第6件目 『 降魔ガ刻 』
※注意※この物語はフィクションです。実在の人物、団体、事象とは無関係です。
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あーわーあわ…
昔〜々の遠い未来
へーレーヘレ…
何処にて無きいま此地に
あーわーあわ…
何某も無き我が御霊
ヨーミーヨミ…
居るも居ざるも知らざる其もへ
えーおーえお…
今重ねての理を示さん━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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「━━━……あの、何してるんですか?それ。……スザリオさん…?」
「……………………………」
俺はユピテリアの街への目印にと倒した大木から太い枝を折って取り、さらに小枝を適当にちぎり落として棍棒みたいにしてから地面のあちこちにぶっ刺しまくっている。
意外に騒々しい深夜の森の虫の音と山鳥の鳴く静寂な騒がしさの中で、黙々と枝を落とし、握り具合を確かめ、9本10本と棍棒を作っては地面に突き刺してゆくのだ。こんな姿は側から見るとなんだかそういう芸術風景を作る匠みたいに見えるかもしれない。ある種の奇行に見えるだろう。
だが、今俺がやっている作業はゴブリンを殺すための準備だ。でも防護柵を作っているわけではないし、これは俺が使う武器でもない。まして魔術的な行為でもない。
そうしている内に20数本は乱雑に地面に刺しただろうか。適当だしあっという間だ。おかげで大木は樹冠を残してほとんど丸裸だし、緑豊かに植物の茂る地面からは裸の棍棒がニョキニョキ突き出ていておかしな光景になってしまった。
馬鹿げた景色だが、これでいい。ここは俺が決めた戦場だ。目印の倒木から離れるとまた迷っちゃうからな。ここで、俺のやり方でゴブリンを迎え撃つ。
そんな俺の近くでは、さっきから魔法少女はゴブリンを呼ぶ魔法だか魔術だかを施行?するとか言って何やらモサモサとやっているのだが、その最中にも俺の方をチラチラ見ていてなんだか集中できてない様子だ。しまいには呪文の詠唱みたいな唄を中断して「何してるんですか?」とか俺に聞いてきたから俺は無視してやった。
この地面に棒切れを植えてるみたいなバカげた光景が気になって仕方がないのだろうが、それは後のお楽しみだ。教えないっつうの。そう簡単に俺の兵法を教えないっつうの!
それはそうと、俺は前髪が寂しくなってちょっと不満だ。
何を隠そう、俺の前髪はあの魔法少女にバッサリ刈り取られてしまったのだ。魔術に使うから欲しいとか言ってあの娘が近づいてくるから俺が「う〜ん…」とか言ってるうちに手を伸ばしてきてあっさり切り取られた。小さいのに容赦のない娘だ。でも刃物なんて持ってなかったはずなのに、どうやって切ったんだろう。
「……だいぶ凝ってるな…」
俺はつい独り言が出た。凝ってるのは魔法少女の事である。
俺の方はもう準備完了みたいなもんなんだが、少女はまだ入念に方角を調べたりブツクサ呪文のような言葉を唱えたりとやっている。耳の良い俺には少女のぼそぼそした小声がしっかり聞こえるのだが、しかしその言葉の意味はというと半分も理解できない奇怪な未知の言語だった。
━━━━━〜今またここに白す言の葉、名も無きに名を授けんと溢し給う我人草の祝言拾い聞き賜わんと願い奉るものなりき
ネルネルネルネル…'ィイ◯■ぁ▲∵∞⊆¬ッ...∇∇*ィ〜〜
6つ閉じる黒い時代
ネルネルネルネル…'ィイ◯■ぁ▲∵∞⊆¬ッ...∇∇*ィ〜〜
四角の隅の1本が垂らす龍樹の甘露
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歩を止めた無敗のモラン
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砂漠の旅は3支族
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影になる命
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その血は潔い青
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気高き星より寄せ給う因果の滴にて
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月の杯傾けたもう
