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ゆるふわな感じで進行します。


足を運んで頂き、ありがとうございます!


いいね、ブックマークをして頂いた皆様、ありがとうございます。



「お姉様、このドレスどうかしら?」



 アリーシャが部屋に訪ねて来ると、新しいドレスを着てくるくると回っている。それはとても美しい空色のアリーシャに良く似合うドレスだった。

 学園が長期の休みに入り、家でアリーシャと顔を合わせる機会が増えていた。



「とても綺麗なドレスね、あなたに良く似合うわ」

「ありがとう!!私もすっごく気に入っているの!!」

「どこかのパーティーに出席するの?」

「そうなの、それで…お姉様にお願いがあって…」



 さっきまで無邪気にドレスを披露していた姿は鳴りを顰め、しゅんとした雰囲気になった妹にどうしたのかと私は尋ねる。



「その日、お父様が大事な仕事でいなくて。あの…お義兄様にパートナーをお願いしたいの…」

「…あら、そうなの?」

「うん…どうしてもそのパーティーに出たくて…お姉様、お願い!!お義兄様にお願いしても良い?」

「私の許可は必要ないんじゃないかしら?リュダールがいいと言えば、それで」

「本当!?お姉様ありがとう!!大好き!!」



 ぱぁ…と華が咲くようにアリーシャの表情が明るくなった。楽しそうで良かったわね、と思うのだ…私の半分は。でももう半分の私は、今更許可を取ったとして何だと言うのか?と捻くれた事を思う。散々密会をし続けておいて、お願いだなんて笑えるわね、と。



「私も大好きよ、アリーシャ」



 建前と本音を使い分けるのは、日々行われている事。それが愛しい婚約者でも、大切な妹でもある程度は仕方ない事だが。この人達に本音を全てぶちまける事があるのなら、彼らはどんな顔でそれを聞くのだろうか。



 そして、その後は今まで通りに過ごせるのだろうか。



「お義兄様に手紙を早速書くわ!」

「そうね」

「ありがとう、お姉様!」



 そう明るく言い残しアリーシャが部屋を出た後、侍女のモニカがお茶を淹れてくれた。いつからかお義兄様と彼を呼ぶようになったアリーシャは、二人きりの時にはどんな表情で彼を何と呼ぶのだろうか。



「お嬢様、落ち着くお茶です」

「ありがとう、モニカ」

「いえ…でも、宜しかったのですか?」

「何が?」

「リュダール様の事です…」



 モニカはぐっと拳を握り悔しげに顔を顰めている。私はあの誕生日パーティーの後、モニカにだけは全てを話し協力してもらっていた。優秀な侍女にかかれば、杜撰な逢瀬は全て私の耳に入る。その中の何件かをピックアップして実際に見ていた。



「一応、パートナーはすぐバレるからきちんと言いに来たみたいね。手紙なんか書かずともいつも会っているのにね」

「一体何を考えているのか…お二人とも…」

「さぁ…私にはわかりかねるわ」

「お嬢様がどれだけ心を痛めたか…私はあの二人を軽蔑します…」



 モニカの中で、彼らは忌むべき存在になってしまった。私が協力をお願いしたばかりに、二人のイメージが崩れてしまったのは、申し訳ないなと思う。



「神様はちゃんと見て下さってるわ。だから大丈夫よ」



 仕返し計画をそのうちモニカにも教えてあげよう、と思った。



「モニカ、私は少し勉強するわね」

「はい、お嬢様」



 静かに部屋を出ていくモニカを見送り、私は教科書を開けた。

 アリーシャがリュダールにうっかり話してしまわないように、卒業試験の進捗状況は言っていない。



「明日の試験を終えれば、いつでも卒業が出来る」



 私は卒業資格を得たら、リュダールとアリーシャに仕返しを仕掛けようと思っている。



 そこで二人の反応を見極め、今後の方針を決めるつもりだ。結果がどうなれど、これに関しては引くつもりはない。



 もし二人が本当に不貞関係なのであれば、彼らにとってはハッピーエンドなわけだ。

 恨まれる筋合いもない。



「是非とも納得出来る回答を得たいものだわ」



 ぼそりと呟いた声があまりにも低く、自分でも驚いてしまった。





「あー…疲れた…」



 んーっと伸びをすると、窓の外は夕暮れに染まっていた。一体何時間勉強していたのだろう。けど、物事が少しずつ動き出したからか気分はかなりスッキリしていた。



 もうすぐ。



 私の中で結論が出る。

ここまでお読み頂き、ありがとうございました。


次回をお楽しみに!!

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