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元カノと一緒に異世界転移した。僕は奴隷に、元カノは女王様になった  作者: パミーン


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第4話 side金山恭子

第4話です。

恭子視点のお話になります。

Side:金山恭子


 今日は宣誓式、その後に凱旋パレードが行われる。もし彼が生きていて、このパレードを見てくれていたらどう思うのだろう?


 彼はきっとこの王都にいるはず。だって奴隷は王族や貴族の遊び道具として飼われることが多かったから。この約3年間、そういう勢力と戦いながら彼を探してきた。だけど一向に見つからなかった。


 でも大丈夫。私は今日ここで宣誓をする。そして王命を出す。そうすれば絶対に見つかる。数%しかない可能性。それは絶対だと信じて生きてきた。そうしないと私は私でいられなかった。


 それだけ私は光流君への想いでいっぱいだった。毎年くる誕生日は誰にも言ったことはない。知っているのは光流君だけ。祝福は彼だけにしてもらいたい。そうやって三度迎えた誕生日に彼はいなかった。今年は節目の20歳。もう彼はとっくに誕生日を迎えているから20歳を祝ってあげることもできない。


「女王様、宣誓の時が参りました。よろしくお願いします」


 静かに女官がそう言った。私はテラスに顔を出す。そこには奥の方まで人がいっぱいだった。隙間さえないくらいに犇めき合っている。


 私が顔を出したのが分かったのか凄い歓声だ。


「今、ここにストレニス王国の女王として皆様の幸せをお約束することを誓います。どうかこれからも私に力を貸してください。この国を立ち直らせましょう!」


 この日一番の歓声だったと思う。それだけこの国の人々は私に期待している。だけどこれだけは絶対に言わないといけない。


「今、こうして私がここにいられるのは私がこの世界に召喚された日、私のことを命を賭して守ってくれた人がいたからです。その者の名はオオサキミツル。この者を見つけてください。もし生きていれば奴隷として生きているはずです。彼にお礼をしてあげたいのです。これは王命ということでどうかよろしくお願いします」


 一瞬静かになった。あれ?私変なことは言ってないよね?


「そんなすごい人がいたのか!よし探し出すぞぉぉぉぉぉ!」


 誰かそう叫ぶと皆が「うぉぉぉぉぉ!」と唸った。どうやら分かってくれたみたい。





「女王様、お疲れ様でした。パレードでのお姿、お見事でした!」


 私の世話をしてくれている侍女が褒めてくれた。でもあの時の私は「お見事!」なんて言われるような状態ではなかった。もしかしたらこのパレードに光流君がいるかもしれない。必死に血眼になって探していたんだから。


「そ、そう。ちゃんと女王としていられたのだったらそれは良かったわ」


 一瞬、何かに吸い込まれるような瞬間があった。でもそこにいたのはマンガに出てくる「ザ・勇者」みたいな格好の男とそれに付き従っているであろう白髪の青年だった。


 光流君?と思ったけど光流君は白髪ではなかったから多分違うと思う。もちろんだけど「ザ・勇者」の方も光流君ではなく、何か嫌な感じの男だった。


「それで女王様、早速なのですが隣国の王様達が……、って女王様聞いておられますか?」


「え?ああ、ごめんなさい。ちょっと今日のパレードで疲れがあるみたい。もう一度最初からお願いしてもいいい?」


 危ない危ない……。思考が完全に光流君のことで支配されている。早く見つけて奴隷から解放してあげないと。


 私の能力は幸いなことに奴隷の身分を解放する力を持っている。奴隷の身分を解放するには直接会わないといけない。だから光流君が奴隷になっているのであれば絶対に会うことになる。というわけでいつか来るその時まではしっかり女王をしないとね。


