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美少女JKなろう作家の完璧かつ華麗なる日常  作者: 中 卯月
第七部 キラキラ二年生
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7-5 ……シテ……コロシテ……

 伊崎がこちらに手招きしてるのが見える。

 見なかったことにしようかな。いや、でも、それはそれで後が怖い……。

 私は恐る恐る、カウンター席へと歩いていった。


「あんた一人になりたいって言ってなかったっけ?」


 あ、伊崎さん、やっぱり怒ってらっしゃる。ですよね。


「ハイ、オッシャルトオリです」


「で、今はこいつと友達?」


「ソ、ソレハ、ゴカイです」


「じゃあ何で二人でここに来てるわけ?」


「そ、それは成り行きというか……でも友達ではないです……」


 矢野がショックを受けた顔をする。


「えー!? 中ちゃん、さっきあたしとズッ友って言ったじゃんねぇ!?」


 矢野、頼むから黙っててくれ。


「って言ってるけど?」


「あれは言葉の綾だ! おまえみたいな(よう)の人間と友達になれっか!」


「……あたし全然そんなんじゃないよ」


 矢野が沈んだ表情をした。

 あれ、私もしかして何かやっちゃいました?


「矢野、あんた最近グループからハブられてんよね。で、いつも一人の卯月に目をつけたんだ?」


 そ、そうだったのかぁ〜〜〜〜〜!

 クラスの奴らの人間関係とか興味なさすぎてマジで知らなかった。


「ハブられてるのはそうだけど……目をつけたとか、そういうのとは違うもん……」


 矢野が涙目になる。


「……藍子、今のは言い方が悪すぎるぞ」


 佳織さんのお兄さんが三人分の紅茶を出しながら伊崎を咎めた。


「……事実でしょ。一つ関係がダメになったからハイ次。あんたらにとって人間関係ってそんなもんなんでしょ?」


 ……今のは、流石にちょっとカチンときた。


「伊崎、おまえにとって友達ってもんがどんだけ尊いのか知らないけどさ、その価値観を他人にまで強要しないでよ」


「……他人、ね。そうね、あんたとあたしは他人だよ。友達だと思ってたのはあたしの方だけだったしね」


「わ、私だってっ! おまえのことっ……!」


 友達だって思ってた。

 だから、あの時あんなに苦しかったのに。

 でも、そんなの伊崎には関係のないことだ。

 そんなことは分かってる。

 全部私のエゴだ。全部私が悪い。

 ……ここで言い返すのは、きっと違う。


「……あたしのこと、何だよ。仮にも物書きなら分かるように言ってみなよ」


「そ、それとこれとは違うし……! 書くのと言うのじゃ全然違うんだよ!」


「じゃあ書いてみなよ」


 伊崎が鞄からノートとペンを取り出す。


「何を!?」


「あんたの伝えたいことごあるなら、書いてみなよ。小説みたいにさ」


「ええ……いや、いきなり書けって言われても……気分とかもあるし……」


 こちとら気が乗らないと平気で半年とか更新を放置する人間だぞ。


「中ちゃん、小説とか書くんだ」


 矢野がぽつりと呟いたのが聞こえた。

 ほらぁ! 伊崎のせいで知られたくない人間にまで知られちゃったじゃんかぁ!


「あ、見っけ」


 私は首が捻じ切れるくらいの勢いで矢野の方を向いた。

 え、見っけ? なにを? ホワット?


「中ちゃんの小説ってこれ?」


 矢野がスマホの画面を見せてくる。

 そこにはバッチリと本作のトップページが表示されていた。


「テ、テメェー!? どこからそれを見つけ出した!?」


 矢野の首を絞めて詰問する。


「うぐぐぐぐ……ぐ、ぐるじぃよぉ……! な、中卯月、小説ってググったら普通に出てきたよ?」


 あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!(ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!! )


 いや、脱糞はしていないが。

 してはいないが、しそうになった。


 黒歴史ノートってレベルじゃねーぞ!

 恐る恐る伊崎の方に振り返ると、ニヤニヤしながらスマホを開いていた。


「あんた自分のこと美少女だと思ってんだ」


 ……シテ……コロシテ……。

 伊崎の眼球がえげつない速度で上下する。あ、これ前に見た速読(やつ)だ!


「読むな!? 一生のお願いだから読まないでください!?」


「小説っていうかただの日記だな、これ」


「感想とかいいから! もうそれ以上は読まないで!?」


「ふーん、優とは入学前に会ってたんだ」


「実況すんな!? やめて! もうやめてよ!? 何プレイだよこれ!?」


「あー、ちょっと黙ってて? 今いいところだから」


「あの作品にいいところなんてねぇーーーよ! 嫌味か!?」


「あたしも読もっと」


 矢野さん!?


「俺も俺も」


 お兄さんまで!?


 こうして目の前で三人に作品を読まれるという拷問が始まったのであった。

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