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美少女JKなろう作家の完璧かつ華麗なる日常  作者: 中 卯月
第六部 ポイント・オブ・ノー・リターン
39/78

6-2 なんか修羅場ってる

「デートスポット?」


 優ちゃんが目を丸くする。

 昼休み、いつもの四人が集まった場で意を決して聞いてみたが、失敗したかもしれない。


「卯月ちゃん彼氏できたの!?」


 佳織さんが大きなお目々をキラキラと輝かせた。


「ち、ちが」


「どんな人? 同級生? それとも年上? 年下?」


 鼻息を荒くしながら詰め寄ってきた。

 やべぇ、この人止まんねぇよ! 恋愛脳か!?


「佳織、落ち着きな」


 伊崎が佳織さんの顔面にチョップをした。結構な勢いだった。


「い、痛いぃ〜……」


 佳織さんが両手で顔面を覆いながら涙声を出す。

 ナイス伊崎。……佳織さんがちょっと可哀想な気がするけど。


「冷静に考えて卯月に男ができるわけないでしょ、はは」


 ぶっ●すぞ伊崎。


「デート……うーん、散歩したりとか……?」


 優ちゃんが口元に人差し指を当てながら思案する。

 こちらから相談している身なので、老夫婦か、とは言えなかった。


「老夫婦かよ」


 伊崎も私と同じことを思っていたようで、遠慮なくツッコミを入れていた。

 優ちゃんがちょっとだけムッとした顔をした。ムッとした顔も可愛いぜ、優ちゃん……。


「じゃあ藍子ならどこに行くの」


「あたしは色恋に興味ないからねー」


 優ちゃんの問いかけを伊崎が手をひらひらとさせながらかわす。


「じゃあ人のことにとやかく言わないで。私たちはそれで十分楽しいの」


 優ちゃん、珍しく怒っていらっしゃる。

 私の相談事からこんなことになってしまい、ハラハラオロオロとしてしまう。


「か、佳織さんは、どうかな? もしもデートするならどこがいい?」


 頼む! この流れを変えてくれ!

 そんな願いを込めて佳織さんに話題をパスした。


「ディ●ニーランド! 二人でアトラクション回ってー、夜はディズ●ーホテルでロマンチックに過ごすの」


「へ、へぇ〜、いいよね、デ●ズニー」


 バイトもしてない高校生の小遣いでそんなとこ行けるかバカ野郎。北海道から東京に行く飛行機代すらないわ。そもそも私は人混みが嫌いだから、あんなところ行ったら人酔いして死んじゃうよ。


「というのは冗談としてー、優だけじゃなくって有馬(ありま)先輩にも聞いてみたらどうかな?」


 じょ、冗談だったのか。佳織さんは常時にこやかだから分かりにくいよ……。

 いや、それよりも。


「佳織さん、有馬先輩とは?」


「優の彼氏だよ」


 あー。あの夜道で出会ったイケメンか。


「優、先輩に連絡つく?」


 色恋の話となるとグイグイいくな、佳織さん……。いや、ただ妹と出かけるってだけで色恋の話じゃねぇんだけどさ。


「……多分つくけど、学校ではあんまり連絡しないようにしてるから」


「そうなの? 付き合ってることを隠したいとか?」


 私の言葉に優ちゃんが首を横に振る。


「ううん。学校では自分よりも友達と過ごす時間を大切にしてほしいって言ってくれてて……」


 何だそれ。心までイケメンか。私もそんな彼氏欲しい。


「別にいいんじゃね? 有馬先輩をここに呼べばその言葉に反したことにはなんないし」


 伊崎って本当に遠慮を知らない女だよ。

 優ちゃんがチラリと私を見た。

 うう、なんか申し訳ねぇよ。


「……わかった、連絡してみる」


 ごめんよ優ちゃん。

 でもイケメンを見られるのは嬉しい。目の保養になるから。





◇◆◇





 優ちゃんが彼氏に電話をして、それからほどなくしてイケメンはこちらの教室にやってきた。


「よ、よう」


 気まずそうに挨拶をするイケメンの背中には女がべったりとくっついていた。あれ絶対おっぱい当たってる。


 え、何この状況?

 呆気にとられたまま優ちゃんの方を見ると、先ほどの伊崎とのいざこざとは比較にならないほど怒っていた。怒っていたというかキレていたと言う方が表現としては正しいかもしれない。


「悪い、優……こいつ、何回引っぺがしてもくっついてきてな……」


「香苗さん、(あきら)から離れてください」


「なんでぇ?」


「あ、暁は、私と付き合ってるからです!」


「でも、あたしは暁の友達だよ? 友達だったらくっついてても良くない?」


「 良くありません!」


 やばい、何か修羅場ってる。

 クラス中の視線が私たちに集中している。そりゃそうだよ、上級生が女を背中に貼り付けて教室に入ってきただけでも注目の的になるのに、修羅場ってるときたらみんな見ちゃうよ。


「ま、友達は友達でも、セフ」


 何か言いかけた女の顔面を彼氏さんが鷲掴みにした。そのまま握り潰すのではないかという勢いで力を込めていく。


「おまえふざけんなよ」


「いだいだいいだい! か、軽いジョークじゃん! 痛いよー! DV反対ー!」


 私は一体何を見せられてるんだ……。

 女はしばらくそのまま彼氏さんに頭蓋を痛めつけられてたが、解放されると今度は興味津々といった様子で私の前にやってきた。


「キミが恋に悩める乙女ちゃんかな?」


 そんな感じで伝わってんの!?


「あ、いや、ちが」


「恋の悩みと言えばこの香苗ちゃんにおまかせだよ! よろしくね! 気軽に香苗ちゃんって呼んでね!」


 握手というか、一方的に手を握られた。

 あ、この人、人の話を聞かないタイプだ。

 しかも結構ヤバい人だ。

 手首にめっちゃリスカ痕があるよ?

 私はファッヘラ(ファッションメンヘラの略)だけど、この人は多分本物だよ!?


 わ、私これからどうなっちゃうの〜!?

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