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モンスターはハントしない

説明パートが続きます。


 六人をテキトーにあしらった後、サカキの応援をしに行こうと思ったのよ。 あ、あくまで応援よ。 手伝うつもりはなかったわ。 でも、雑魚の一人が足を掴んで話し出したの。


「ま、て。 ひとつ、教えてやる。 貴様がどれだけ強くても、あの人には、敵わない」


「はあ? そんなのどうでもいいから足掴まないでくれる? 汚いんだけど」


「そういってられるのも、今だけだ。 あの人の、()()()()の前には、誰もが平等……」


「…………アンタ、今何つった? 遺物(レリキア)なんて戯言たわごと抜かすなんていい度胸してるわね」


 まあ、この時たかが人間の分際で遺物レリキアを知ってる時点で疑うべきだった。 これに関しては失策だったと思うわ。


「ったく、いい加減に手を離しなさいよ!! うざったいっつーの!」


 足にへばりついてるのを蹴り飛ばして、やっと向かえるって思ったら突然目眩がして立っていられなくなったの。


「く、なによ、これ。 私が、魔術に? ありえない……!」


「かかっ……たな。 足をよく、見ろ。 それは、あの人から貸していただいた力、その一端。 貴様ごときに防げるものではな、い」


「わけ、わかんないこと、言ってるんじゃ……」


 さっき掴まれてた所が紫色に染まってて、それを見てからの記憶は無くて、気づいたらこんなところにいたってわけ。

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「これで全部。 今思えばあれは遺物レリキアの力だったのかしらね。 いや、私が倒れたんだからそうに決まってるわ」


「どうかしら。 ザリアは意外と抜けてる所あるから、もしかしたら魔術にかかっただけかもなの」


「それはない。 女神の沽券に関わるしね」


「でも、結果として捕まってここにいる」


「ぐぬぬ、それはそうだけど」


「ぐぬぬだって。 ザリア相変わらず面白いの」


「死ね。 ぐぬぬって言って死ね」


「死ねないの。 それよりいつエクス達が迎えに来るか賭けた方がましなの」


「じゃあ私は明日の夜まで。 サカキならすぐ来てくれるわ」


「わたくしは三日後の夜にする。 負けたら罰ゲームなの」


「いいわよ。 後でやっぱりなしなんて言わないでよね」


「こっちのセリフなの」


 二人だけの女子会はまだ始まったばかり。 夜は、長い。

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「イルナちゃんごちそうさまー。 また明日もよろしくねー」


「ありがとうごさいますー。 サカキさんは嫌いな物ありませんでしたー?」


「ごちそうさま。 いや、なかったよ。 好き嫌いは少ないんだ」


「わかりましたーそれはよかったですー!」


 本当に、イルナは気がきく子だ。 年上なんだけどね。 よし、ご飯も食べたことだし、エクスと楽しいお話でもしますか。


「おい、エクス。 さっきの続きを聞かせてくれ」


「そうだったっけ?」


「そうだ。 十分後に俺の部屋でいいな?」


「りょーかーい」


 なんだか気の抜けた返事だな。 真面目な話をすると思っていたから拍子抜けしてしまう。 もしかして本当に大した話じゃないのかも。 ま、十分間部屋でスキル一覧でも眺めてるか。




「スキルかー。 素養ってのも関係してるんだったか」


 一覧を見直していると昼の話を思い出した。 俺が《CQC》を取得出来たのも素養が原因とか。 でも学校の授業で柔道をやる人もいるし、特別って事じゃないだろうな。 取る物好きが少ないだけだと思う。 使って思ったけど、そもそもCQCスキルは使いにくい。 恐らくスキル発動のためには特定の動きが必要なんだろうけど、まずその動きがわからない。 それと、体が勝手に動くのも気持ち悪い。 俺本来の力だけだと気絶させるには至らないし、ブーストかけてるのは分かる。 でも、気持ち悪いものは気持ち悪い。 本当に絶妙に不便なスキルだ。 せめてスキル発動条件が分かればなぁ。


「あ、そうだ。 スキルに《鑑定》は使えないのかな?」


 いけそうな気がする。 スキルの詳細を知るにはこれが一番じゃね? スキル一覧を開きながら、意識を向けて……


「《鑑定》 おお、出た! もっと早くに気づけば良かった!」


 スキルの使い方も教えてくれないなんて不親切だと思ってたけど、こうすれば良かったのか。



 《CQC》スキル レベル1


 解放済み:【打撃補正(小:)】 【掴み(腕)】


 次の解放:レベル2



 ……これは、えーと、なんだろう、思ってたのと違う。 取扱説明書みたいなのが出てくると思い込んでたのがいけなかったな。 よし、よく見てみよう。 まず一行目、『CQCスキル レベル1』。 これが意味する所は、スキルにもレベルが存在するという事。 マジで? 何そのやり込み要素。 多分熟練度的な話だと思うんだけど、つまりスキルを取っただけだとあんまり意味ないって事なのか? だとすると、スキルってかなーりシビアなシステムに思えてならない。


「でも、きっとそうなんだろうなー。 スキルを使う毎にレベルが上がっていって、使える技も増える、そんなんだろうなー。 なんだかこの世界転移者に厳しくない? 転移した所に古竜がいて、最寄の街は盗賊の街。 うーんハードモードかな?」


 現実逃避したくもなるが、ここで生きてくしかない以上は受け入れるしかあるまい。 そういえば、熟練度によって『スキル』が解放されるんだから、普通の人にとってはスキル取得は通過点に過ぎないのか。 それに、俺には幸か不幸か古竜のおかげでスキルポイントだけはある。 スキル取得の方向性の修正がある程度効く。


「無闇に取得するとスキルレベルがどれも中途半端になるから、ある程度メインを絞って、それからーー」


「それから、サブのスキルでサポートかな? 順当だと思うよ」


 独り言をブツブツ言ってるのにエクスが部屋に突入してきた。 ノックの文化はこの世界には無いのか?


「そりゃどーも。 俺のことはいいからとっととコレについて説明してくれ」


 ベッドの上に置いてある木箱を開け、中のSAAを机に置いた。


「そうだね、女神様の残りの時間も限られている。 ズバリ言ってしまおう。 それは君の知る拳銃とはまるで異なる、遺物(レリキア)と呼ばれる魔道具の一種だ」


 また知らない単語だらけだ…… この世界は小難しい説明好きな奴ばっかだな! ありがたいけどさ!


遺物レリキアっていうのは深くは話せないんだけど、簡単に言えば『君のいた世界の物とよく似てるけど本質的に違う物』だ。 なんとなく分かる?」


「なんとなくならな」


「それでいいよ。 例えば君のそのSAAは見た目こそ似ているけど、使い方がまるで違う。 本来鉛の塊を火薬の力で飛ばして相手に当てる物だけど、コレは銃弾ではなく魔結晶を込めて魔結晶の中の魔術に『線と点』の指向性を持たせるんだ。 ここまでオーケー?」


「おーけー」


 おーけーじゃないかもしれないけどおーけーだ。 大丈夫、最後に質問すれば何とかなる。

RPGで言うと中盤くらいの街です。 なのでモンスター討伐だーって飛び出すと即死というニアミス。

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