閑話2.報告書
一日四話投稿はこれにて終了です。
一方その頃。
アルティーノ達と別れた後、ギーアロスは町の片隅に来ていた。
とある建物の前で立ち止まり、扉をノックする。
「……解放せよ」
「……悪魔の力を」
「入れ」
合言葉を言って、中に入る。
「チッ……」
ギーアロスは舌打ちしつつ、奥の方へと向かう。
(悪魔の力とか言いやがって……。これは俺らの力だっつーの……チッ)
心の中で愚痴りながら、ギーアロスは一つの部屋に入った。
「……ギーか」
「よう」
部屋の中には、茶髪の男性。
彼は、帝国からの偵察兵の一人である、ヨロンスだ。
この建物は、帝国軍人が諜報活動に利用する建物なのだ。
ヨロンスは、机に向かって何か書き物をしている。
ギーアロスはヨロンスの隣に座り、紙と羽ペンを取って、同じく書き物を始める。
「ん?また異能持ちを見つけたのか?」
「ああ、そんなところだ」
ヨロンスは自身の書き物が終わったのか、顔を上げると隣のギーアロスに話し掛けた。
「ほう、まだ少年なのか」
「そうだ。多分、まだ異能が発現したばかりだろうな」
「よく見つけてこられたな……ああ、例のアレでか」
例のアレ、とはメローナの異能である。
かなり優秀な異能故帝国は欲していたのだが、本人のトラウマにより、不可能と判断された為、現在はギーアロスの活動にしか運用出来ていない。
ギーアロスはヨロンスが時折入れてくる茶々に適当に返しつつ、書き物を進めていく。
「ほぉ、アツアツの飯が出せる……。ん!?ちょっと待て、これ大分使えないか!?」
「当たり前だ。軍事活動でかなり有用だろ」
「こりゃ、未来予測と同じくらい欲しいヤツだぞ……!おい、引き入れられそうなのか!?」
「まあ、条件は付けられたが、軽いもんだ」
興奮して鼻息が荒くなるヨロンスを押しのけながら、ギーアロスは説明する。
「コイツの知り合いを二人、帝国に連れて行きたいんだと。だから、この報告書を書き終えたら、その手続きもしなきゃならん。……ったく、面倒事を増やしやがって……」
「なるほど。それなら、そっちの方は俺がやろう」
「そうか、助かる」
ヨロンスの協力を勝ち取ったギーアロスは、さっさと報告書を書き進めていく。
(いつでもどこでも、保存状態が完璧な飯が出せるっつーのは、かなり強力だ……戦闘用じゃあ無いかもしれんが、軍事活動に連れて行きたい人材である事は間違い無い)
アルティーノの異能があれば、補給という概念は要らなくなる。
何故なら、アルティーノさえ無事であれば、好きなだけ食料を確保出来るのだから。
(それに、アイツの様子からして、上限がある訳じゃなさそうだったしな……)
もし本当に無限に出せるのであれば、彼一人で軍を賄う事が出来るのだ。
補給部隊の仕事は無くなってしまう。
(……ま、その辺はアイツ次第か)
ギーアロスは一つ溜め息を吐き、書き終えた報告書を見直す。
問題無い事を確認すると、隣に座るヨロンスにそれを押し付けた。
「これ、頼む」
「おう、任された」
丁度同じ様なタイミングで書き物を終えたヨロンスが部屋を出て行くのを見送り、ギーアロスは椅子の上で瞑目する。
すぐに保護会の拠点に戻っても良いのだが、ギーアロスは騒がしいのは好まないので、ここで時間を潰す事を選んだ。
(異能を溜める時間も必要だしな)
ギーアロスは心の中で呟き、瞑目を続けた。
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