表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/35

欧州行って来いと言われたので

 試製一号戦車の完成にホッとした。そして、技術本部内の試験を終え、とうとう陸軍幹部たちを前に試験を行う事となった。


「今日は陛下もお越しになられるそうだ、気を引き締めて行くように」


 そのように訓示された。だが待ってほしい。タブレット検索では陛下のご天覧などという話は一切出てきていない。後の世の記述が間違っているのか?しかし、それら史料には試験を担当した技術本部の面々、つまり、原さんらの証言や手記なども参考にされているハズ。天皇陛下御天覧という大事を書き漏らす訳もない。


 つまりは歴史が変わってやがる。大丈夫なのかよこれ・・・


 とにかく、試験は滞りなく進む。大きな失敗もなく、欧州戦車とそん色ない性能であることが天皇陛下の御前で次々と示されていく。いや~、担当官としてはドキドキである。


「さすがに時速25㎞はむりだったか・・・」


 速度試験において、世界を圧倒する速度を目指していたが、それは達成できずに終わった。仕方がない。これが日本の限界だ。


 試験項目をすべて終え、これで終了という時に呼ばれた。


「原大尉、こっちへ来い!」


 試験を見学に来ていた幹部たちに呼ばれてそちらへと向かう。

 そこに居たのは誰あろう、昭和天皇その人だった。

 自ら講評を口にされ、恐縮してしまう。そもそも、中身は原さんではないのだが・・・

 

 どうやら工業力改善の話は陛下の耳にまで届いていたようで、それについての説明まで行う事となってしまった。疲れた。



 試製一号戦車の試験結果のまとめを終え、とうとう正式に国産戦車の開発となるのだが、その開発に関して、基本仕様の制作段階間までしか携わることが出来ずに、俺は欧州行きが決まってしまう。何という事だ。



「原大尉、君には欧州で先進的な技術、戦車開発の状況について調査、研究してきてもらいたい」


 そう告げられて、欧州へと向かう事となったのだが、そんな準備のおり、友人と小野田さんが連れ立ってやってきた。


「欧州行きだって?おめでとう、今日は前々から頼んでおいた海軍の話を聞きに行くんだが、一緒にどうだい?」


 友人にそう言われて断る訳にもいかない。最近も小野田さんに色々聞かれ、今日の事も半ばその時に約束されていたのだし。


 そうして三人で海軍省へと訪れ、部屋へと通された。


「慎吾がお世話になっている」


 そこに居た、小野田さんに似た方からそうあいさつされた。なるほど、彼が兄か。


 海軍の現状について様々な説明を受けて非常に感心した。、まさか、あの犬猿の仲といわれる陸海軍にこんな風通しが良い人たちがいるのかと驚きもあったが、この時代にすでに溶接に関して随分具体的か研究が進み、実用化も始まっているというのだ。


「ところで、皆さんはレーダーというものをご存知ですかな」


 はい?


 まだそんなものが日本にある訳が無い。日本で研究が始まるのって10年くらい先だよな。今は1928年、レーダー研究が始まるのが速すぎる。それとも、別の何かだろうか?


「ええ、皆さんが合点がいかないのは当然の事です。まだ、どこの国も実用化していない電波兵器ですから」


 そう言って説明してくれたそれは、明らかに戦後のレーダーだった。この時代のそれとしては違和感ありまくりだ。もしかして、あの神様野郎、他にも送り込んでんじゃないのか?そいつが政治に口出したら終わりだぞ。

 だが、そんなことをここで口には出来ない。


「原さんは技術者でしたね。なかなか感じるものがおありらしい」


 小野田兄が俺を見てにこやかにそう言った。


「はい、非常に驚きました。その様なものが実用化できれば、飛行機や飛行船を、そして船までもすぐさま発見できるでしょうね。戦争の形が変わります」


「さすがに分かっている様ですね」


 小野田兄はそう言って満足していた。そして、それならばとこちらからも一つ話をすることにした。


「電波兵器もそうですが、今、陸軍では装甲車両を作っております。馬に代わる次世代兵器ですが、鉄の塊ですので非常に重く、今完成させた試作戦車など、貨物船のクレーンでの積み下ろしが出来ません。現状、戦車はクレーンの制約によって、戦術や設計上必要とされる要求を盛り込めず、妥協することになりそうなのですが、船から渡り板を岸壁まで伸ばすことで自走で積み下ろしが出来るのではないかと考えております。港が無い場合はハシケに載せて、ハシケから海岸へと渡り板を降ろす構造があれば、クレーンの重量を越えて輸送が容易になると思うのです」


 海軍側の二人はなるほどと聞いてくれた。


「鉄道連絡船のように、自動車を載せる訳か、たしかに、自動車を普及させるとなれば、その様な船も必要になってくる。造船業界に新たな需要を見込めるかもしれんし、海軍としても非常に興味深いですな」


 輸送艦の完成がこれで早まるかもしれんし、RORO船が出来れば、クレーンの制約から解放されることになる。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