表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/35

何が起きたのかわからなかった

 GWという事で特にする事も無くボケっといつものようにゲームを始めようとしていた。ただ何となく、いつもやってる海戦ゲームというのも味気ないなと思って、本当に気まぐれに戦車ゲームをダウンロードしてしまった。

 特に動機があったわけではない。海戦ゲームと同じメーカーが出しているオンラインゲームで、前々から話題にはなっていた。しかし、わざわざ時間のかかる海戦ゲームをここまでやってきて、戦車にまで手を出そうなどとは考えていなかったに過ぎない。


 しかし、あまりに暇だった。GWだというのにやることは無い。せいぜい海戦ゲームに耽るか、ゴロゴロしているしかない。遊びに行くだって?誰と。


 そんなだからだろう。最近海戦ゲームに行き詰まりを感じて、気が付けば戦車に手を出していた。同じオンラインゲームだからどこかで行き詰るというのに・・・


 だが、ものは考えようだ。もともと先が無い日本戦車で遊べばはじめっから諦めがつく。ドイツやソ連を選ぶと泥沼だ。アメリカ?それは苦行ではないか?最後のご褒美のために自分を痛めつけるほど馬鹿ではない。


 そう思って始めたわけだが、相手も同等の性能でしかない初期は日本戦車でも楽しい。所詮、先はないのだから、この辺りでストレスなく遊ぶ程度で良いだろう。そんなこと思っていたら深夜になっていた。そろそろ今日は終了だと思っていたら、画面に老人が現れた。


「海戦ゲームから戦車ゲームに来たのか。しかも日本戦車、どうだ?ドイツやソ連みたいに強く、おまけに楽をしてみないか?」


 何言ってんだろうと思った。こんなバグは見たことない。ウィルスの類だろうか?


「こらこら、バグでもウィルスでもないぞ」


 老人はそういう。では何だろうか、神様とか馬鹿な事は言って欲しくない。


「バカではない。女神とか期待されても困るぞ。変身は出来んからな。でだ、どうだ?ちょっと戦車を強化して見たくはないか?」


 戦車を強化する?それはどういう事だろうか。


「何、お前さんが戦前に行って戦車開発をして来ればいいんだ。手助けはする」


 ん?タイムスリップものってパラドクスがあるよな?歴史を変えたら自分が消滅するとか、両親が出会わないとか。そういえば、母親が息子に恋をするとかあった気もするが。


「戦車開発によって歴史は変わるだろう。だから、帰ってこれるように手助けすると言っておる」


 だから、戦車開発となると弄るところが多すぎるし。戦局まで左右しちゃうんだよ。工業力上げなきゃエンジン一つまともにならない。溶接の早期導入や変速機の信頼性、言い出したらキリが無いが、そうしたものを向上させたら、ゼロ戦の生産数やら後継機の性能やらと色々なところに波及するじゃないか。


「工業力をいくら上げても政治は変わらんぞ?日本の工業生産が2倍になろうと、石油以外の資源をいくら確保出来ようと、戦争は避けられんし、負けも回避は出来ん。大筋で歴史は変わらないのだから万々歳」


 何言ってんだこいつは・・・、話しにならん。


「帰還特典をやろう」


 開発した戦車とか、そう言うのはどうでも良い。泥沼だからな。


「妹はどうだ?義妹だ、お前さんの大好きな」


 いや、それ、どんなエロゲだよ。


「なら、昔に売り払った田畑があればどうだ?最新農機もつけてやろう」


 そりゃあ、祖父が農業やってた頃はそれも良いと思ったさ。だからと言ってな、今更田畑があったところでどうしろってんだよ。


「わかった、義妹と田畑のセットでどうだ?」


 だからそれがどうしたって話なんだけど。


「・・・ならば、少々お前さんの人生にも細工してやるという事で決まりだ」



 勝手に話をまとめやがって。だから、そう言う事を言いたいんじゃないんだよ!


 文句を言おうとしたら知らない机に座って何やら難しい文章を書いているところだった。はたと書くのをやめて考えてみる。

 

 原乙未生?それが俺の名前らしい。今年は大正12年だと?大正12年は西暦何年だ?え~っと、1923年?

 おいおい、あのオッサンまじかよ・・・


 アタフタしているうちに気が付いたら関東大震災である。よりバタバタすることになったが、俺がやることは一つ。戦車開発。が、まだ自国で開発しようという話が無い。


「原君、君のいう事はもっともだと思う。しかし、我が国にはそれだけの技術力が備わっているとは思えないのだよ」


 中にはそんな事を言う人までいる始末だ。原という名前に心当たりがあった。そして、手持ちに自然にあったタブレットで検索してみたら、「日本戦車の父」という事らしい。なるほど、名前知ってるわけだわ。


 つか、自然に表れたタブレットにも驚いた。パソコンは無いのかと思うと、目の前に出てきやがった。これ、どうすりゃいいの?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