10 波乱
国王の第ニ王子を皇太子にした事の批判が強まる。それに対して国王は過激に反応する。批判者の投獄あげくは処刑だ。
10 波乱
第一王子は北部で粛々と業務に勤しんでいる。現国王も特に第一王子を呼んだりしない。現国王は第一王子が王位に執着しないだろう考えた。事実第一王子は王位に執着しなかった。否を唱えたのは多くの貴族と第ニ王子自身だ。第ニ王子自身は皇太子に就任したが多くの貴族は自分が皇太子に就任する事を認めていない事を知って考えを変えた。国王に提言して自分の皇太子就任を撤回させて欲しいと言った。しかし国王は、
「一度国王が決定した事を撤回する事など出来ぬ。良く考えて口しろ。お前は私が決定した皇太子だ。如何なる者もこの決定を覆す事はできん。」
何が此処まで国王を頑なにさせたか容易に判る。第一王子が国王よりも優れていると貴族達がいう事と自分もそう思うからだ。性格の歪んだ国王はそれが許せない。第ニ王子の提言は国王の心に怪しい火を付けた。国王の決定に従えない者は処罰する事にした。
始めは正論で第ニ王子よりも第一王子こそが皇太子に相応しいと語った学者が投獄された。次に同じように語った貴族が投獄された。しだいに貴族の不満が高まる。遂に第ニ王子の皇太子への就任に異議を唱える貴族が処刑されるというショッキングな出来事が起こった。反国王派が出来てしまった。この報に流石にマリエも驚いた。第一王子に報告した。マリエは、
「国王は狂乱してみえます。このままでは国が維持出来ないかも知れないと思われます。第一王子が立つ事が必要かも知れません。」
事は慎重に進める必要があるが、第一王子が王位につかなければ収まらないだろう事は火を見るよりも明らかだ。第一王子は、
「穏便に済ませたい。国王陛下も愚かではない。単に皇太子就任の問題だけで行わわれた処刑ではないと思うぞ。もう少し様子をみよう。」
性急な行動は得てして失策を招く。
様子を見ていたら、事態は更に悪化した。反国王派の集会に近衛兵が突入して死傷者が出たのだ。
事はここに至ってもはや後戻り出来ない。第一王子は、
「私はここに国王に就任する。国王として命令する。偽りの国王を
捕縛せよ。」
多少の混乱はあったが元国王は北部軍令本部に連行されそこで投獄され処刑された。第ニ王子は廃嫡された。
第一王子は正式に国王となった。拠点も王都に移った。第ニ王子を支援していた貴族は貴族の身分を剥奪された。科挙制度を厳格にして科挙に合格していない貴族が高位の官僚になる余地を無くした。他に簡易な官僚試験を行い低位な官僚を採用して貴族の官僚への採用の余地を作った。官僚にならない貴族は身分と屋敷とあまり多くない手当てを出した。学者の道、教師の道、文化伝統を伝える担い手の道などを示した。実質的な貴族制度の廃止である。国王と官僚の政治が始まる。
国王の補佐はやはりマリエである。分身体がいるので北部軍令本部も渤海も問題ない。モンゴル帝国の軍勢が渤海に向かう気配は今のところない。国の制度や政治体制が揃っていく。科挙の合格者が政治を担う事を示して科挙の受検者が増えた。やがて来る未来が明るいものに思えた。
第一王子は立ち上がる。国王の宣言をする。国王を騙る偽国王の捕縛を命ずる。多少の混乱はあったが偽国王は捕縛された。




