65.勉強塗れ
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無事手合わせが終わり、昼食を済ませた後、『烈火』の面々は用事の為にリアと別れ、トマス邸を出た。
彼らは今後も帝国で活動するつもりらしいので、リアと会う機会もあるだろう。
まあ、それはともかくとして……今の僕とリアには、やる事がある。
そう、勉強である。
三月に予定されている、帝立魔術学校の入学試験に向けて、試験勉強をしなければならない。
「うむ、二人共、よく出来ておるな……この調子なら合格出来るじゃろう」
という師匠の言を信じるならば、このまま頑張っていけば行ける筈だ。
約五か月も冒険者生活をしていたのにこれとは、僕達の頭が良いのか、師匠の雇った家庭教師が素晴らしいのか……恐らく後者だろうけど。
ちなみに、成績はリアより僕の方が良い。
師匠は、元に日本の知識があるというのが関係しているだろう、と言っていた。
まあ算術に関しては、教えてもらう前からかなり出来ていたし、言語も、中央大陸の言葉は日本語に近いところがあるので、少し教えてもらったらマスター出来た。
何より、一番大事な魔術に関しては、師匠という最高の教師が居るからだろう。
リアも僕との手合わせには負けてしまったが、並の冒険者と同じくらいかそれ以上の強さを持っている。
実際、冒険者の中でも上澄みであろうアメリアさんと、ほぼ遜色無い魔術を使いこなしている。
まあ、それでも師匠や宮廷魔術師の人と比べると見劣りしてしまうが……。それは比較対象が悪い、という事にしておこう。
ともかく。
僕達は残り二か月間、勉学に明け暮れなければならない。
本当ならば、冒険者生活で得た経験を活かして、サーズンさん辺りと模擬戦をしたいが……そんな暇は無いので、大人しく勉強をしよう。
そんな事を言っていたら、あっという間に二か月が経ってしまった。
時の流れとは早いもので……毎日勉強だけの日々は、一瞬で過ぎ去っていった。
そして今日、帝立魔術学校の入学試験が行われる。
「アル、リア、準備は出来たかの?」
トマス邸の門前に停められた馬車の前で、師匠はそう言った。
「はい。バッチリです」
「うむ。特待生は筆記以外にも実技試験があるからの。まあ、お主らならば問題は無いと思うが……くれぐれも、油断だけはしない様に」
「「はい!」」
特待生は、普通の学生とは色々と違う点がある。
まず、特待生は、有力者からの推薦でしかなる事が出来ない。
有力者とは、主に伯爵以上の貴族や、何かの要職に就いている人を指す。
師匠の場合は子爵だが、宮廷魔術師長という要職に就いているし、更に宮廷魔術師長は在任中は伯爵相当の扱いを受けるので、推薦を出せる立場にある。
その師匠の推薦で、僕とリアは特待生としての試験を受ける訳だ。
そして、特待生であれば、主に学校行事などへの参加が義務付けられているのは最初の一年のみで、それ以降は自由に学ぶ事が出来る。
九月もしくは二月にある試験のどちらかに合格さえすれば進級出来るので、それ以外の時間は好きな事に使う事が出来るそうだ。普通に授業を受けてもいいし、何かの研究をしてもいいし、はたまた学外での活動に興じたっていい。そういう立場にあるそうだ。
ちなみに、師匠は魔術学校に通った事は無いそうだ。
あれだけ魔術が得意なのだから卒業生でもおかしくなさそうだが、師匠の魔術は恐ろしい事に全て独学らしい。
学長にならないかと誘われた事もあるが、断ったという。
まあ、師匠の話はともかく。
「「それでは、行ってきます!」」
「うむ。行ってらっしゃい」
僕とリアは同時に頭を下げて、馬車に乗った。
緊張するが、事前に行った模擬試験では問題無かった。
きっと合格するだろう。
かくして僕達は、帝立魔術学校の入学試験に向かった。
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