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異世界転移で兄妹チート  作者: ロムにぃ
第一部 第二章 異世界で冒険者活動
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第九話 組合


 今、俺は夢を見ているのだと直ぐに理解した。

 

 それはもう失われた光景──

 

 無邪気に笑う俺達を、両親が嬉しそうに見ていた。

 それを見て、俺もまた嬉しくなる。

 こんな日々がずっと続けば良いと思った。

 

 幸せだった──

 

 そんな幸せを分かち合える存在がいた。

 ずっと一緒に居る、とても大切な存在。

 手を繋ぎ二人で両親を見上げ、笑い合う。

 その子の顔を見ようと顔を横に向けた瞬間──

 

 ──俺は目を覚ました。

 

「ここは……」

 

 見慣れない天井に一瞬ここが何処か分からなくなるが、直ぐに今までの事を思いだし、ここが何処だったかも思い出す。

 あの時の夢を見た朝は何時も頭が冴える。寝起きにも関わらず頭の回転も早い。

 そんな心地よい気分を維持したまま、身体を起こそうとして──起こせなかった。

 腕を動かそうとしても動かせない。指もしっかりと何かに絡め取られ動かせない。

 身体を起こそうとしても、何かが上に乗っているかのように──というより実際に乗っている。というか、俺は起きた時から既に原因が分かってはいたが。

 幸せだった時の夢のお陰か、昨日の夜の事もしっかりと直ぐに思い出せる。

 右腕にはサマーリ、左腕にはヒルティ、それぞれが身体全体を使い俺の腕に抱きついている。しかも手は指を絡ませしっかりと繋がれている。

 そして、身体の上には俺に抱き付く様にして眠る椿姫。

 そんな可愛い妹達に囲まれ、今日夢見が良かったのは妹達のお陰かもな、と思う。

 起こすのも悪いので、それぞれが自然的に起きるまでそのままの状態で待つ事にしたのだった。

 

 ◆◆◆◆◆

 

 暫くして全員が目を覚ました後は、食事をこの部屋で取り冒険者組合に行く準備を行った。だが、その際に問題が一つ発生してしまった。

 問題とはサマーリがまだまともに歩ける状態ではなかったからだ。

 初めはサマーリをこの城の侍女に任せ、サマーリを除いた四人で行こうとエドワードから提案があったが、サマーリが一人で残るのは不安だと訴えて来たのだ。

 

「ごめん、なさい……一人はまだ怖いです……」

 

 涙目で震えながらそんな事を言われれば、置いていける訳も無く、別の案を考える事になった。

 サマーリが歩ける状態になるまで待つ案で決定しかけた時、侍女の一人がとある物を持ってきてくれた事により問題は解決した。

 

「車椅子か、この世界にも存在するんだな」

「地球の物と比べると見劣りするけど、最低限の機能はあるね」

 

 侍女が持ってきてくれた車椅子は一応フレームは金属製ではあるが、光沢が無く無骨なデザインで、車椅子としては最低限の機能を持った物だった。

 座面や車輪には何かの革が貼られていたが、弾力は余り無く長時間座っているとお尻が痛くなりそうだ。だが、それも座面に毛布を敷く事により軽減させる工夫を行う事により一応解決した。

 アギオセリス王国に行けば、もっと高性能な物があるらしいが、今この場に無ければ何の意味もない。無い物ねだりをしてもしょうがないので、この車椅子にサマーリを乗せ出発する事にした。

 

 ◆◆◆◆◆

 

 冒険者組合は商業地区にあるらしく、城の南門より出て歩いて向かう事になった。

 馬車という案もあったが、治安維持や物資輸送に使われ出払っているとの事だった。

 そんな訳で歩いて行く事になり、今は目抜通りを南に直進している。

 エドワードが先頭で後方を離しすぎない様に歩いており、その数歩後ろを車椅子に乗るサマーリとそれを押す俺、その右側にヒルティ、左側に椿姫といった並びだ。

 目抜通り沿いには所々店を開いている者もいるが、やはり未だ活気がない。まあ、それも仕方がない事だろうが……。

 それでも、馬車にて連行される際に見た状況よりは格段に良くなっている。

 少なくとも、この目抜通りでは狼藉を働く者の姿は見受けられない。

 その代わりでは無いが、あちこち巡回を行っている厳しい表情をした兵士を見かけた。少し息苦しいものは感じるが、犯罪が横行しているよりはましといえる。

 そうして城を出て約一時間程歩いたところで、目的地へと辿り着いた。

 

