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46.伝達

 エルナトが出て行ってすぐ、迷宮に潜るのは当面禁止という指令が出された。

 冒険者達は不満たらたらの様子だったが、ギルドに逆らう訳にもいかず、ギルド食堂は混み合っている。

 僕とルプスは混み合う前から席を確保していたので、特に問題は無い。絡んでくる冒険者も居ない様だった。


 暇だなぁと思いつつ、ルプスを撫でてエルナトの帰りを待っていると、しばらくしてエルナトが三人の男女と一緒にギルド食堂に入って来た。


「お帰り~」


「ただいま。あ、ありがとう」


 エルナトが帰って来たのを見計らって食事を出しておいたので、エルナトが空腹を訴える事は無い筈だ。


 エルナトは食事に手を付けながら、呼ばれた理由などを話し始めた。


「アグマ・ネタルって知ってる?」


「あ~……なんか本で読んだ事があるような?」


 屋敷にあった本のどれかに、そんな名前が書かれていたような気はする。


「まあ、とんでもなく強い魔物らしいんだけど……それが今、ボス部屋を抜け出して上ってきてるらしいわよ」


「え……という事は、エルナトが呼ばれた理由って……?」


「うん。それの討伐だって。他にも、Cランクのパーティーが三組呼ばれてたわ。マスターも一緒に戦うみたい」


 「とんでもなく強い」とか言われたから少し怯えてしまったけど、まあ他にもそんなに人が居るなら大丈夫かな?


「で、さっきそれに関する話し合いをしてきたのよ。帝都から援軍が来るまでに三日ぐらいかかるから、その間私達が足止めをするらしいわ」


「援軍……三日……」


 ……意外と重大な話なのかもしれない。


 師匠を呼んだ方が良いのかな?でも、師匠に頼るなって言われたしなぁ……それに、ここから直接転移するのには魔力が足りないし……うーん……。


 まあ、ギルドマスターが立案してる話だし、大丈夫か。


「それで、計十五人を三班に分ける。一班の班長がギルドマスターのサールデさん、二班の班長が『清き乙女』のリーダーのアメリアさん、三班の班長があんた」


「――え、僕!?」


 ほうほう、と頷きながら聞いていたところに、突然自分の名前が出されて困惑した。

 ギルドマスター、Cランクパーティーのリーダーときて、なんで僕なんだ……。


「マスター直々の指名だから、仕方無いわよ」


「ええ……まあ、分かったけど……」


「で、これが四パーティー分の名簿と、各班の班編成よ。読んでおきなさい」


「うん……」


 エルナトはそう言うと、懐から六枚の紙を取り出した。

 さっきの話し合いの最中に書いた物なのだろうか?


 そこには、各パーティーのメンバーごとのクラスや、班編成が記されていた。僕の班は、弓士のロマーンさん、戦士のサミナさん、魔剣士のファイスさん、暗殺者のセーアさん、と書かれている。

 魔剣士というのは魔剣を使う剣士では無く、魔術を扱える剣士の事を言うそうだ。実際、パーティー名簿の方には、ファイスさんは闇魔術を使えると書かれている。


 順当に行くなら、サミナさんを最前衛でタンク、ファイスさんを前衛でアタッカー、セーアさんは自由に動いてもらって遊撃、ロマーンさんと僕で後衛から援護、だろうか。

 サミナさんと僕がDランクだけど、まあそこはファイスさんとロマーンさんがカバーしてくれるだろう。それに、結界もあるから、防御面は心配無さそうだ。


「ていうか、回復系の魔術師が一人も居ないのか……厳しいね」


「ん、言われてみればそうね……まあ、大丈夫じゃない?」


 回復系の魔術は、水、光、神聖の三種だ。

 その中でも水は止血ぐらいしか出来ないので、あまり回復とは呼べないが……。師匠ぐらいになると、失った血を回復させる事も出来るらしいけど、そんなのは稀だろう。暇潰しに開いた水の魔術書にも、そんな魔術は載っていなかった。


 神聖魔術は神官か巫女しか扱えないので、基本的に冒険者にはあまり多くない。たまに居るという話だが、神官や巫女は冒険者稼業などしなくても神殿で稼ぐ事が出来るので、滅多に居ないのは当然の事だ。


 そして光魔術は、軍に引き抜かれるケースが多いらしい。

 実際、宮廷魔術師の人達は光がそこそこ居たし、師団員の人も光属性が多かった。


「まあ、なるべく怪我をしない方針で行くのが良いのかなぁ……」


 サミナさんが怪我をしそうになったら結界を張れるように、僕は中衛ぐらいの位置に居るのがいいかもしれない。

 まだそんなに遠くから結界は張れないし……。


 そんな風に作戦を考えている間に、隣に座っていたエルナトは食事を終えて立ち上がった。


「このあと顔合わせをするらしいから、行きましょ」


「あ、分かった」


 僕は机の上に広げていた紙を異空間収納に仕舞うと、ルプスを連れて歩くエルナトを追い掛けた。

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