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ゆるふわな感じで進行します。


足を運んで頂き、ありがとうございます!


いいね、ブックマークをして頂いた皆様、ありがとうございます。



 アリーシャが出席するパーティーの為に、リュダールが迎えに来たと知らせを受けた。

 私には関係のない事だけど、妹がお世話になるのだからお礼は言っておきたい。



「アリーシャ、よく似合ってる」

「ありがとう、お義兄様!!」



 ニコニコと笑い合う二人をずっと見続けて来た。同じ空間に私がいる事を彼らは知らずに、楽しげに会話をし、笑い合う。遠目から見た彼らは、美男美女でお似合いで。私が入る隙間はない、まるで最初からいなかったみたいに。



「私が消えれば満足するのかしら」



 蓄積された不満がじわじわと煮えていくように、存在を主張する。信じたい気持ちと、疑う気持ちの一騎打ちはもうずっと終戦しないまま。



「アリーシャは美人だから、男が群がりそうで怖いな」

「やだ!お義兄様ったら!」

「俺は役得だな。同僚に見せびらかしてやろう」

「もう!恥ずかしいわ!」



 アリーシャ()美人だから…か。悪かったわね、美人じゃなくて。同僚に見せびらかされるどころか、あまり会わせても貰ってないわ、私。彼の同僚、友人もほとんど知らない。いつも上手く誘導されて、話せないまま終わるのよ。でも、納得したわ、私だと自慢は出来ないものね。



「お嬢様…私、そこの銅像で殴りたいのですが」

「ぷっ…モニカったら…!死んじゃうわ」

「ギリギリを見極めます」

「どことの境界線なのよ?」



 廊下を歩きながらクスクスと笑ってしまう。すると声に気付いたのか、浮ついた会話は止まりリュダールが私の所に走って来た。



「ティアラ!!会いたかった!!」

「リュダール、ご機嫌よう」



 ぎゅう、と抱擁をされてもさっきの今じゃなんら嬉しくない。見事に私の自尊心を粉々にしてくれてありがとう。



「ティアラとパーティー行きたい」

「まぁ、私は参加の予定はないわ」

「ダンスしたい」

「また今度ね」



 甘えたように言うリュダールのどちら側が本心なのか。私は乾いた笑いしか出てこなかった。



「リュダール、アリーシャをお願いね」

「うん、任せとけよ。変な虫は寄せ付けない」

「ふふ…なら安心ね」

「その代わり、ティアラからご褒美が欲しい」

「そうね…考えておくわね」



 ぱっと明るくなる表情は、子供の頃から変わらない。素直で正直、それが彼だった。それがいつから崩れていたのか、私にはわからない。



「もう時間でしょ、気を付けて」

「ティアラともっと一緒にいたい」

「だめよ、ほら…アリーシャが拗ねるわよ」

「あぁ、それは面倒だな。じゃあ、行って来るよ」

「行ってらっしゃい」



 階下へ降りると案の定アリーシャがむくれていて、「遅れちゃうでしょ!」とリュダールに文句を言っていた。



「アリーシャ、行ってらっしゃい」

「お姉様、行って来ます!」



 手を振りリュダールの腕に手を添えるアリーシャを、見送る。リュダールも、振り返って手を振っている。

 見目麗しい銀髪のリュダール、美しい金髪の美少女なアリーシャ、寄り添う二人が唯一無二の対に見えて。


 あぁ、私は今…ちゃんと笑えているだろうか。



「…ほんと、お似合いね」



 ギリギリと締め付けられる胸の痛みにはまだ慣れない。

 でも、この痛みは私が彼をまだ想っているのだと教えてくれる。



 これが無くなったら。



 無くなってしまったなら。



 私は心から笑えるのだろうか。




「お嬢様、お手紙が来ております」

「ありがとう」



 手渡された手紙の封蝋を見て、思わず頬が緩んだ。

 待ち焦がれていた手紙だったから。


 新たな一歩を踏み出すための、招待状。



「お父様達にお話しなくては」



 私は、卒業資格を手に入れた。


ここまでお読み頂き、ありがとうございました。


次回をお楽しみに!!

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