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前置き

初めまして。私の名前はオスカー・ヘイズ。


現在、GIA本部で記録官として勤務している。




GIA――正式にはグローバル・インシデント・アライアンス。


世界中のあらゆる異常事態、常識の枠を超えた出来事を調査し、その記録を未来へと残すための機関だ。


私の仕事は、その一つひとつを“記録”として整理し、保存することにある。




今回、ここに記すのは、私の経歴の中でも特別な一件だ。


それは、正式な記録として残すことができなかった事件である。




ある都市で起きた、連続殺人。


被害者は確かに存在した。死も、痛みも、残酷な犯意もあった。


だが、その都市の人々は、誰一人として“死”を記憶していなかった。


まるで、その死は最初から“なかったこと”として扱われていたかのように。




証言も、記憶も、痕跡も、次第に霧の中に消えていく。


私は記録官としてそこに立ち会いながら、記録という行為そのものの意味を見失いかけていた。




これは、私自身の手で残す、ただ一つの記録。


本部には存在しない。どの保管庫にも収められていない。


私の中にだけ、確かに残り続けている“あの事件”の記録だ。




ページをめくる準備ができたなら、始めよう。


誰の記憶にも残らなかった出来事について、今から語ろう。




アイオス暦1583年4月12日 オスカー・ヘイズ



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