ネルネルネルネル…'ィイ◯■ぁ▲∵∞⊆¬ッ...∇∇*ィ〜〜
天地分かつ神の御子神8万柱が末の神、その末先の、名もなき神に御名を賜わん━━━━━
少女の小さな手から細やかな青白い花弁や粉っぽいキラキラした何かが撒かれていて、地面から伸びる1本のか細い幼木を美しく飾っている。
その根本には1匹の小さなリスが頬袋一杯に木の実を詰め込んだ状態で縮こまって動かずにいるのだが不自然である。たぶん魔法少女が金縛りでもかけてるんだろう。するとこれがある種の魔法を司る神へのお供えであろうことぐらいは俺にだって察しがついた。
音も聞こえる。ピューイピューイと少女が細く長い口笛を何度か吹いたり、コロッコロッと拍子をとるような一定の間隔で舌鼓を打っていたりする。どういうつもりか俺にはさっぱり分からんが、あれも魔法施工の作法ではあるのだろう。俺の前髪は何に使ったのか気になる。
どこから取り出したのか小さな弦楽器を抱えてポロポロ音色を奏でてしまうし、右に左にクネクネピョコピョコ跳ねて小躍りしたり、また小さな声で歌い始めて、…その歌詞の言葉もところどころ俺には聞き取れない言語で意味不明だった。
━━━━━ヨーイ、ヨーイ、懐かしいあの街
ゲルグワール、テンドロン、フッタバンクウェスモニー
若い人草、言いました「ジャスケッティ、なんて美しいんでしょう」
ヨーイ、ヨーイ、懐かしいあの川
ゲルグワール、テンドロン、フッタバンクウェスモニー
老いた人草、言いました「ンニャモネ、ツァラ、なんて美しいんでしょう」
ヨーイ、ヨーイ、懐かしいあの山
ゲルグワール、テンドロン、フッタバンクウェスモニー
¬ッ'ィイ◯■ぁ▲∵∞⊆¬ッ...∇∇*おィ〜〜¬ッ'ィイ◯■ぁ▲∵∞⊆¬ッ...∇∇*おィ〜〜
3つ数えるを3の間繰り返す
3つ数えるを3の間繰り返す
踵をつけて歩こう
10と3の間けして転んではいけない
終わりの日にはまだ早い
美味しいものを食べて嬉しくなろう
いい匂いを嗅いで気分良くなろう
そうしたら仲良くしよう
ヨーイ、ヨーイ、声が聞こえる。森を見にゆこう。友達は2人。心は3つ揃った。
ギューブ、スレイマー、コジョサッポリ〜━━━━━
意味わからん。何言ってんの?魔法少女の踊りや唄いを見ていると、俺は田舎にいたときのお祭りで小さな末の妹ヘイフラワーのお遊戯を見ていた記憶がふと蘇って懐かしい気持ちになった。いつも俺の膝にべったりしがみ付いてきて歩くのに邪魔で仕方がないほど可愛い妹だった。
それはともかく、本当にこの魔術の施工とやらはお遊戯みたいにしか俺には見えないのだ。
俺が今まで見てきた魔法使い達の魔法もいろいろな小道具を揃える下準備があった。
その作法にも作文から始まり節を付けて唄い上げる呪文はもちろん、手の形の手印や足の動きや歩法の反閇、全身の動きで表す体印などと奇妙な所作が様々にあったが、今俺の目の前で魔法少女が見せているのはそれらの複合のような複雑さがある。まるでちょっとした物語の寸劇にも見えてくるくらいなのだ。ゴブリンを呼び寄せる魔寄せの魔術というのはそんなに特殊なのだろうか。
━━━ゴブリンを呼びましょう
この魔術の前に少女が言ったそのセリフを俺は思い出している。
あのとき俺は「え?今から?」という感じだったがまあいい。まだ”魔物の安息日”なのにやっちゃうんだ?と意外だっただけだ。
日付が変わるまで待てば魔物が動き出して俺の目当てのゴブリンも勝手に出てくるだろうに、魔法少女はゴブリンを自らの魔法ですぐに呼び出すと言って自信満々の笑顔だったのだ。
”ゴブリンを魔寄せする魔術”
魔法だか魔術だか俺には区別がつかないが、ともかくその魔術を施行すれば、この安息日であってもゴブリンを呼び寄せることが出来るはずだと少女は言った。むしろ魔物が出て来ないこの安息日の時間帯ならばゴブリン以外の魔物が全然出てこないだろうから、より好都合だと。
それは確かに助かるのだ。ゴブリンと戦うときに足元でスライムや蛇蝎の魔獣といった小型の魔物を同時に相手どるのはやり難い。足捌きが活かせず困るからな。そういう訳で俺はひとつ彼女の魔寄せの魔術に任せてみることにした訳だ。俺の冒険を買うとか言った彼女の心意気も汲んでね。
ただ、彼女にも魔法学校の宿舎の門限があるとかで日付が変わる前に帰りたいんだとか言ってたからそれが本音の理由だろう。まあ好きにしてくれればいい。とにかく俺がゴブリンと戦うところを見たいんだとさ。変な子だ。金持ち魔法少女で学生さんで変な子。
━━━━━と、いつの間にか魔法少女が仕草を終えて佇んでいる。
