表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/64

19.帝都、模擬戦

 アルティーノ達が王国を出てから、およそ二日後。

 一行は、何の問題も無く帝都に辿り着いた。


 帝都に入る際に検問はあったが、ギーアロスが居るお陰か、大した時間は取られずに帝都入りする事が出来た。


「「おぉ~……」」


 帝都の熱気を見て、アルティーノとオフィーリアは感嘆の息を漏らした。

 明らかに人の数が多い。


「……こりゃすげぇな」


 クルレディアも、人の数を見て思わず呟いた。

 村と比べてもロルドと比べても、明らかに大規模だ。


「このまま帝城に直行するぞ」


 今にも馬車を降りて城下町に繰り出しそうなアルティーノ達を見て、ギーアロスは釘を刺した。


「……はぁーい」


 オフィーリアだけが、残念そうに窓を見詰めて返事をした。







 そのまましばらく走り、城の門前で馬車は止まった。


「行くぞ」


 馬車が止まってすぐ、ギーアロスは扉を開いて外に出た。

 それにアルティーノ達も続く。


 ギーアロスはそのままスタスタと門に向かって歩いて行き、門衛に身分証を見せた。


「ふむ、問題ありませんね。どうぞ」


「後ろの奴らは俺の連れだ。あのガキは例のだ」


「分かりました。後ろの方々も、どうぞ」


 貴族の身分証が効いたのか、はたまた事前に話を通されていたのか知らないが、とにかくアルティーノ達の通行も許可された。

 ギーアロス以外の三人は、門衛に頭を下げつつ城内に入る。


「さて。これから、アルティーノの未来の所属先を仮に決める為の試験を行う。こっちの第二訓練場で行う」


 第二訓練場は、宮廷魔術師団が演習を行う為の施設である。

 当然、ギーアロスはそんな説明はしないが……。


 ギーアロスは複雑な城内を、迷う様子も無くスタスタ歩いて行く。

 アルティーノ達は迷子にならない様、必死にギーアロスに付いて行きつつ、すれ違う人々に会釈をしていった。騎士や貴族はそれを見て気分を良くし、使用人達は微笑まし気にアルティーノとオフィーリアを見ていた。



 数分歩くと、目的の第二訓練場に辿り着いた。


「さあ、ここでお前の戦闘力がどのくらいのもんか見せてもらう。ある程度戦えるのであれば、仮所属先は宮廷魔術師団もしくは異能部隊、戦えないのであれば補給部隊に入ってもらう」


「補給部隊……?戦えなかったら、文官になるって話じゃ……?」


「いや、お前さんの場合は特例だ。ま、詳しい話は後で訊け。とにかく、今からお前には、宮廷魔術師の一人と模擬戦をしてもらう」


「……分かりました」


 ギーアロスが質問を受け付けないのはいつもの事なので、アルティーノは溜め息を飲み込んで頷いた。


 ギーアロスに背中を押され、アルティーノは訓練場の中央に躍り出る。

 訓練場の二階席には、宮廷魔術師団の団員と思しき人々が詰め掛けている。


「審判は俺がやろう」


 ギーアロスが審判までやってくれるらしく、向かい合うアルティーノと宮廷魔術師に近付いてきた。


「ん゛ん゛……では、これより闇魔術師サーズン対、えー……異能持ちアルティーノの模擬戦を始める」


 その言葉に合わせて、闇魔術師サーズンは杖を構えた。それなりに大きな杖だ。

 アルティーノも、普段使いの拳銃を召喚して構える。

 アルティーノの拳銃を見て、「「「「「おぉ……?」」」」」という訝し気な声が上がった。


「……試合、開始!」


 ギーアロスが開始を宣言するなり、サーズンは構えた杖から、黒い何かを生成し始める。


「ッ!」


 しかしアルティーノはそれに先んじて、拳銃の引き金を引いた。

 パン、パンと二連射。


 攻撃魔術の生成途中だったサーズンは、高速で迫り来る弾丸に対応出来ず、一発目を左腕に、二発目を脇腹に被弾した。


 アルティーノは、チラリ、とギーアロスを見る。


(終了宣言はしなさそう……宮廷魔術師団だし、治癒魔術も使えるから、って事かな?)


