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異世界転移で兄妹チート  作者: ロムにぃ
第一部 第四章 異世界で孤児院経営
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第十八話 義妹


 ロバートを倒した後、台に寝かされていた男の子を見たが、既に息絶えていた。後少し早ければ助けられたかも知れない。

 牢に入れられていた子供達三人──全員女の子──には命に別状は無かったが、【操心】の影響が切れたせいなのか気を失っていた。

 殺された男の子を置いていくのは気が引けたが、気を失った女の子達を抱えるので精一杯だった為、断腸の思いで諦める事にした。

 生きている女の子達を保護するのが先決と、自分に言い聞かせ孤児院を後にする。

 それからはかなり忙しかった。

 まずは自分達の孤児院へと戻り、サマーリとセリーヌに軽く説明をし、女の子達を休ませる。

 その後に城へと向かい、警備隊に今回の事件の説明。それから現場へと向かい男の子の遺体と証拠品に加え、ロバートの死体も警備隊の手により回収。

 男の子の遺体は共同墓地に埋葬され、ロバートの死体や証拠品は調べる必要がある為、城へと運搬された。

 勿論、ロバートの孤児院は閉鎖。助けた女の子達や、事情を知らない残りの子供達も一時城で預り、他の孤児院に振り分けられるとの事だった。

 全てが終わり気が付けば時刻は既に22時、子供達はもう眠っている時間帯だ。

 それまで俺と椿姫は、案内や説明を細かく行ったのでかなり疲れた。早く帰って休みたいところだ。

 因みに椿姫以外の妹達は孤児院で待っている。案内は全員で無くて良いと言われたので説明役の椿姫と、椿姫一人で行かせる訳には行かないので俺が付いて行ったのだ。

 そして今は件の孤児院から、俺達の孤児院へと歩いて帰っている最中だ。

 

「はぁ、やっと終わったな……」

「そうだね、私も疲れたよ……」

 

 椿姫と二人、夜道をゆっくりと歩いていく。

 それにしても今回の事件、別々に犯人がいるとは思わなかった。それぞれ目的が違う為、繋がっていた訳でも無い。

 サヴェーリオは手段を完全に間違えていた。あれでは命を救えても心は傷付けてしまう。ロバートに関してはそれ以前の問題だ。生け贄など有り得ない。それに気なる事もある。

 

「ねえ、お兄ちゃん」

「ん?」

「あの人を瘴魔に変えた瘴薬って、あの人が作ったと思う?」

 

 そう、その瘴薬に関してだ。案内と説明を行った際に、孤児院の中は全て見回った。だが、薬を作れそうな設備は存在しなかった。それを考慮すると──

 

「その可能性は低いだろうな。あんな物を作れそうな設備は無かったしな」

「うん、だからあの薬は誰かがあげた物。となると──」

「ロバートの背後に誰かがいるって事か……」

「間違いなくね。それにあの儀式……あれも誰かに入れ知恵された可能性は高いと思うよ。あの人は本気で邪神を復活させるつもりだった。自分で思い付いた成功するかも分からない儀式なんて、狂った人以外は行わないよ。確信出来る元情報があるのは間違いないね」

 

 ロバートに瘴薬を渡した人物と、儀式の方法を伝えた人物は同じ可能性が高い。ロバートが狂っていなかったと言えば疑問ではあるが、瘴薬という物が存在した以上、あの儀式で邪神が復活するという可能性は否定できない。

 儀式云々はともかく、ロバートを唆した人物がいることは間違い無いだろう。

 

「なんにせよ、まだこの事件は解決してないって事だな」

「そうだね、でもこれ以上は今は調べようが無いけど」

 

 現場ではこれといった証拠品はほぼ無かった。唯一あったのは瘴薬が入っていた容器のみで、地下の部屋も元からあった部屋らしい。

 警備隊が黒幕の存在に気付いているかは分からないが、あの証拠品だけでは黒幕に辿り着くのは不可能だろう。そして、それは俺達にも同じ事が言える。

 そんな状況で俺達が出来るのは、悪意から妹達や孤児院の子供達が巻き込まれない様に立ち回る、若しくはもし巻き込まれたとしても、それをはね除けられる強さを手に入れる事だ。

 セリーヌ程とは言わないが、エドワード位の強さは欲しい。それには能力値だけの強さだけでなく、剣の技術、心の強さも必要だ。そうすれば、日本にいた頃には習得出来なかった技も使える様になるかもしれない。

 

 ◆◆◆◆◆

 

 あれから数日後、街中の孤児院にロバートの孤児院に居た子供達が割り振られた。

 無論、俺達の孤児院にも割り振られたのだが、その子供達は俺達の孤児院を希望したらしい。

 何故だろうかと思ったが、連れてこられた子供達を見て納得した。警備隊が連れてきたのは、ロバートの孤児院で地下に閉じ込められていた3人の女の子達だったからだ。

 目が覚めた彼女達は警備隊の者に俺達の事を聞き、どうしてもここが良いと言い、他の子達は特に希望は無かった為、この振り分けになったらしい。

 それぞれがアンナ、エリー、エミールという名前で、順に13才、12才、9才との事だ。

 食堂にて全員に紹介し終えた後に三人が住む予定の、まだ使われていない部屋へと妹達全員で案内をする。

 

 「「「あ、あの!」」」

 

 私物を部屋に置かせ、孤児院内を案内するために部屋を出ようとした所で、三人に声を掛けられる。振り向いた俺に彼女達は──

 

「「「わたし達を妹にして下さい!」」」

 

 と、そう言って来た。

 いきなりの事に俺は戸惑う。現時点でも実妹と義妹が合わせて六人もいる。妹が増える事により確かに俺の能力値は増えていく。だが、それだけの理由で妹を増やすのは違う気がする。

