだな。しかし、それは自分勝手な思い込みだ」
「…」
確かに、ジョージの言う通りかもしれないと、青島孝も神山淳も思った。
「その通りかもしれない。しかし、大量殺人は許せない」
青島孝は感情を押し殺しながら言った。
「消えていく先を知っているのか?」
ジョージが尋ねる。
青島孝と神山淳は頷いた。
林田未結が話した内容を、神山淳が伝えた。
林田未結は、X特捜に全面的に協力した。その証として、アークのことや、自分が住んでいた世界の状況などを話した。その話の中に、次元転送装置を使って、人間たちを大量に送り込んでいる場所も含まれていた。送り込まれた先は、林田未結がいた世界の地表。人間は転送されると同時に即死し、地表は死体の山と化しているのだ。