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美少女JKなろう作家の完璧かつ華麗なる日常  作者: 中 卯月
第六部 ポイント・オブ・ノー・リターン
42/78

6-5 できちゃった

 午後の授業をまるまるサボるという暴挙を働いてしまった。もう帰りのホームルームも終わっている。ほんの少しの罪悪感を胸に教室に戻ると、優ちゃんと伊崎が待ってくれていた。


「おかえり、不良」


 伊崎がニヤニヤとしている。


「おまえにだけは言われたくないよ……。佳織さんは?」


「家の手伝いあるからって先に帰ったよ。あたしもこの後佳織んちでバイト」


「ほーん。じゃあ私も伊崎の似合ってねぇウェイトレス姿でも見に行くかな」


「貧相な体してるあんたよりかは似合うよ」


 伊崎がこれ見よがしに胸を張ってくる。

 こいつは私たち四人の中で一番乳がでかい。死ね。


「おい超えちゃいけないライン考えろよ!? ねぇ優ちゃん! 今のひどいよね!?」


「そこで私に振らないで、傷つくから……」


 優ちゃんは私たち四人の中で一番小さい。その、なんていうか、全体的に小さくて軽い。


「それよりも、暁と話してどうだった?」


「面白い人だった」


「そう。悩みは解決できたの?」


「……悩み? なんだっけ?」


「……デートスポットの話」


「あ」


 完全に忘れてた。

 やべぇぇぇ! その話なんもしてねぇぇぇ!

 ていうか、もうこの後すぐ妹と合流じゃん!?


「…………」


 気のせいだろうか。優ちゃんがアホだこいつって目で私を見ている気がする。


「アホだなこいつ」


 うるせぇぞ伊崎。歯に衣着せろ。


「今回ばかりは藍子に同感」


「優ちゃん!?」


 あ、あの優しかった優ちゃんが私を白い目で見てる!?

 つ、つらい……でもちょっと気持ちいいかも……。


「バタバタしてて聞けてなかったけど、そのデートの相手って誰なの?」


「い、妹です……」


 萎縮し、優ちゃんに対して敬語になってしまう私だった。


「デートするの? 妹と? ……姉妹百合?」


 優ちゃんが怪訝な顔をする。


「そういうのじゃないから!? ていうか優ちゃん姉妹百合とかいう言葉知ってたの!?」


 私の言葉に優ちゃんがしまったという顔をする。


「……知らない。何それ」


 この人、とぼけるの超下手くそだな!?


 今までそんな素振りを見せてこなかったけど、優ちゃんってもしかして……。



 私と同類(ヲタク)!?



 その件についてもっと追求したかったが、妹から電話がきてしまった。


「も、もしもし」


『もしもし〜、おネエ? 皐月だよ〜』


 知ってるよ。

 ど、どうしよう、どこ行くか何も決めてないのに。

 急用ができたとか言ってブッチしちゃおっかな……。


『今日どこ行くか決まった? めっちゃ楽しみ〜!』


 ダメだ、急用ができたくらいじゃこのテンションの妹は止まらないだろう。もっと、なんかその、物凄いものができないとダメだ。


「さ、皐月、ごめん……その、ちょっとアレができちゃって、今日行けないかも……」


『えー! やだやだ!! アレってなによー!?』


「その、えと……」


 そりゃそうだよ、アレって何だよ。

 ど、どうしよう、何か起死回生の一言を絞り出せ、私!


 ここでクエスチョンだ。

 卯月ちゃんにできちゃったアレとは?


1.急用

2.ニキビ

3.ベイビー


「じ、実は……お腹に子供(ベイビー)ができちゃってさ……」


『……は?』


「は?」

「は?」


 電話先の空気と、それからこの場の空気まで凍りつくのを肌で感じた。


 やべぇ、選択肢ミスった! これじゃなかった! セーブデータからロードしてやり直せないかな!?


「う、うそだよ! 今のジョークだからね!?」


 妹は応答しない。

 スマホの画面を見ると既に通話を切られた後だった。


「……さ、さあて、あたしもバイトいかんと」


「い、伊崎さん!? 今の嘘だからね!? 私まだ処女だかんね!?」


「……卯月、あんたがこれからどういう選択をするか分からないけどね、何があってもあたしだけはあんたの友達だよ」


「名言っぽいこと言うのやめろよ!?」


「あっはっは、ま、頑張んなー」


 ゲラゲラ笑いながら伊崎が教室から出ていった。

 ……まあ、あの様子ならあいつは嘘だって分かってくれてるか。


 優ちゃんと二人残され、何だか気まずい感じになる。


「卯月」


「は、はい」


 や、やびゃい、優ちゃん、この目はちょっと怒ってらっしゃる?


「……私だって、何があったって卯月の友達だから」


 違った! 伊崎に対抗意識を燃やしてただけだった!

 しかもこっちはマジで信じてそう!


 それから優ちゃんの誤解を解くのに三十分かかり、言っていい嘘と言っちゃいけない嘘があると叱られた。

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