表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移で兄妹チート  作者: ロムにぃ
第一部 第四章 異世界で孤児院経営
68/90

第一話 今後

すみません、大変お待たせ致しました!


 あれから3日、俺達は未だ港湾都市プレンツィアに滞在していた。

 理由は勿論ある。エドワードとベルンハルトから、アギオセリス王国との交渉が終わるまではここに留まってくれと言われたからだ。そのエドワードは2日前にトゥレラ王国の使者と共に、アギオセリス王国へと出立している。

 俺達は旧トゥレラ王都に直ぐ戻る必要もない事と、身体を休める事、それに加えて今後の事を話す必要もあり、言われた通り領主の城で寝泊まりをしていた。

 そして今日充分に身体を休めた俺達は、今後の事についての大まかな主題を決め話し合っていた。それは──

 

・森とこの街で助けた子供達をどうするか。

・前回での話し合いでも出た生活基盤と拠点の確立。

・取り戻した封印珠でのヒルティの精霊魔法の解放。

 主に以上の三点についてだ。

 

「早急に対応が必要なのは子供達をどうするか、だな」

「うん、この城に集められていた食料があるから、直ぐに餓える事は無いだろうけど……」

 

 食料の生産が止まっているこの状況では、いずれ食料は尽きる。ベルンハルトから聞いた話によると、殆どの農村が生産不能状態に陥っているらしい。

 長期に渡る圧政と、今回の強引な連行に伴う抵抗した中年層の大量殺害、食料不足による体力の低下及び餓死者の大量発生、商人のトゥレラ王国からの撤退等々、様々な要因により、食料生産や確保を行える者が激減しているからだ。

 港湾都市ならではの海産物に関しては、まともに操船出来る者が圧政により出奔してしまい、現状は期待は出来ない。

 それに何時までも全員が城に住める訳ではない。この国がアギオセリス王国と合併するのなら、賓客である俺達はそのまま住み続ける事は可能だろうが、保護した子達までは流石に対象外だろう。となると食料事情に問題の無い、旧トゥレラ王都に戻るのが良いと思われるが……。

 

「人数的に厳しいと言わざるを得ないです……」

「だよな……」

「……森で保護した5人と、この街で助け出した68人の内、親や保護者が居たのは一部しか居なかったからね……。孤児は50人は居るよ。その内女の子が40人かな」

 

 この50人には森で保護した5人も含まれる。連れ去られた彼女らの兄もまだ成人していなかったので、保護者足り得なかったのだ。因みにその兄達も人数に含まれている。

 それはともかく、この人数での移動はかなり無理がある。

 

「そうですね。この規模の人数が乗れる馬車の手配は現状では不可能でしょう。徒歩で向かうのは体力的にも厳しいでしょうし、その間の食料確保もこの国の現状では厳しいものになります。アギオセリス王国との交渉が纏まったとしても、まずは国民がまともに生活出来る事が最優先になるでしょう。とても移動の手配までは手が回らないと思われます」

「となると、皆この街で住ませるのが一番かな」

「はい、ですが保護者となる方がおられないので、未成年の子達は孤児院に入れられる事になるでしょう」

「数人は成人してたな。その子らはどうなる?」

「基本的にはこの街が復興するまでは援助を受けられるでしょう。ですが、復興が完了すれば独自で生きていかねばなりません」

 

 その際に仕事が見付かる可能性は絶対ではないだろう。復興したとしても、まともに仕事があるとも限らない。下手をすれば、その身を売る仕事に就かざるを得ないかも知れない。職業に貴賤はないとは言うが、好きでも無いのにそういった仕事に就くといった事態は好ましくない。

 助けた側としてはそれは余り良い気分のするものではない。

 

「……その孤児院では成人は受け入れられ無いのか?」

「成人した方の保護までは不可能でしょう。職員として雇う事も不可能では無いですが、それほど多くは雇えないと思われます」

 

 コロナの説明に、現状全員を安定させた生活を送らせるのは厳しいと感じた。

 自分のエゴの為に助けたのは確かだ。だが助けるだけ助けて、後は放置というのはしたくない。それでは助けた意味がない。

 俺が悩んでいると、椿姫から提案が上がる。

 

