27 リュダール視点
ゆるふわな感じで進行します。
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「どういう事か説明しろ!」
目の前には怒り狂ったサイラス殿下。今までに見た事がないくらいに怒っている。俺は殿下の手紙やプレゼントを渡すためにアリーシャと密会していたが、それだけではなかったのだから言えるはずもない。
「ティアラに俺がアリーシャを好いていると思わせてしまったんです。隠れて会っていたので」
「どうして隠れるんだ?俺からとは言えずとも、他の男からの手紙を渡すだけなら堂々と出来ただろう?」
「…俺には違う目論見もあったんです」
「目論見?」
俺は、殿下に全てを打ち明けた。
「リュダール…お前…見かけによらずかなりヤバい奴だな…」
「そんな目で見るのは止めてもらえませんかね?」
「いやだって…お前…。けど、お前だけが俺の思いをわかってくれた。多分、他の人じゃ俺は未だに人形のままだ」
「わかったら深くつっこむのは止めて下さい」
「しかし…すまないな…俺のせいで…」
殿下はしゅんとして俯いてしまった。隠していたのも、自分が渡すよと言ったのも俺だ。気にする必要はまるでない。
「俺が浅はかだっただけですから」
「お前…明々後日から一ヶ月間休みだよな?ティアラ嬢の所に行くんだろ?」
「…まぁ…」
「俺も行くよ」
「は?何言ってるんですか、ダメですよ」
何を言い出すかと思えば。そんな事見逃せるか!!
ただでさえ今は不安定な時期なのに、これで狙われでもしたら…!
「いや、俺も行って一緒に謝るよ」
「いやいや、ダメですって」
「絶対に行く!!」
「ダメ!です!それに、ティアラが怒るとめちゃくちゃ怖いんで止めて下さい」
「え?ティアラ嬢が?まさか!」
そう、ティアラを知っている人はだいたいがそう思う。ティアラは、大人しくて儚げで優しいんだと。
でも、本来の彼女はそうじゃない。ハキハキと自分の意見を言い、さっぱりとしている。今、殿下が行ったら天使のような笑顔で何を言われるか…!!
「とにかく、俺一人で行きます。それに、恥も外聞も捨ててみっともなく縋る予定なんで見ないで下さい」
「みっともなく…縋る…君が!?」
唖然とした表情で殿下は言うが、ティアラと結婚出来るなら何でもする。靴を舐めろと言われたら舐めるし、裸で街を一周しろと言われたら周る。
リアのアクセサリーだって何点も送るし、その他全部…彼女の言う通りにする。
でも。
婚約解消だけは出来ない。
それをするくらいなら死んでやる。
「俺はね…ティアラが結婚してくれなかったら、死にますよ」
「は!?」
そんな世界、生きている意味がない。
「あいつがいないと、俺、ダメなんです」
「君に…そんな表情させるのは、彼女だけなんだな…」
「そうですよ、アリーシャなんかと疑われるなんてありえない」
「なんかって…俺、彼女に求婚してるんだけどね?」
「ティアラ以外は女じゃないんで」
うわぁ…という顔をして殿下が笑った。俺は、休みに入ったらティアラに会いに行く。殿下とアリーシャの婚約はまだ先になりそうだけど、俺は自分の気持ちを伝えに行くんだ。そして、ティアラの気持ちも全部聞いてそれぞれに真摯に謝りたい。
「とにかく…許してくれるまで帰って来ません…」
「…一ヶ月帰って来なきゃ俺が行ってやる。一緒に謝ろう」
「本当に止めて下さい」
そうして、俺は休暇の準備を始めた。
両親に頭を下げて、ティアラに会いに行ってくると言ったら父上に「盛大に捨てられろ、このクズが」と腹に一発重たい拳をもらった。
両親もティアラが大好きなのだ。実の息子以上に。腹に一発だけで済んだのに驚いた。
「…会ってくれたら奇跡かな…」
シュバルツ侯爵家の領地に向かう。ゆっくりと進む馬車がもどかしかった。
勝手知ったる港町だ。泊まる所をさっさと決めて、ティアラに会いに行きたいが先に会わなければならない人がいる。
シャリエ様に、先に挨拶に行かなければ。多分凄いお仕置きが待ってそうだけど、自分が悪いから全部受け止める。
「…着いた…」
馬車に揺られて四時間。漸く目的地に着いた俺はすぐに宿を決めてシャリエ様の屋敷に行った。門番にかなり嫌そうな顔をされながら、シャリエ様に繋いでもらった。
「こちらへどうぞ」
シャリエ様の護衛騎士であるアーノルドさんが応接室にすんなり通してくれる。俺はにこにこと笑っているアーノルドさんにどこか違和感を覚えた。
「失礼します…っ!?」
そして、その違和感は部屋に入る事で解消された。
「あらぁ、浮気野郎のリュダール君じゃなぁい」
「おやおや、そんな糞野郎は海に沈めてやらないとねぇ」
にっこりと笑うお義母さんと、シャリエ様に俺は全身の産毛が逆だったのだった。
ここまでお読み頂き、ありがとうございました。
次回をお楽しみに!!




