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美少女JKなろう作家の完璧かつ華麗なる日常  作者: 中 卯月
第六部 ポイント・オブ・ノー・リターン
43/78

6-6 私の妹はきっとサイコパスなんだと思う

 あれから妹とは連絡がつかず、私はそのまま帰宅した。流石にこのまま妹を放置して友達と遊びに行くほど冷血ではないのだ。


 玄関に靴はあるので、妹は家にはいるらしい。あの件で家出とかされたらどうしよう、面倒くせえな……じゃなくて、心配だな思っていたので、ひとまずは安堵した。


 ママンのいるリビングを無言で通り過ぎて、キッチンにある冷蔵庫から牛乳を取り出す。牛乳をコップに注いで、腰に手を当てグイッといったところで、ママンが重々しく口を開いた。


「卯月、あんた妊娠したって?」


「ブフーーーーッッッ!!」


 私は思いっきり流し台に牛乳を吹き出し、ゲホゲホと咽せた。


 あのガキやりやがった!!

 よりにもよってママンにチクってんじゃねぇよ!?


「お、お母さん、そ、それはね、ほんの冗談でね……?」


「あ、あんた鼻から牛乳出てるわよ」


 ママンが笑いを堪えてプルプルと震えている。殴りたい。


「どうせまた皐月に下らない嘘をついたんでしょう」


「まあね」


「謝っておきなさいよ。あの子泣いてたわよ」


 なんであんな嘘くらいで泣くかね……。まさか本気で信じたわけじゃないよな……? もし信じたとして、私が孕んでもあいつに関係なくないか?


「へぁい」


「返事の仕方」


 面倒くせぇなというお気持ちを隠しきれていない返事をしてしまったため、ママンに咎められる。


「はい、お母様」


「よろしい」


 私が素直に従ったのでお母様は満足気だった。




◇◆◇




 妹の部屋のドアの前に立ち、逡巡する。

 うーーーーーーーーーーん。謝るったって、何を謝ればいいんだろうか。変な嘘ついちゃってごめんね? ……なんか違う気がする。


 妹は……皐月は、泣いてたらしい。

 私が孕んだことがそんなに悲しかったのだろうか。いや孕んでないんですけどね。


 何も分からん……こうなりゃもう本人に直接聞くしかないか。


 意を決して妹の部屋のドアを開ける。

 妹はベッドの上で体育座りをして泣いていた。何か、その、見覚えのあるしましまの布で涙を拭っていた。どう見ても私のパンツだった。


「テメェ何してんだこの野郎!」


 勢いよく妹に飛びかかり、その手からパンツをひったくる。直前までどうやって謝ろうかと頭を悩ませていた自分がアホらしくなる。


「か、返して、皐月のハンカチッ……!」


「私のパンツですけど!?」


 パンツを取り返そうと手を伸ばしてきた妹の手を叩き落とした。


「なんでそんなことするのぉぉぉ! うぇぇぇん!」


 妹は泣きじゃくると、ポケットからピンクの布を取り出して涙を拭った。私のパンツだった。


「ねぇ、私のパンツ何枚盗んでんの!? 結構ガチで怖いんですけど!?」


「盗んでないよ。皐月のパンツと交換してるんだよ」


 怖さが増したわ。さてはサイコパスだなオメー。


「だって、スポーツの世界ではユニフォーム交換とかよくするじゃん」


 全スポーツ選手に土下座しろ。


 妹はもうすっかり泣き止んでいて、まったく悪びれる様子もなかった。……嘘泣きだった可能性が微レ存。


「スポーツもしてないのに勝手にパンツを交換するのはやめてください、マジで」


「え〜〜〜、じゃあ、おネエと皐月でスポーツする?」


「何がじゃあなのか分からんけど、お前には絶対勝てないからやだ」


 妹には運動神経では遺伝子レベルで負けているから、ボロ負けするのはやる前から分かってる。


「おネエ、スポーツは勝ち負けとかじゃなくて、楽しんでやるものだよ! それに今から皐月が提案するスポーツは勝ち負けがないから大丈夫だよ!」


「……勝ち負けのないスポーツ?」


「うん、セックス!」


 屈託のない笑顔だった。

 ●すぞ。この作品をR18にするつもりかテメェ。


「まず、おまえはセックスが何か分かってる?」


「わ、分かってるよ! 皐月は保健体育だけは成績いいんだから!」


 妹がえへんと胸を張る。

 誇らしげに何言ってんだこいつ。


「分かってるなら家族でやることじゃないって分かるよね?」


「でも、皐月たちは血が繋がってないよ? だからいいんじゃない?」


「ちっともよくねぇーーーーーッッッ!!」


 頭が痛くなってきた。

 オーケー、冷静になろう、卯月ちゃん。


「まず整理しようか。おまえ、私が妊娠したってのは嘘だって分かってるよね?」


「うん。おネエ、モテないし」


 はっ倒すぞ。


「じゃあ何で泣いてたんだよ」


「だって、そんな嘘ついてまで皐月とお出かけしたくないんだなって思って、悲しかったんだもん……」


「……あー」


 そういうわけではないんだけど、そう思わせてしまったのか。確かにこれはちょっと、ほんのちょっとだけど私が悪いかもしれない。


「皐月。別に皐月とお出かけしたくないわけじゃないんだよ? ただ、ほら、お姉ちゃんちょっとアレだから、遊びに行くところとかよく知らなくって……」


「ううん……皐月も悪かったの……ぼっちで陰キャのおネエに無理なこと言っちゃって……」


 ちょっとはオブラートに包めやクソガキが。


「今はぼっちじゃないですぅー! 友達いますぅー!」


「ほんとかなぁ?」


「この前だって友達んちに泊まったでしょ!? ていうかおまえも電話で話したよね!?」


「でも実際に見たわけじゃないし……ちょっと信じられないよ、おネエに友達なんて……」


 なんてことを言うんですかこの子は。お姉ちゃん殺意の波動を抑えられません。


「そこまで言うならお出かけがてら会わせてやるよ……私の友達によぉ!」


「ほんとぉ? やったぁ!」


 こうして私は妹を連れて佳織さんちの喫茶店に行くことになった。

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