「――うおわっ!?」


 その行動を隙と見たか、サーズンは闇魔術で矢の様な物を放ってきた。

 慌ててアルティーノは飛び退き、その矢を避ける。



「反応速度も中々だな……」


「あの武器は何だ?見た事が無いが……」


「しかし、あの歳でもう二発も入れるとは、中々やるな」


 観客たる宮廷魔術師達は、好き放題に感想を述べ合っている。



 その最中にも、戦闘は続く。


「ッ!!」


 アルティーノが連射した弾丸を、サーズンは闇魔術にて飲み込んで防ぐ。


(防御の魔術か……ただ闇雲に撃つだけじゃ、押し切れ無さそう)


 アルティーノは胸中で少しずつ焦っていた。

 一応、弾丸は懐に入っているが、リロードの隙は致命的。マガジンの中の弾は残り少ない。


 対するサーズンも、それなりに焦っている。


(この攻撃は何だ?魔術なら吸収して反撃に用いれるのに、防ぐ事しか出来ない……)


 サーズンの使っている闇魔術、吸収盾(アブソーブシールド)は、敵の攻撃を吸収する防御魔術だ。その攻撃が魔術であれば、それを魔力に変換して攻撃に転用する事も出来る。

 しかし、アルティーノの放つ弾丸は、魔術では無いただの金属。当然、金属を魔力に変換出来る訳が無い。


 サーズンが攻撃魔術を放とうにも、その隙に弾丸が飛んでくるのは、最初の攻防で分かり切っている。

 サーズンが魔術を放つ準備をする間に、アルティーノは一瞬で引き金を引けるのだから。


(魔術なら魔力切れが見込めるが、この攻撃にはそんな概念はあるのか……?)


 現在、アルティーノは弾切れを懸念して、サーズンが攻撃魔術を使えないギリギリのテンポで連射している。

 マガジンの最大弾数は32発。残り8発。


 その後数分もせず弾切れになるのは、明らかだった。



 カチッ、という空撃ちの音が、訓練場に響き渡った。


「まずッ……!」


 慌てて弾倉を抜き、リロードを始めるアルティーノ。

 村に居た頃にそれなりに練習したが、実戦でのリロードは初めて。焦って手元が覚束無くなるのは自明。


 サーズンは弾丸の猛撃が止んだのを察し、リロード中のアルティーノに向けて、闇の槍を放つ。


「わっ……!?」


 リロードに夢中だったアルティーノは闇の槍に気付くのが遅れ、焦って避けようとしたものの、脇腹を貫かれた。


「うぐっ……」


 こんなに大きな傷を負うのは初めてのアルティーノ。

 そこそこ慣れているサーズンは同じ様な傷でも普通に動けるが、アルティーノは痛みに呻き、拳銃を落としてしまった。


 カラカラン、と乾いた音が響く。


 武器を手放してしまったアルティーノに向けて、次撃の闇の矢が放たれた。


「――ッ!」


「そこまで!!」


 闇の矢がアルティーノの眼前まで迫ったところで、ギーアロスが終了宣言をした。

 その瞬間、フッとサーズンの放った矢が霧散する。


「この試合、闇魔術師サーズンの勝利とする!」


 うおおおおおおお、と大歓声が上がった。

 その後すぐさま、魔術師が二人近付いて来て、それぞれアルティーノとサーズンの治療を行った。


「……凄い、痛みが引いていく……」


「ふふ、凄いでしょ?」


 アルティーノが治癒魔術に感心していると、治療に携わった女性の魔術師はドヤ顔で帰って行った。


「ふぅ……」


 ともかく模擬戦は終了し、これからアルティーノの仮の所属が決まる。

 アルティーノは胸をドキドキさせながら、その時を待った。

 少しでも面白いな、と思って頂けたら、感想・評価・ブックマーク等して下さると非常に嬉しいです!今後の活動のモチベーションになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓こちらの作品もどうぞ!↓
対極の二人が交わるまで
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