「ここが冒険者組合か……こう言っちゃ何だが……大丈夫なのか?」

「あ、ああ、こりゃ、俺もここまでとは想像してなかったわ……」

「ここに入るの……?」

「ちょ、ちょっと怖いの……」

「これは凄まじい物ですね……」

 

 そう言った俺達の前に存在する二階建ての建物は石造りではあるが、周りの家同様にあちこちが崩れており、中規模の地震でも起きれば崩れ落ちそうな佇まいをしていた。

 冒険者組合と、この世界での文字──技能のせいか普通に読める──で書かれてはいるが、看板も斜めになっており、今にも落ちてきそうだ。その外見から冒険者組合がまともに機能しているか、非常に疑問だ。

 

「まあ、街中の建物は大なり小なり似たような状態だからなぁ……。俺もちょっと不安だが営業はしてるかも知れねぇし、行くだけ行ってみようぜ」

「……そうだな、ここまで来て何もせずに引き返すのもな……」

 

 逡巡しながらも、恐る恐るといった感じで扉を開け、俺達は冒険者組合の中へと入る。入った瞬間──俺は早くも後悔し始めた。

 その理由は、俺達が入った瞬間向けられた怪訝な視線が、直ぐ様こちらを侮っているような、値踏みするかのような視線へと変わったからだ。しかもそれが、受付にいる一人の老人以外全員がである。これで後悔するな、と言うのが難しい。

 しかし、このまま入口で突っ立っていても仕方がない。そう思い、一歩踏み出した瞬間だった。

 

「おい、そこの車椅子に座ってる女。お前もしかして、ビックスの奴隷じゃねえか?」

「……っ!」

 

 テーブルの上に行儀悪く座っている、いかにもならず者といった風貌の男の言葉に、サマーリが身体を震わせ、自身の身体を守るかの様に抱き締めている。男の奴隷という言葉と、それに反応したサマーリの姿に、俺は一つの答えが浮かぶ。

 恐らくこいつは、サマーリを奴隷にしていたビックスとかいう奴の仲間なのだろう。

 サマーリの反応からして、もしかしたらこの男からも暴行を受けていたのかも知れない。

 

「……その反応間違いねえな……するってぇとビックスを殺ったのは……てめえらか!?」

 

 俺は震えるサマーリの肩に後ろから手を置き、耳に顔を寄せて大丈夫だと声を掛け、落ち着かせようとする。それと同時に、左右に居た椿姫とヒルティがサマーリの手を握る。

 それで漸くサマーリの震えが止まり、もう大丈夫ですと返事を返してくる。

 

「おい! てめえら、俺を無視するんじゃねえぞ!」

 

 質問に答えなかった俺達に業を煮やしたのか、男が激昂する。

 俺は目を細め、相手を威圧するように気迫を込めて男の質問に答える。

 

「そうだ、この子は俺があの男を斬って助けた。だからもうこの子は奴隷じゃない、誰のものでもない……何か問題があるのか?」

「ぐっ……こんな餓鬼に俺がっ……くそがっ! てめえら、殺るぞ!!」

 

 俺の気迫に気圧され一瞬怯んだが、悪態をつき周りの男達へと合図を送る。

 その合図で周りの男達が、椅子やテーブルから一斉に立ち上がり各々の武器を抜き放つ。立ち上がったのは受付の老人以外全員だ。

 

「……おいおい」

「こりゃまた想定外だな……まさか全員とはな」

「二階にもいるね、全部で……えっと40人位かな、でもお兄ちゃんなら負ける要素は無いよね」

「サマーリねーねはヒルティが守るの!」

「兄上様が勝利すると、わたしは信じていますから」

 

 何故か妹達がやる気満々だ……というかサマーリはさっきまで震えてなかったか?

