1-5 妹は私のことが好きだけど私は妹のことが嫌いだよ
前回までのあらすじ。
クールな女子小学生に助けられたが心と体に傷を負った。
私はポケ●ンになりたい。何故ならポ●モンセンターでタダで傷を癒してくれるからだ。あと可愛いポケモ●になって、イケメントレーナーに飼われたい。
私はウツロな表情でそんな妄想に浸りながら街を彷徨った。そんなこんなで夜の七時を過ぎたころ、流石にそろそろ家に帰りたいなと思ったが、勝手に帰ったら妹にキレられそうなのでラインでメッセージを送ってみた。
私は思わずスマホを地面に叩きつけそうになった。
ブチ転がすぞ、このクソガキ!?
おまえが出てけって言ったんじゃん!?
ぴえん! ぴえん! ぴぴぴぴぴえん!!!!
妹の分際でよぉ〜〜〜〜〜! こちとらテメェの姉やぞ!? 姉より優れた妹なぞ存在しねぇってことを分らせてやろうか!? 私の特製わからせ棒をテメェの●●●に●●して●●●●してやるからな!?
私はぷんぷんと可愛らしく怒りながら帰途についた。
◇◆◇
「妹ぉ!!!」
私は家に着くや否や、今にも掴みかからんという勢いで妹に詰め寄った。
「おネエ、おかえり。……その、誕生日、おめでと」
だがしかし。
今日こそは妹に格の違いを見せつけてやろうという私の決意は、その一言により呆気なく消え去った。
「ほへ……?」
「今日、おネエ誕生日じゃん? だから、その、友達に教えてもらってケーキ焼いたんだ。今お茶淹れるから、良かったら食べてよ」
妹の言葉に理解が追いつかない。
「なんで……?」
「は? 家族の誕生日を祝うのに理由がいる?」
妹は呆れ顔でそう言ってのけた。
「で、でも去年は誰も祝ってくれなかったじょないか!?」
動揺しすぎて噛んだ。
「いや、去年はおネエ、誕生日にママと喧嘩して深夜まで帰ってこなかったじゃん……」
そうだったっけ!?
ムカつくことは忘れる性分だから覚えてないよ!?
「ママはどう思ってるか知らないけどね、さつきはちゃんとお祝いしたかったんだよ」
い、妹ォォォッ……!
なんて、なんていい子に育ったんだろうか。
昨日書いた小説でエロい目に合わせてごめんな。
「で、でも、それならどうして私に出てけって言ったんだよ?」
私が質問すると、妹は恥ずかしそうに頬を染めてそっぽを向いた。
「だって、おネエにあげるケーキを作るのに、おネエに見られたら、なんか恥ずかしいじゃん」
てぇてぇぇぇぇぇぇ!(尊いの意)
なんだこれ、姉妹百合ルートに入ったのか?
妹ってこんなに可愛い生き物だったか?
「さ、さつきぃぃぃ……」
私は涙目になりながら、約二年ぶりに妹の名前を呼んだ。
……そうか、全部……きっと全部、私の勘違いだったんだ。一方的に被害妄想を拗らせて、壁を作ってしまっていたんだ。
「わ、わた、私はよぅ……て、てっきり、皐月に見下されてると思っててさぁ……」
皐月はここで「そんなことないよ」と言い、姉妹は和解する。そんなストーリー。
にはならなかった。
「あ、えーと、見下してはいないけど」
「……けど?」
「おネエって友達もいないし、これといった取り柄もないし……かわいそ、じゃなくて、そんなところが可愛いなとは思ってるよ!」
死ぬほど見下されていた!
「さつきはおネエのそういうところも含めて好きだけど、おネエはさつきのこと嫌いなのかなって思ってて……ずっと素直にお喋りできなかったの……!」
「ああ、私はおまえのことが嫌いだね! ウワァァァンッ!!」
「お、おネエ!?」
私は泣きながら再び家を飛び出し、家族全員が寝静まる深夜まで帰らなかった。




