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ゆるふわな感じで進行します。
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あれから半年があっという間に経ち、私は一人でブーリンを釣れるまでになった。リーン様と新たな竿の開発に勤しんでみたり、仕掛けを制作してみたり。意外な事にそれらは店頭に並べばすぐに姿を消す程の人気ぶりだ。
「ティアラ様、もう明日には王都に帰られるんですね。寂しいです」
「リーン様、私も寂しいですわ」
「それは…どういう意味合いかを聞いても…?」
「もう毎日のように釣りができなくなるなんて…」
「…ですよね」
リーン様ががっくりと肩を落とした。わかるわ、釣り仲間っていないと寂しいわよね!!!網を取ってくれる人がいるといないとじゃ違うもんね!!
「またお会いしましょう」
「こちらに来た際には商会に寄って下さいね」
「もちろん」
モニカがリーン様の肩をポンポンと叩いていた。あの二人も仲間意識が強そうだから寂しいだろうなと微笑ましく見ていると、漁師のおじさん達が採れたてのマッグロを一匹くれた。この半年で漁師のおじさん達ともかなり仲良くなった。
「ティアラちゃんまたおいでな!」
「今度はマッグロを釣ろうぜ!」
そんなみんなに別れを告げて、私は屋敷に帰って来た。そして、今までの事を懐かしく思い出す。
リュダールは予想通り護衛を外されたが、何故か熱血な第一騎士団の団長に気に入られたらしく毎日のように吐くまで鍛え上げられ、今では班長になったようだ。甘えを許さず、ストイックに鍛錬した結果が出たんだとお父様からの手紙に書いてあった。本人からは、そんな事は一切聞かされていない。ただ簡単な近況報告と、私の体調を心配する手紙だけが届く。もちろん会いに来る事はない。
「明日、久しぶりに会うのね」
日焼けはモニカの鉄壁ガードでしていないが、腕が若干筋肉質になったから恥ずかしいな。でも、ブーリンを上げる為には仕方なかったのよ、と言い訳をする。
「お父様も、お母様も、アリーシャも…元気かしら」
アリーシャはあれからお父様に殿下が除籍されるなら、自分も平民になると宣言をしたようだ。私にも凄く長い反省文が届いて、思わず笑ってしまった。そして、殿下は自分から陛下に除籍を願い出たとか。
今、殿下は城下町で老夫婦がしていた小さなアクセサリーショップを引き継いでいるらしい。何でも彫金が趣味だったようで、お忍びで街に出ては工場を借りて作業をしていたと言う事だ。アリーシャもそこで一緒に働きながら暮らしているとお母様から聞いた。二人は仲睦まじく、街でもおしどり夫婦で有名らしいがまだ届は出していない。彼らの持つ世界観は、どちらかというと平民向きなのかも知れない。それでも二人が幸せならばそれでいいとも思った。
「ブランシュ様は、全てお見通しだったのかしら…」
私は彼女がどこからこのシナリオを書いていたのかと思った。彼女は殿下を解放してあげようとしていたのかしら、と。
「だから、殿下の決心を促す為に批判と評価を…?」
だとしたらとんでもない策士だ。そして、実は情が深い人なのだろう。苦しんでいる殿下を見捨ててはいけなかったのだろうな、と思った。
「私なら全部放って行くかもしれないわ…」
とはいえ、みんなそれぞれに成長し、新たな生活をスタートさせている。シュバルツ侯爵家は後継が居なくなってしまった為に、私の子供に継がせようかな…とぽそりとお父様が呟いている。今からそんなプレッシャーをかけないで欲しいと言うのが正直な所だ。それでも、それを希望に両親が元気で居てくれるならそれはそれでいいかな、とも思う。
「ティアラ、少し良いかい?」
「あ、お祖母様、大丈夫です」
「明日帰るからさ、ちょっとお話をしようと思ってね」
お祖母様はこの半年間、領地で色んな経験をさせてくれた。騎士団に混じって訓練したり狩りに同行したり…それは毎日忙しいくらいに。そして、街の人達と交流する事で彼らの希望や困っている事などを知ることが出来た。ルダイン領でも活かしていこうと思う。
「帰ったらすぐに卒業式と記念パーティーだね」
「そうですね、それが終わればすぐ結婚式ですかね」
「早いねぇ、ティアラがリュダールと婚約解消だって言ってからもう半年か…」
「あっという間でしたね。人は、そんなに長くは怒れないんだなと知りました」
「アレを燃やした時が一番イキイキしてたね…」
こんな穏やかな生活も今日で終わり。お祖母様との話は暫く続き、寝るのは夜中になった。ゆっくり瞼を閉じれば色々と思い出す。私はそのまま眠ってしまった。
「お嬢様、リュダール様がお迎えに来られています」
モニカに起こされて飛び起きる。え!?早くない!?と内心焦りながら準備をして食堂に行くと前よりも逞しくなったリュダールがいた。
「ティアラ、誕生日おめでとう」
「あ、ありがとう…」
本当の誕生日は今日ではない。この半年の間にすでに迎えたが、会いに来る事を禁止していたので今日となったようだ。少しずれた誕生日につい笑ってしまう。
「これ、誕生日プレゼント」
「わぁ、ありがとう!何かしら?」
「開けてみて」
ぱかりと小さな箱を開けると、銀色の台座に座ったダイヤが一つある指輪があった。
「改めて、ティアラ…俺と結婚して下さい」
「ふふ…私を軽んじたら許さないから」
「絶対しない」
ふ、と笑ったリュダールが少しだけ大人になったように見えた。中身はまだクソガキだろうが、そこは私が調教していこうと思う。
未来への扉は開きかけてはすぐ閉じてしまう困りもの。それでも頭を二つ合わせれば乗り越えられると思いたい。
私達は今、そのスタートラインに立ったばかりだ。
終
ここまでお読み頂き、ありがとうございました。
次回をお楽しみに!!