 それは兎も角、俺は建物の構造や敵の配置をざっと確認する。

 一階ロビーは受付カウンターの所までは吹き抜けになっており、受付カウンターから奥の上部が二階になっていた。そして一階ロビーのテーブル周りには約20人おり、その殆どが近接武器の類いを持っている。手すり越しに見える二階にも約20人程おりその殆どが弓の類いを持ち、少数だが杖を持っている者もいる。

 その手慣れた配置に、普段からこういった事を行っているのだと伺える。

 だがそれらとは別に気になる点があった。それは半分以上の人間が、サマーリが着けていた奴隷の印である首輪と同じ物を着けていたからだ。

 恐らく嫌々従っているのだろう。表情が浮かない者が殆どだ。

 とりあえず、一通り見回したが強い奴は居なさそうだ。

 

「はっはっはっ! 此方の姫様方は勇ましいな。よし、姫様方への攻撃は俺が通さねえ、あいつらの制圧はお前らに任せる。見たところ飛び抜けて強い奴もいねえしな。但し、今回はなるべく殺すなよ。背後関係や残党の有無の確認があるからな」

「分かった。だが、サマーリは外に居た方が良くないか?」

「……兄上様、すみません扉越しとはいえ、一人になるのは……まだちょっと怖いです」

「そうか……それじゃ俺達の後ろから出るんじゃないぞ。椿姫にヒルティは行けるか?」

「私は大丈夫だよ! 何時でもいけるよ!」

「ヒルティも大丈夫なの!」

 

 ここに来るまでに、二人の技能を詳しく聞いていたので、こういったもしもの時の対応も決めていた。これから行うのはその内の一つだ。

 そうと決まれば、俺は早速動き出す。相手が動くのを待つ必要は無い。

 まず、目指すは先程俺達と話した男だ。今までの感じからして奴がこの集団のリーダーの可能性が高い。

 俺は【突】の構えの状態で力強く床を蹴り、相手に認識出来ない速度で一気に間を詰める。間合いに入った瞬間、躊躇せず鞘に納まった状態の刀を相手の鳩尾に突き込んだ。

 

「なっ! げはぁっ!!」

 

 相手が俺の動きを認識した時には、もう既に鞘の先端である(こじり)は相手の急所を捉えており、相手に何もさせずに一人目を沈める。

 そんな俺の速攻によりいきなり一人倒された事に、他の男達は動揺し動きが止まっていた。そんな隙を見逃す筈もなく次の相手へと目標を定める。

 次々と俺が手前の男達を倒している間に、椿姫やヒルティの声が時折聞こえ、魔法という現象を生み出していた。

 

「【雷矢(ヴェロケラヴノス)】!!」

「【疑似精霊(プネブマプセマ)】お願いなの!」

 

 刀を振るいながら後方に目をやると、二階を中心に椿姫の雷で出来た矢や、ヒルティの呼び出した光の玉の様な精霊から精霊自身を小さくした球が放たれる。

 その度に二階は人が倒れた様な音が響き、順調に数が減っている事を知らせてくる。

 時折男達から放たれる矢や魔法は、俺やエドワードの剣により薙がれ、その役目を果たせずに叩き落とされ俺や妹達に届く事は無い。

 建物の扉を背にし、椿姫とヒルティがサマーリの脇を固め魔法にて後方支援を行い、その三人の前にエドワードが陣取り三人を守り、そして俺が前面の敵を各個撃破して行く。そうして、数分後には立っている者は俺達だけだった。

 その後、俺とエドワードで手分けして、【収納空間】という生物以外は収納出来る空間に入れていた、城から出る前に渡された縄で男達を縛っていく。

 椿姫とヒルティにはサマーリの護衛と、もし動き出した奴がいれば魔法で動きを止める様に指示をした。

 重傷を負っている者はいるが、命に関わる程ではないのでヒルティに回復させる必要もないだろう。

 倒すのより拘束する方が時間が掛かったなと思いながら、ふと受付に視線をやると戦闘開始から今まで、微動だにしていない老人の姿が目にが入る。

 この状況で動揺すらしていない、見た目普通の老人の様子に、もしかしたら只者ではないのかと思いながら、一言謝る為に近づく。

 カウンター越しに目の前に立って、漸く俺はそれに気付いた。

 ──老人は座った状態で目を開いたまま気絶していた……。

人物紹介にちびキャラメーカーで作ったキャライメージを追加しました。

素材がもう少し多ければ、もっと凝りたいんですけどね……。

作者に絵心は無いので、こういった形でしか画像は作れないです……(^^;

きゃらふとでも作ってみました。

キャライメージをちびキャラメーカーからきゃらふとに差し替えました。

第三話装備にて椿姫と一刀の装備差分の画像を載せました。

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