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43.上へ上へ

「一大事です!マスター!」


 受付嬢の一人が、俺――サールデの執務室に、ノックも無しに入り込んで来た。


「報告は分かりやすく伝わる様に端的に!いつも言っているだろう!」


「は、はいっ!第十二階層に挑んでいたBランクパーティー『さざめきの並木』が、ボスであるアグマ・ネタルに敗北、その後アグマ・ネタルがボス部屋を脱走し、現在第九階層まで上ってきています!」


「そりゃ本当に一大事だな……」


 肥大化する巨人。

 アグマ・ネタルの二つ名が、それだ。


 アグマ・ネタルは、捕食した生物の力を取り込む能力を持っている。それは動物も、魔物も、人も。

 そして、食べれば食べる程大きくなる。強力な生物を食べれば、その分大きくなる。それが、肥大化する巨人と呼ばれる所以。


 もっとも、何も捕食していない、初期状態のアグマ・ネタルはそれ程脅威ではない。

 実際、これまでも何度か討伐されている記録はある。


 だが、幾度も捕食を重ねたアグマ・ネタルは、一国を滅ぼしうる力を得る。

 過去には、帝国と王国の北にあった巨大国家を滅ぼした事さえある。今そこで起こっている大規模な紛争は、それが原因でもある。


 それはともかく。


「アイツらが負けたって事は、光魔術も強化魔術も会得していると考えた方が良い訳か……」


 強化魔術。

 それは、一定以上の強者はほぼ必ず会得している魔術だ。

 十属性の様に、才能が必要という訳では無い。しかし、習得には恐ろしい努力が必要となる。


 強化魔術は、全身に魔力を巡らせ、身体能力を向上させる魔術だ。

 更にこれに慣れてくると、体の一部や己の武器に魔力を集中させ、その部分だけを強化する事も出来る。


 魔物は普段、素の身体能力で人間を大いに上回る力を発揮している。

 それが強化魔術を扱うと、それはもう手に負えなくなってしまう。それが、過去に国家を滅ぼせた理由でもある。

 並の攻撃は、全て弾かれてしまう。


「イェヘラに居るBランクはアイツらだけだったか……チッ、Cランクで我慢するしかねえか……。おい!今居るCランクパーティーは何組だ!?」


 俺が思考をしている間、ずっと扉の傍で立ち尽くしていた受付嬢に、質問を投げ掛ける。


「『ハンサムズ』『闇の力』『清き乙女』の三組です!」


「三組か……足りねえな。在籍期間欠如でランクアップ待ちのDランクパーティーは居るか?」


「えと……」


 続いての質問には、手元の資料を確認し始めた。


 流石にそんな将来有望株は居ないと思うが、もし居れば、かなりの戦力になるが、果たして――。


「一組!『空狼』が居ます!」


「まじか、そりゃ良い……!よし、その四組のリーダーをすぐにここに呼べ!作戦会議だ!」


「分かりました!」


「それと、迷宮には当分進入禁止!広場に居る奴らは全員地上に戻せ!」


「はいっ!」


 手短に指示を伝えると、受付嬢は元気の良い返事と共に部屋を走り去る。


「さて……」


 俺は椅子から立ち上がると、部屋の壁に掛けられた魔剣を手に取る。


「久々の戦いだぜ、相棒」


 俺とて、ギルドマスターになる前はBランクの冒険者だった。

 相棒の魔剣は、炎を纏う力を持っている。魔剣としてはシンプル極まりない能力だが、シンプルゆえに強力だ。これまで何度もその力に助けられてきた。


「……やってやろうぜ」


 魔剣を柄から少し抜き、その刀身に語り掛ける。


 愛剣は、一瞬赤い炎の輝きを見せてくれた。頼もしい限りだ。


「よし」


 愛剣を腰に差すと、俺は椅子に戻る。


 さあ、巨人殺しと行こうじゃないか。

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