「━━━お、……?」
「次の手順、魔法の言葉で最後です。よろしいですか?スザリオさん」
魔法の最終段階に入ったようで少女は俺に最後の確認を入れてきた。大きな目を縁取る長い睫毛を瞬かせて俺を見ているのだが、ひき結んだ口元の表情にやや緊張の色が伺える。もしかして俺を心配しているのだろうか。
今回ゴブリンを呼び出すにあたって魔法少女は俺に頭数の注文などを聞いてきた。そんな限定なんてできるのか俺は半信半疑といった気分だが、一応20匹程度と頼んである。
俺は今日ゴブリンを5匹も討てれば宿代飯代を稼げて十分ではある。だが、それは他の魔物と同時に戦える許容量ということで、ゴブリンばっかりくるならもっとやれるという自信があるからだ。それも事前に準備ができれば難なく遣れるだろう。
実家のある村にいた頃は仲間達とよく魔物狩りをして競ったもので、報酬もないのに村の家畜番をして魔物を待ち伏せ夜通しゴブリンなどを撲殺したものだ。あいつらゴブリンは野生の動物は襲わないくせに人間の家畜はしょっちゅう喰いにくるからな。
そういう訳で俺は初めて依頼をこなす冒険とはいえ今更不安ということはなかった。
「いつでもどーぞ?そっちは、大丈夫だよね?魔法使いさんだし…」
「私には襲ってきませんよ。そういう魔法施行にしてあります。万が一私が襲われても、大丈夫なように工夫しますから」
この小さな少女は動じた様子もなくスッと立って話しているのだが、その佇まいを見ていると紛れもなく少女なのでそれはそれで俺は彼女自体が不安な気はしてしまう。
これから戦うゴブリン達は数種類あるゴブリン種の中でも弱い部類の種族ではある。”漂流種”といって大陸中の山林を大群で常に何処かへ何処かへと移動している奴らで、腕力は他の魔物と比べると非力だし、魔法を使ってくる事はまず無くて、体も弱いから雑魚みたいなものではあるのだが、─────しかし基本的に魔物というのは舐めてはならないのだ。
人間の子供と同様の背格好の個体ばかりな漂流ゴブリン達だが、その”人間と似た形状をしている”というところが問題で、そういう魔物には人間にとってある種の厄介な側面が幾つもあるとされている。
それは奴らが人間の顔色というものを常に気にしており、その精神の動揺につけ込んでくるところがあるからで、それも怖気や不安といった感情を機敏に察して人間の弱点を見抜き猛烈に攻め立ててくるのだ。常に集団でいる奴らなので一斉にめちゃくちゃ暴力性が増して異様に狂気的な集団意識の熱狂を形成し益々人間を恐怖させる。そうすると付近のゴブリンもどんどん集まってきてしまい獲物の人間は囲まれて八方から攻められ窮する事態となってしまう。
特に集団で投石してくる戦法は厄介で、油断すれば熟練の剣士でも後頭部など打たれて気絶してしまい、その間に体を喰われて死んでしまう事があったりするのだ。被害者の人間が男性の場合には即座に肉体を喰われるし、女性の場合は散々に性器を嬲られた上で拉致されて漂流ゴブリンの群れの終わらない漂流に死ぬまで付き合わされることになる。━━━女性の方の顛末がどこまで本当かは分からないが、誰でも噂程度には知っている巷の流説だろう。
それで俺はこの娘の身の安全をつい気にしたのだが、まあ杞憂か。
魔法使いという存在がどれだけ余人を寄せ付けない戦闘力を誇るか、俺は家出の旅で出会った魔法使い達を5人も見てきて知っているからな。
そのうち1人は年老いた女性だったし、1人は幼い少年、いま1人は盲目の男性だったが、いずれも魔法の妙手だった。
一見弱者に見える彼らの手に掛かれば、火炎の魔法で魔物の群れを消し飛ばすのも、人体石化や防塁造成の魔法で魔物の猛攻をやり過ごすのも、空を飛んで逃散するのも、攻めるも守るも逃げるも圧倒的だったのだ。魔法使いの強さに年齢性別や体格は関係無いと、その時に俺は何度も知って助けられた。
「………」
「………………━━━━━━━━━━━」
無言。やや間があって、それがお互いの呼吸を誘うように合わせ、あとは眼を見れば意思は一つに決まった。
魔法少女は祀り木に選んだ幼木の方へと向き直り、俺は巨大な倒木の上に立って地面に刺した棍棒に囲まれる形でいる。両手には石礫も握って準備万端だ。
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夜の森の静寂が、一層際立つ。
小さな虫や動物の奏でる声音だけが騒めいている。
魔法少女はまだ、口を開こうとしない。たっぷりと”間”を持たせて、魔法の言葉を紡ぐ機を伺っているのだ。