 今までは芽衣を除き、本人が望んだ事もあるのと、放って置けない状態だったので妹になって貰った。無論、妹にした時点で同情心ではなく、一人の妹として扱っている。

 ユーリの時は深く考えずに妹にしてしまったが、これ以上妹が増えれば、全員に目が行き届かない可能性も出てくる。それに俺自身が彼女達の事を妹と思っていなければ、形だけの兄妹になってしまう。

 それに妹にしなければ壊れてしまうという状態でもない。ただ、彼女達の気持ちを無下にも出来ない。

 

「すまないが、考えさせてくれないか? 今すぐには返答出来ない」

「はう……」

「そ、そうですか……」

「あ、あの、それじゃ、まずは義妹からでもいいので!」

「ん?」

 

 義妹と言う言葉に疑問が浮かぶ。妹にしてくれという事は義妹になるという事ではないだろうか? それなのにまず義妹からと言うのは意味が分からない。

 

「あ、お兄ちゃん、義妹と言うのは一時的に妹にするって事だよ。ヒルティちゃん達の場合は、一時的じゃ無くてずっと妹にするって形なの。妹とは絶縁出来ないけど、義妹とは出来るって感じかな。兄妹神が国教の国では当たり前の法律なの。例外はその妹と結婚した時だけだよ。その場合でも、その妹は妹妻って形になるんだけどね」


 そんな法律があるのか。ユーリの時にそれを知っていれば、まずは義妹からとすれば良かったが、絶縁出来ないのなら今更どうにも出来ない。

 それにしても妹と結婚すると、妹妻って言うのになるのがよく分からない……。

 

「取り敢えず義妹なら当人同士が兄妹に向いていないって納得すれば、他人に戻る事が出来るよ」

「成る程な……」

 

 それなら良いのかも知れない。馬が合わなくて一生家族になるとか、どちらも不幸になってしまう。その点義妹ならこの問題は発生しない。

 ふと、三人に視線をやると不安そうな表情でこちらを見ていた。

 俺はなるべく表情を緩め、椿姫の方に向けていた顔を彼女達に向ける。

 

「分かった。取り敢えず義妹という形で。もし俺が兄に相応しく無いと思ったら、何時でも言ってくれ。本当の妹にするかは俺が妹として認識出来る様になってからで良いか?」

「「「は、はい! よろしくお願いします! お義兄様!」

 

 三人が嬉しそうな顔で元気よく返事をする。その表情を見て、本当に俺の妹になりたかったんだなと理解する。直ぐにでも妹にしてしまいそうになったが、流石にそれは止めておく。

 そして、三人を彼女達の部屋に残し、俺達は自分達の部屋に戻った。

 

 ◆◆◆◆◆

 

「それにしても、義妹なんて制度があったんだな。椿姫は元から俺の妹だし、芽衣も似たようなものだ。だが、ヒルティ、サマーリ、コロナ、ユーリは俺が一生の兄で良かったのか? 今更どうにもならないんだろうが……」

 

 俺の言葉に四人共が後悔していないといった表情を浮かべる。

 

「もちろん後悔なんてしてないの! にぃにの妹になれて良かったの!」

「わたしもです。あんな風に私を救ってくれた兄上様は、最高の兄上様です」

「お二人の仰る通りです。こんなに最高なお兄様の事を、お嫌いになるなんて事あり得ません」

「確かにあたしはまだ一刀兄さんの事はよく知らないですけど、後悔なんてしてません」

 

 三人の言葉は嘘偽り無いと感じられる。どうやら俺の杞憂は的外れだったようだ。

 

「そうだ。お兄ちゃん、義妹って能力面ではどうなってるの?」

 

 椿姫に問われ俺自身も気になり、能力を表示する。すると新たな称号が増えていた。

 

「『義兄妹』とかいう称号があるな。効果は……義兄は基本値の義妹の人数掛ける一割の能力値上昇だな。義妹は二割上昇となってる。但し、義兄妹では兄妹神の加護は義妹には付与されないらしい」

「成る程ね、当たり前だけど本当の兄妹程では無いんだね」

 

 他に変化している所は見られない。俺は表示されている能力を消した。

 と、そこで扉が叩かれる音が部屋の中に響く。

 

「どうぞ」

 

 それにサマーリが短く許可を出す。そして、開かれた扉から部屋に入ってきたのはククリだった。

 

「あ、あの今は大丈夫ですか?」

「ああ、何かあったのか?」

「お、お兄さんにお客様が来てまして……」

「客?」

「は、はい、お城からベルンハルト様の使いだと言われる方が……今は院長室に通しています」

 

 何の用だろうかとは思ったが、聞けば分かる事だと思い直し院長室へと向かう。

 院長室の応接セットの長椅子側には、一人の男性が座っていた。彼が城からの使者なのだろう。

 使者は俺達が入ってきた事に気が付くと、立ち上がり頭を下げてきた。

 

「お初にお目にかかります、一刀殿。わたくし、ベルンハルト様よりの使いでロベールと申します」


 使者の名乗りに、俺は自身と妹達の紹介をし使者の対面へと座る。俺の横には椿姫が座り、他の妹達は俺の後ろに立つ。使者が長椅子に座ったのを確認して用件を聞く。

 

「実は先日孤児院地下から押収した証拠品から判明した内容と、ベルンハルト様から貴殿に依頼をしたい事があると言付かっております。詳しい事は城でベルンハルト様ご自身から話されるという事でしたので、城にお出で頂けたらと本日はお伺い致しました」

 

 あの事件の顛末は俺も気になる。依頼の方は内容が想像つかないが、城に行かないという選択肢は存在しないだろう。

 明日の午後に来て欲しいとの事だったので、使者は俺が必ず行くと言った事に、安心した顔をして城へと帰っていった。

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