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美少女JKなろう作家の完璧かつ華麗なる日常  作者: 中 卯月
第一部 美少女なろう作家、ダラダラする
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1-3 もう完結させちまおうかな

 ぐでーんとベッドで横になりながらスマホをいじる。

 まずい。このままでは今日という一日がソシャゲのイベント周回だけで終わってしまう。

 自分の小説を見直そうという趣旨で始めた本作だが、何か既に面倒くさくなってきた。


「私って女はいつもそうよ……大体三日坊主なのさ……」


 もう完結させちまおうかなと、内なるデビルが囁きかけてくる。

 何を言ってるの、ここで諦めたらただのクズに逆戻りよとエンジェルが必死の抵抗を試みている。


卯月(うづき)ー! 皐月(さつき)ー! 晩ご飯できたわよー!」


 ドア越し、階下から母が私たち姉妹を呼ぶ声がする。皐月というのは私の妹だ。


「あー……結論は後回しでいいか……ご飯ご飯っと……」


 私が部屋を出るのとほぼ同時、隣の部屋から皐月が出てきた。

 一瞬目が合うが、互いに何を言うこともなく黙って階段を降りて一階の居間へと向かう。

 私には分かる。こいつは自分が陽キャだからって、陰キャである(わたし)を見下している!

 ……昔は何をするときも私の後ろについてきて、可愛かったのになぁ。どうしてそんなになっちまったんだい、妹よ。


 それから居間で母と妹と私とで夕食を囲んだ。

 父はいつも仕事で遅いため、平日は夕食をともにすることはない。


 妹と母の世間話を聞きながら、私は黙々と食事をしていた。

 私は家の中でも割と空気なのだ。そんな私に話題が振られることなどない。


「あ、そうだ、おネエ」


 うおォン、この肉うめぇな。肉を食わせてくれるパパンとママンに感謝である。


「おネエってば!」


「ヒッ!?」


 妹に耳元で大声を出され、私は驚きのあまり尻を浮かせてしまった。


「な、なんですか!?」


「いや、なんで敬語なの……」


 妹が呆れ顔をする。

 うるせぇ、我々のような陰気な生物は動揺すると相手を問わず敬語になっちまうんだよ。


「明日ちょっと友達を家に呼ぶんだけど、その間おネエ、家から出てってくれる?」


「は? なんでだよ? お、おまえ、まさかこんな姉を友達に見られたくないとか言うんじゃないだろうな……!?」


 妹からそんなことを言われたら流石に泣くぞ。


「そ、そうじゃないよ! ただ、おネエがいると都合が悪いの!」


 日中、父はもちろんのこと母もパートに出るため家には私と妹しかいない。私がいなくなったら、その友達とやらと妹は二人きりということになるのだ。

 邪魔者(わたし)を追い出して二人きりになりたい相手ということは、もしや……!


「お、おまえ、まさか男を連れ込む気じゃ……!?」


「お、女の子よ! バカじゃないの!?」


 まさかの百合かよぉぉぉ!?


「おまえって、そうだったのか!? も、もしかして私のことも今までそういう目で見てたのか!?」


「は、はぁ!? 何言ってんの? おネエってアホ?」


 心底アホを見るかのような視線を向けられた。


 ……こいつに限ってそんなことあるわけないか。

 一人でテンションぶち上げて損したわ。


「……分かったよ。明日出てけばいいんだろ、出てけば」


「うん」


 妹は私が従うのが当然かのように頷くと、また母との世間話を再会した。


 こ、このメスガキがぁ……!

 もっとこう、ごめんねとか、ありがとうとかないのか……? 姉を敬う心は失われてしまったのか……?


 その夜、私は腹いせに妹をモデルにしたヒロインがめちゃくちゃに犯されるエロ小説を書いた。

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