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失われた記憶

 俺はいつからこんなに強くなってしまったのだろうか。俺はいつからこんなに冷酷になってしまったのだろうか。俺はいつから。


「いつから……こんなに人を殺すことに躊躇いがなくなってしまったのだろうか」

 俺は何者なんだ。


「お前は魔王になったんだ」

 どこからか聞き慣れた声が、聞き慣れたといっても、この聞き慣れたはいい意味ではない。ずっと敵対していた、敵の声だ。


「黙れ……俺は魔王になんて……なってない!」

「周りを見てみろ、それで全てわかる」

 俺はその声の言う通り、閉じていた目をゆっくりと開いた。


「嘘だろ……」

右を見ても、左を見ても、俺の周りには死体しかない。その死体も腐敗して強烈な異臭を放っている。


「下を見てみろ」

「下……?」

 俺の下には、原形をとどめていない首から下を切断された恐らく人間と思われる頭が大量に積まれていた、そうだ、俺はその頭の上にその大量に積まれた顔の上に立っていた。


「この顔は全てお前が切った者の頭だ」

「嘘を言うな、俺はこんな残虐なことはしない」

「お前が人なのであれば、こんなことはしないだろう」

 徐々に小さくなっていく、その声を俺は幻聴と思い始めていた。これは夢だ、俺の夢だ。


「俺は人じゃないのか?」

「あぁ……さっきも言ったが、お前は魔王だ」

 こいつは何を言っているんだ、これは夢だ。この死体も俺の幻覚だ。


「お前は気づいているか、ここはお前が火を放った、お前が滅ぼした王都の城下町だ」

 確かにさっき周りを見たとき、町のほとんどは火に包まれていて、わかりずらかったが、見慣れた風景が広がっていた。そしてここがこんなに熱いのと空が真っ赤に染まっているのも、現在進行形で周りの火が俺に迫ってきているからだ。


「俺は……こんな残虐なことはしないって言ってんだろ!」

 こんなに大きい声を出したのはいつぶりだろうか……。


『何で、お前まで俺を裏切るんだよ! お前まで殺さないといけなくなった! ふざけるな!』

 今のはなんだ、今の頭に流れた走馬灯にも似た何かはなんだ。今のは俺が言ったのか。


「そうだ、お前が言って、お前がそいつを殺したんだ、どうだ? お前はすべて思い出したはずだ」


 俺は。

『お前は間違ってる』

『お前を倒す』

 誰だ。

『何で、仲間を殺したんだ』

『王である私を殺す気か』

 誰なんだ。

『やはり、悪党の子は悪党だったか』

『お前が無名だったときに殺すべきだった』

 俺は……。

『魔力は回収する、たとえ、ペアの妖精を引き剥がすことになったとしてもだ』

 懐かしい、俺はこの言葉をよく言っていた。


「俺は……闇魔法貸し屋だ!」

 俺がそう叫んだ時、さっきまで聞こえていた声は聞こえなくなり、俺は全てのことを思い出した。そして、俺の体は周りから迫ってきた火に包まれた。


パチンコ大好き転売ヤーの俺が異世界で闇魔法貸し屋してみたをお読みいただき誠にありがとうございます。いつか書いてみたかった小説なので、お楽しみいただければ嬉しいです。


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