「あの……その孤児院を私達が経営する事は可能かな? それなら、国費で賄えない分は自分達で稼げば良いわけだから全員を保護出来ると思う。要するに皆を養える程お金持ちになれば良いんだよ」

「みんなと一緒、楽しそうなの!」

「うん、とても楽しそうだね!」

「もし、そうなればわたしが皆のお世話をしますね」

「……それはかなり大変じゃないか? 50人……俺達を含めれば56人だぞ?」

「でも、後はお兄ちゃんが領主か、この国の王になって制度を変えるしか方法は無いよ。実現するには今のところはかなり厳しいけど」

 

 不可能とは口にしないところを見ると、実現は可能なんだろう。まあ、俺ほど為政者に向いていない人間もいないので、なるつもりはないが。

 後、ヒルティと芽衣とサマーリは、単純に人が増える事に楽しそうにしている。

 

「それでどうかな、コロナお姉ちゃん?」

「……そうですね、お兄様のお陰で囚われていた子供達も無事でしたし、偶然とは言え国王も捕らえる事が出来ました。その功績をもってすれば、孤児院を報奨として頂ける事も可能でしょう」

「頂ける? それって国じゃなくて、お兄ちゃんが孤児院の所有者になるって事だよね。あ、国の管理じゃなくて、個人所有なら年齢制限も関係ないからかな」

「はい。それに国の管理では報奨にはなりませんから。それではただ国がお兄様を孤児院の管理者として雇っているだけになりますので。個人所有の孤児院となれば、国に縛られる事もそれほどないでしょうし、決まりも自分達で決める事が出来ます。それと個人所有の孤児院でも、国から補助金も給付される可能性もありますので、金銭的な余裕は多少は出来るかと。その代わり査察が入る可能性も出てきますけど」

 

 補助金が出るかどうかはともかく、それならば全員が住む事は可能だろう。全員の食費を稼げるかは余り自信はないが、他に現実的に可能な案は出せそうもない。

 

「分かった、それで頼む」

「はい、交渉はわたくしにお任せ下さい」

 

 子供達をどうするかの目処はついた。後はその為の生活基盤をどうにかしなければならないが、それはこの街の復興が進まない限り、どうにも出来ないだろう。

 まあ、復興の際に仕事は色々あるだろうから、暫くはそれで糊口を凌ぐしかない。

 そして、最後にヒルティの封印珠についてだ。

 

「ヒルティ、封印珠についてだが、確か準備が必要と言っていたが、どういったもの何だ?」

「えっと、かなり大変なの。まず、儀式は月光が満ちている時のみしか出来ないの」

 

 月光が満ちているとは、地球で言う満月の事だ。この世界では一ヶ月に一度訪れるのだという話だ。そして、次の満月は半月後らしい。

 

「ほかには儀式の三日前から、全ての男の人と会う事が出来ないの……」

 

 非常に悲しそうな表情のヒルティに、それが俺も含まれる事も察した。

 

「成る程、その間はヒルティの顔を見る事も出来ないのか……」

「うう……とても辛いけどがんばるの! 精霊のみんなに会いたいから……」

「そうか……ヒルティに会えないのは俺も辛いが、ヒルティの為だ我慢しよう。だから、終わったら一杯一緒にいような?」

「うん、なの!」

 

 元気よく頷いたヒルティに先を促す。

 

「えっと、他にはある物が必要なの」

「ある物?」

「それは『精霊の涙』なの」

「『精霊の涙』?」

 

 名前の通りなら精霊が流した涙なのだろうが、何となくそれだけでは無い気がした。

 

「それは精霊と契約した妖精族が亡くなった時に、精霊が流す涙の事なの。だからとても貴重なの」

「それは……手に入る物なのか?」

「それは……大丈夫なの、もう……持ってるの」

 

 だが、そう言ったヒルティの表情はとても哀しげなものだった。

 それはきっとヒルティの大事な──

 だから俺はそれ以上を聞く事は止めた。

 

