4 代償
財務担当者の提案には応じられない。国王陛下に相談だ。国王陛下は財務大臣を呼んで確認する。金額が違い過ぎる。明らかな職務命令違反だ。
4 代償
王子は別に守銭奴ではない。マリエが提供した技術が正当に評価されるならば問題ない。財務担当者が提示した金額が妥当な物かどうかだ。王子は国王陛下に相談した。国王陛下は財務大臣を呼んだ。財務大臣は、
「王子に技術を提供頂くのにそのような金額という事はありません。その50倍の金額を担当者に技術料としてお支払いするように申し伝えました。担当者が不正をしていたならば処分します。どうか技術提供をお願いします。」
マリエがいないのでその金額が妥当かどうか判らないが国王陛下を前に否は言えない。王子は、
「印刷技術に詳しい者を財務に派遣します。」
と答えた。財務の担当者は技術料を私物化しようとしたわけではないようだ。勝手に技術料が高過ぎると考え低い金額を設定したらしい。職務命令遵守に違反している。懲戒免職の上禁錮刑となった。
マリエは暫く財務に出向する事になった。木版印刷とガリ版印刷の技術を伝えるためだ。文具も用意した。木版印刷とガリ版印刷の材料や作り方、使い方、インクになる材料まで説明書に書いた。インクは、色々あるが取り敢えず暖炉の煤を使った。木版印刷は逆さ文字を削って残す必要があるので、ガリ版印刷の方が実用的である事、ガリ版を作るにはロウをいかに薄く伸ばすかが肝心か述べ、受講者全員がガリ版作りからガリ版印刷まで実際にやって貰った。複式簿記の書式の印刷が完成して足りなくなれば補充出来るようになった。活版印刷はまだ必要ないだろう。
産業や事業の事でも様々な提案をして色々実施した。上下水道の事業は大規模で画期的なものだ。マリエ自身良く出来たものだと思った。
特別授業と提案という王子の活動も一つの区切りを付けた。今後も提案は続けるにせよ2年間毎週続けた特別授業は終わりだ。今後王子は国政に携わる事になる。その目で実際の国政を見て判断しなければならない。マリエの助けを借りるにせよ。責任を持つのは王子自身だ。
王子の立場は国王代理だ。国王の権能の一部を担当する。具体的には国の北部の所管だ。北部の騎馬民族を討伐せよという責務ではない。むしろ穏便に平和を維持する事が最大の責務である。軍部と関係のいい王子こそが適任だ。王子はマリエと共に北部に旅立った。北部軍令本部が赴任先だ。現状軍部が北部を管轄している。戦争状態であった今までは致し方ない事だった。しかし戦争が収まった。今後他の地域と同じ扱いにしたいというのが国王の意向だ。同じ国の一部として同一の法律の元機能しなければならない。難しいのは承知だ。何時戦争が始まるかも知れない。相手は蛮族だ。こちらの道理は通じない。だけど戦争は拡大させたくない。防波堤の役割は果たす必要がある。落としどころを探すのが課題だ。
王子とマリエは着任した。北部軍令本部長との会談が始まる。既に王子とマリエは何度も話しあった。とにかく始めは様子を見る。無理はしない。押しつけはしない。出来るところからやっていく。北部軍令本部は味方だ。
王子の特別授業と提案は終わった。次は国政への関与だ。北部地域は今安定している。国の一部としての機能を担わせたい。




