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美少女JKなろう作家の完璧かつ華麗なる日常  作者: 中 卯月
第六部 ポイント・オブ・ノー・リターン
46/78

6-9 私は妹が嫌いだ

「おまえの妹はあれからすぐまた優に突っかかってな……それで例の言葉が出たわけだ」


「卯月のことが本当に好きなのねってアレですか」


 先輩が頷く。


「優は大好きな姉を他の人に取られたくないんだろうなって程度の意味で言ったんだと思うが、おまえの妹は何か勘違いしたみたいで、目を輝かせて分かってくれますかとか言い出してな……」


 なんか雲行きが怪しくなってきた。


「……で、優ちゃんは何と?」


「誰かを好きだって気持ちは大切にしなくちゃいけないと。で、そこから何か二人で盛り上がって、気がついたらああなってた」


「……う、ちょっと頭痛が。先輩、生理薬とか持ってませんか?」


「持ってたら怖いだろ……」


 そりゃそうだ。


 ええと、まだちょっと飲み込みきれてないけど、何となく分かった。これはお互いの勘違いが招いた悲劇だ。ア●ジャッシュのコントである。


 優ちゃんは、妹はあくまで私のことを家族として好きなのだと考えている。

 妹は、妹が私のことを家族以上の意味で好きだという意味を理解してくれたのだと思っている。きっと初の理解者だ。そりゃああなる。


「……私、先に帰ってもいいですか」


「その服でか?」


「帰れねぇー!!」


 何で私はメイド服なんか着てるんだよ!?


「というか先輩」


「どうした」


「先輩のその口振りだと、妹の私への気持ちが家族のそれじゃないって気づいてますよね?」


「……まあ、何となくは」


「じゃあ止めてくださいよ!?」


「い、いや、二人とも盛り上がってたし、確証もなかったからさ」


「はー、つっかえ」


「あー、その、何だ。やっぱり恋愛感情なのか?」


「恋愛感情なのかは知りませんけど、性的な目では見られてますね」


「そ、そうか……おまえも大変なんだな……」


 恐ろしい話である。

 今まであえて深く考えないようにはしてきたけど、そろそろ決着をつけないとダメかもしれないな……。

 最近ちょっと異常な行動が目に余るようになってきたし。


 私は妹が嫌いだ。

 自己中でバカでアホでいつも鬱陶しい。

 好きな人間に嫌われるのはぴえんだが、嫌いな人間になら別に嫌われてもいい。


 だからもうこの際はっきりさせておくべきかもしれない。きっとそれが妹のためでもある。いや違う、妹のためになんて考える人間かよ、私が。


 私は、私のために行動するんだ。


「先輩」


「どうした」


「先輩は人を傷つけたことありますか」


「……ある。数えきれないほど」


「後悔してますか?」


 私の問いに対して先輩は目を伏せ、それからポツリと一言だけ言葉を吐き出した。


「……ああ」


「そうですか。ご回答いただきありがとうございます」


 私は後悔なんてしない。

 だってそんなに優しい人間じゃないから。


「……俺は一本吸ってから戻る」


 先輩が胸ポケットからタバコの箱を取り出す。


「あ、不良! ちょっとやめてくださいよ! 未成年の喫煙描写は教育に悪いって運営に怒られちゃうじゃないですか!」


「おまえが何を言ってるのか分からんが、俺は二十歳だ」


 先輩こそ何を言ってるのか分からん。

 二十歳? 高三で? ……?????


 ……!!!!!


「先輩ダブってたんですか!?」


「うるせぇ、トリプってんだよ!」


 どうやら二回留年してるらしい。

 なるほど、それなら高三で二十歳にもなるのか……。

 きっと色々と訳ありなのだろうが、そんな深い事情を聞ける仲でもないし、そんなに興味もない。


 それよりもだ。

 二十歳の男が……十五歳の女の子(見た目は十二歳くらい)と付き合ってる……?

 なんか途端に犯罪臭が物凄くなってきたな……。


「……ロリコン」


「おい今なんつった!?」


 先輩は私の小声でのつぶやきを聞き逃さなかった。


「あ、いえ、おタバコは体に悪いのでほどほどになさってくださいね、と」


「そんな長文じゃなかっただろ……」


 どうやら店の裏手に喫煙スペースがあるようで、先輩はぶつくさと言いながら従業員用の裏口から出て行った。ていうか、そこ勝手に出入りしていいんか。


 ……さて、私もそろそろ行こうかな。

 この件は、いずれどこかで区切りをつけなきゃいけないことで、その日が来たんだと思う。


 グッバイ妹、フォーエバー妹。

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