魔法の言葉を発する機微にも独特の呼吸がある。━━━とか、そういうのも旅の道中で聞いたことあるな。一人旅でのいろんな出会いは、いろんなことを俺に教えてくれたんだ。それがこうして一応の見識になってる訳だな。
そんなことをふと思い出したとき、不意に森の騒めきが鎮まり始めた。
「━━━……!…」
徐々に、少しづつ、その虚無の静寂は広がってゆく。
いよいよだと思って俺は総毛だった。
そして━━━━━
”キシュ・フシュ・ギッガガガ・フンババイア─────ァア◇¶§ェ~ΨΔΛΩッεォωーィ**~~…”
山が、森が、眠りについたかのように静まりかえったその時、神羅万象は少女の言葉を受け入れたのである。
━━━霞を纏う、白く透き通った美しい単眼大蛇。
魔法少女の身の丈3倍ほどあるそれが、幼木の向こうで塒を巻いた中から真直ぐに鎌首を擡げている。いつ現れたのか忽然としすぎていて俺は驚く瞬間もなかった。
その傍らには毛むくじゃらの何かが立っていて、膝を曲げたり伸ばしたりしている。2つある顔は暗く、金に輝く4つの目はどこを見ているのか分からない。
異様な姿のそれらは魔獣や魔物ではない。”眷属”というやつだ。
その独特の浮世離れした存在感━━━その場に居るのか居ないのか曖昧な雰囲気なくせに、こちらは心を観られているような感触のある、不思議な気配。まるで神殿に参拝した時のような感覚のそれに一癖足したような気配で神霊の眷属だと分かるのである。
俺はこの神々の従属とされる存在を見るのが初めてではなくて、人生でもう10回以上は見ている。
だが普通、眷属は珍しい存在で、多くの者が人生で1度目撃する機会が有るか無いかという程度らしい。とはいえ誰しも何らかの眷属霊を見た事があるものなのだが、しかしながら誰もその存在の詳しいことは解らないという謎めいた”存在”なのだ。
謎めいたというか謎でしかないのだが、人類にとって敵か味方か、眷属達は主に魔法使いや神官たちの前に”契約”と称して現れるものであると俺は村の大人連中から聞いた事がある。
だから今のこの眷属達は魔法少女となんらかの意思疎通のために現れたに違いなくて、それはゴブリンを魔寄せすることと関連しているのだろう。
「……………」
「……………」
どのような意思疎通が魔法少女と眷属達の間に在ったのかどうなのか俺には分からないが、俺たちが無言で突っ立っているうちに眷属達は動き出した。
幼木の前に少女が捧げた供物、━━━小さな小動物の栗鼠は、頬袋の中のたくさんの木の実とともに毛むくじゃらの眷属に鷲掴みにされて丸呑みになり、毛むくじゃらはその場で闇に溶けるように立ち消えた。
大蛇の方には魔法少女が懐から取り出したものを捧げている。それが俺から切り取った前髪の小束で、少女が青葉の上にそれを置くと青く燃えて白く煙立ち、灰になって変な匂いが立ち込めた。すると大蛇は蠢いて煙の中にするすると入ってゆくようにして消えていったのである━━━━━━━━━━━
「━━━━━━━━━━━…!!━━━━━━━━━━━」
森の大気の微かな震えを顔の生毛が感じた、その森の奥の一方向。暗い樹間の奥に低い轟が起こったのを俺は鼓膜で捉えている。
次いで辺りに魔物の独特な悪臭が立ち込めて、その匂いの主が来るより先に訪れた匂いは魔物の質量を思わせる爆臭で、これは本当に魔法少女が魔寄せをやってのけたのだと俺は息を呑んで感嘆した。
20頭は居るだろう群魔が押し寄せて来る。全部殺す。
そう覚悟すると胸の高鳴りが全身の血を沸き立たせ、体も心も必死で動かす準備が出来た。
「私は隠れて見ていますから、スザリオさんはご存分に…」
視界の端で魔法少女が何か言った気がするが、俺はもう獲物の姿を先に見つけるべく目を凝らすのに集中して相槌を打たなかった。
深夜の森で真っ暗な中だが、俺の目はすっかり闇に慣れている。ゴブリンが俺を見つけるより先にゴブリンを見つけて先手を打つ。
群魔の先駆けはもうそこまで迫っている。奴らは進撃の音を隠そうともしないほどアホだ。
いや、それがゴブリンの示威なのである。
間断無く草木をなぎ倒す不快な騒音が大きくなり、暗闇の奥から一直線に俺の足元へと伸びてくる━━━━━━
nanasino twitter
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この連載は本編の外伝的作品としての物語です
本編はこちら
<――魔王を倒してサヨウナラ――>
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よかったらどぞ