7-1 うんちのぼっち
進級し、二年生になって一週間ほど。
二年になったとは言え、ここは過疎化が進んだ田舎町の高校。
学年にクラスは三つしかなく、クラス替えもなかったため何も変わることもなく、相変わらずぼっちのまま私は生きていた。
結局あれから優ちゃんにラインの返事は出来ていない。
話すこともない。無意識にその姿を目で追ってしまうからか、たまに目が合ってしまうので、慌ててグリンと頭ごと回転させて目を逸らすことは数回あった。
そんなことがある度に死にてぇと思う私なのであった。
そんな私は今も死にたいのです。何故なら次の時間は体育の授業だから。
体育って高校に入ってまで必須科目にする意味ありますかね……選択式にすれば良くないですかね……運動部の奴らだけでキャッキャしてればいいじゃないですか……私は文科省にそう提言したい。
百歩譲って個人競技ならまだ良い。
だけど団体競技はうんち(運動音痴の略)のぼっち(うんちと韻を踏んでいる)には死ねと言われてるに等しいんですよね。
場に馴染めない自分の異物感。ミスしたときの周りの冷ややかな視線。吐き気がやばい。
そして、よりにもよって次の体育はバスケであり。
「よろしくねー、中さん」
「よ、よよろしくお願いします」
ボブカットのゆるふわ系女子Aが気さくに声をかけてきてくれた。名前は覚えていない。たしか田中だった気がする。
他三名とは言葉を交わすことはなかった。
「神谷ちゃんが同じチームなら勝ったも同然だね」
田中が優ちゃんにも同じように気さくに声をかける。そういう性格なのだろう。
ていうか、そう、優ちゃんも同じチームなのであった。気まずいことこの上ない。
「私バスケはあまり得意じゃない……背低いし……」
それが謙遜であることを私は知っている。
一年の時に体育のバスケで無双していたからだ。
「大丈夫大丈夫、可愛さでは勝ってるから!」
田中が優ちゃんに抱きつく。
気安く優ちゃんにくっつくんじゃねぇ、●すぞ田中。
「矢野さん、く、苦しい……」
田中は田中ではなく、矢野という名前だったらしい。
明日には忘れてそうなのでどうでもいいが。
そんなことよりも相手チームにやばい奴がいる。
おそらく気のせいだと思うけど、やばい奴が私を睨んでいる気がする。あいつ元々目つきが悪いから気のせいだと信じたい。
「あっちチームの伊崎さん、めっちゃ中さんのこと睨んでない?」
やめろ田中、それは気のせいだ。
「中さん、前は伊崎さんや神谷ちゃんと仲良さそうだったけど……最近はあんまりだよね? 喧嘩でもしたの?」
田中にはデリカシーというものがなかったので、将来はホスト狂いになってデリバリーヘルスで働くことになる呪いをかけた。今かけた。
「……矢野さん、そのことにはあまり立ち入らないで」
「ありゃ、まずかった? ごめぴっぴ!」
田中改め矢野がペロッと舌を出す。
こいつとは生涯相容れないだろう。




