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美少女JKなろう作家の完璧かつ華麗なる日常  作者: 中 卯月
第六部 ポイント・オブ・ノー・リターン
48/78

6-11 卯月ちゃんここに眠る

 帰ってからメイド服を脱ぎ捨てて、すぐさまベッドに潜り込んだ。今はもう何も考えたくない。寝てしまおう。


 後悔はしないと言ったな。あれは嘘だ。

 こんなことになるのなら、やっぱりやめておけばよかったのかも。

 ……バカか、私は。今更うだうだ考えても仕方ないのに。元に戻るだけだ。友達といると満たされてしまって何も書けなくなるって、元々悩んでたじゃないか。また一人で物を書いて生きていけばいいのよ。


 それが、私の人生だ。

 それで、十分幸せだ。


 私は、他者と人間関係を築く資格のない人間なのだ。

 伊崎のように確立した自己もなく。

 佳織さんのようにしっかりとしてもいなく。

 優ちゃんのように優しくもないので。


 そんな人間は一人でいるべきだ。

 だって、人と関わっても迷惑しかかけないじゃない。


 涙が出ますよ。

 私は何のために生きてるんだろう。

 もうわかんねぇや。


 隣の部屋のドアが閉まる音がした。

 妹は一応帰ってきたらしい。今後同じ家にいても話すこともないだろうが。


 心の底から妹が嫌いだった。憎んでたと言ってもいい。

 あんまり思い出せないけど、昔は仲良かったんだけどな。どうしてこうなったんだっけ?


 皐月のせいで、皐月のせいでと、あの声が耳から離れない。……何があったんだっけ。


 うちのお父さんと、お母さんが再婚して。

 お互いに連れ子だったけど、歳が近かったこともあってすぐに仲良くなって。小学校に入る前だったから……たしか五歳くらいのときだったかな。


 あの時はまだ私にも友達がいた、気がする。もう朧げだけど、駆け回って遊んだ記憶がある。そこに妹も混じるようになって……そう、みんなで遊んでた……。




 ――――……ちゃん、こっちだよ!




 幼少時の活発な自分の声が頭に響いた。


「……あ」


 特に仲の良かった子が、いた。

 名前は思い出せない。

 顔は……どうだろう……。

 ちょっと目つきが悪くて……長い髪で……当時の私とは対照的に物静かで……。




 ――――じゃあ、イコちゃんってよぶね。

 ――――……アイちゃんじゃなくって? 変なの。

 ――――アイコだからアイちゃんなんてありきたりじゃん。だからイコちゃん。

 ――――えぇ……別にありきたりでもいいのに……。




 イコちゃん……アイコちゃん……藍子……?


「……って、伊崎じゃねーか!」


 印象変わりすぎだろ……。

 いや、私も変わりすぎてるだろうからお互い様か……。

 ここに来て唐突な伏線回収である。いや、伏線とか張ってなかったから単なる新事実発覚である。果たして向こうは気づいていたのだろうか。


「もう聞く機会もないし……どうでもいいか……」


 そんなことより、私はもう疲れたんだよ、パトラッシュ……何だかとても眠いんだ……。


 幼少時のことを考えて眠りについたせいだろうか。

 私は当時の夢を見た。まだ妹と仲が良かったころの夢を。

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