「後は儀式についてなの。儀式の日はにーにに手伝って貰わないといけないの」

「俺に? 一体何をすれば良いんだ?」

「え、えっと、それは……ひ、秘密なの! その時に教えるの!」

 

 何故か顔を真っ赤にして、ヒルティは儀式の内容に関しては教えてくれなかった。

 ただ、ヒルティが兄と認識している存在が、儀式には必要なのは確かなのだと。

 血が繋がっていないとはいえ、ヒルティも今や俺の妹だ。どんな儀式かは知らないが、妹の笑顔の為ならば何でもするつもりだ。

 

「それでは、わたくしはベルンハルトに孤児院の話をしに行って参ります」

「あ、わたしもご一緒します」

「ああ、宜しく頼む」

「「はい!」」

 

 コロナとサマーリは大きく返事をして、俺達に宛がわれた部屋を後にする。

 

「それじゃ、シノン達とククリ達に孤児院の件を話しておくか」

「そうだね、話は通してた方が良いと思うよ」

 

 そうして、俺達はコロナとサマーリを除いた全員で、子供達に与えられている一角へと向かう。一角と表現したのは、城とは言え流石に50人もの人数が全員泊まれる部屋は無く、複数の部屋に分かれているからだ。

 5人ずつで女子部屋8部屋に男子部屋2部屋に分かれている。

 まず、俺達はシノン達5人に宛がわれた部屋へと向かった。

 ノックをして名前を言うと、すんなりと扉が開き、中へと案内された。

 

「それで、にいちゃん達の話って?」

「ああ、シノン達の今後についてだ」

 

 すると、シノン達の表情が不安げなものになった。

 

「えっと……あたし達って孤児院に入れられるのかな?」

「ああ、それは間違いない」

「……そっか、やっぱりにいちゃん達と一緒にはいられないよね……」

「いや、そんな事はないぞ?」

「え? どう言う事?」

 

 不安げなものから不思議そうな表情に変わったシノン達に、先程話し合っていた事を伝える。

 すると一転、全員が嬉しそうな表情へと変わった。

 

「そ、それじゃ、あたし達はにいちゃん達と一緒に住めるの?」

「ああ、確定ではないが、ほぼそうなるだろう」

「やった! えへへ、うれしい……」

「殆ど初対面の人間と住む事になるが、そこは問題ないか?」

「うん、問題ないよ。その子達もにいちゃん達が好きなんだよね?」

「うん? まあ、少なくとも嫌われてはいないとは思うが……」

「なら、大丈夫! きっと仲良くなれると思うから」

「ああ、宜しく頼むな」

 

 そう言って、俺達はシノン達の部屋を後にする。シノン達は残念そうにしていたが、ククリ達に同じ話をしに行くと言ったら、素直に引いてくれた。

 ククリが居るのは、シノン達の部屋から出て右に3部屋隣になる。

 ノックをして名前を言うと、シノン達の時と同じ様にすぐ中に案内された。

 部屋にはククリ以外に未成年の子が4人もいたが、内容的に聞かれる事は問題無いので、そのまま用件を伝える。

 

「ククリ達の今後について話に来た」

「私達のですか……? 確か未成年の子達だけ孤児院に入れられるんですよね?」

「いや、成人した子も含めて全員を孤児院に迎えるつもりだ」

「え、でも、普通は無理じゃ……」

 

 戸惑うククリに先程シノン達にも話した事を説明する。

 すると、先程まで諦めた様な表情が安堵の表情へと変わる。

 

「良かったです。他の成人した人はともかく、私には何も取り柄がないから……。あ、勿論、孤児院の経営の手助けはします。大した役には立たないかも知れませんが……」

「そんな事はない。サマーリを除いた俺達は基本外出が多くなるだろうから、サマーリと共に子供達の世話をお願いしたいと考えてるからな」

「は、はい、頑張ります……!」

 

 それから、この話を他の子達にもしてくれるようにククリに頼み、俺達はククリ達の部屋を後にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