「大丈夫ですか!?ご無理なさらず明日からにしても大丈夫ですよ!」


「いえ、大丈夫です。このまま話を続けてください、宰相」


「分かりました。でもご無理はなさらずに。隣国の王様達が謁見を望んでおられるようです。お会いになられますか?」


「もちろんです。これからは国の立て直しだけではなく、対外諸国とも連携を取らないといけません。それに外に目を見張っていないと今の状況では攻め込まれたら終わりです。それだけ我が国は後れをとっているのです」


「分かりました。では近日中にこちらに参られるよう伝えておきます」





「ま、まさかそんなことが世界で起こっていたとは思ってもいなかったです……」


「ええ、私達は完全に井の中の蛙だったようですね」


 隣国の王達との会談は信じられないものだった。私達は必死でこのストレニス王国のために動いていたのが実は自分達のことしか見ていなかった、いつかの私のようだった。いや、今もか……。情けない!


 魔王が復活していた。これは私達には分からないことだった。私達の国は幸いにも魔王の被害を受けていなかったこともあり、そして目が国内の利権争いに向いていたから気づくこともなかった。


 しかも、もう魔王は倒されていて、それがちょうど私がこの国を解放した日でもあった。タイミングがずれていれば気がついたかもしれない。でも偶然にしてはできすぎじゃない?正直にそう思った。何かの力が働いているのかしら?と思うほどに。


 それと光流君の情報があれよあれよという間に入ってきた。一番大きい情報だったのはフーラの村でかつて女王様に振られた男がいたというありもしない噂という話で出回っていた。それ……、どう考えたって光流君じゃない!


「女王様に振られたってあり得ないですよね!はははっ!」


「え、ええ……。そ、そうね……」


 宰相から言われて捻り出た言葉が嘘でしかなかった自分が情けない!


「どうやら最近フーラにその男がまた現れたみたいですよ!どうやら南方へ向かっているとのこ——」


「すぐに探して見つけてください!これは王命です!直ちに!」


「は、はい!かしこまりました!」


 どうしてだろう?私が外に目を向け始めた途端に光流君の情報が入ってくるなんて……。私ってよっぽど内にしか目が向いていなかったんだなって本当に愚かね。


「それに面白いですよね。ちょうどその頃に勇者様と賢者様が現れたらしいですよ!」


 勇者……。はっ!まさか……。そんな……、そんなはずないよね!私はあの時の凱旋パレードで一瞬吸い込まれそうになった瞬間を思い出した。あの時いた「ザ・勇者」の男と白髪の青年。あの白髪がまさか……。そうだったとしたら……、まさに運命の再会じゃない!


「きゃーーーーーーーっ!」


 しまった、私としたことが。思わず黄色い声が出ちゃった、てへ。なんて言ってる場合じゃない!光流君が賢者!?


 私は気が気でないままに2週間を過ごした。ちゃんと女王として働けたかしら?だめだ……。全然うまくいかない!


「大変です。先ほどミツルと名乗る青年と接触できたみたいなのですが、勇者特権で王命が無効とされてしまいました!」


「何ですって!」


 勇者特権!?聞いたことないわよ!私の王命よりも上だなんて!ていうかやっぱり……。


「光流君が賢者様だったということですね」


「え?確かに……。勇者と一緒にいたってことは……っ!あの少年がまさか生きていたなんて!」


 あ、言い忘れていたけど、宰相はあの時私を連れて逃げ出した魔法使いね。ここまで私と一緒になって頑張ってきたのよ。


「やばい!自分めちゃくちゃ鳥肌立ってます!女王様の信じていたこと数%が、数%がー!」


 宰相も語彙力を失い、私も語彙力を失った。そしてしばらくして私は勇者特権について知った。勇者特権……。これは勇者という選ばれた存在のみが使える特殊な特権らしい。これがある限りはどの国よりも勇者が権限を持っていて逆らうことができない。


「いいでしょう!受けて立ちます勇者様!宰相!世界会議を開きますよ!」

お読みいただきありがとうございました。

次話で話自体は完結となります。

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