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作戦立案

キリがいいのですこし短めです。


9/10 修正しました 1ドル=1G→1円=1G


「さて、コイツだけでも縛ってから行くか」


 我に返ったさっきの五人が戻ってこないとも限らないし、リーダーの男を縛って草むらに放って置くことにした。 紐が無かったので仕方なく男のベルトを使ったが、二度とやりたくない。 ついでに


「もうこの辺にはザリアはいないか。 まだ捕まってないといいけど……」


 追跡スキルで足跡を探り、比較的新しめの方へと進むと、ある一箇所で足跡が固まり、その後二本の線と動物の足跡が街に向かっているのが分かった。 オマケにザリアの服の切れ端のような物がこれでもかとわかりやすく置いてある。


「一番最悪な展開ときましたか。 笑えねえなマジで。 てかあんなに息巻いといて捕まったのかよ!」


 完璧に捕らえられてますよねコレ。 時間的にはまだそんなに経ってないはずなんだが、つまり瞬殺されたって事か。


「女神様しっかりしてくれよ! だーもうくそ追いかけるしかねーのな!」



 たった今何とか逃げ切った集団を今度は追いかけなければならない。 滑稽にもほどがある、しかしザリアを見捨てる事は出来ない。 追いかけようか悩んでいると、内ポケットの指輪が服の上から見えるくらい光った。 これは、まさか、ヘルヴェル様のヘルプ来たか!?


(あー、あー、サカキ様聞こえますかー?)


「聞こえてます! いや本当絶妙なタイミングでした!」


(何の話かは分かりませんが、古竜の死骸の買取について、金額が確定したのでお支払いしようと思ったので連絡しただけですよ?)


 そういえばそんなのあったな、けど今はそれどころじゃない!


「それよりもザリアが大変で…」


(それよりも、ですか? 私の用事よりザリアの方が大切ですか? そんなはずありません。 ですのでまずお支払いさせていただきます。 金額の詳しい結果は同封しておきます)


 頑固だなヘルヴェル様! ザリアの日頃の行いが悪すぎたのか!? こういう所でツケが来るとは俺も思いもよらなかったわ!


「分かりました! なるべく早くお願いします!」


(それは良かった! では今すぐ転送しますね)


「い、今? それに転送って…… うわっ!」


 突然何もない空間から紙が大量に降って来た。 よく見ると数字と細かいデザインが書き込まれており、こちらの世界の紙幣だと推測できる。 集めてみると100枚前後あった。


(それはこの世界での通貨です。 単位はそのままゼイラードですが、一般的には、ジィ、のように発音するのが普通らしいです。 あと、貴方の世界でのドルと大体同じですね。 1円が1ジィでほぼ大丈夫です)


 ジィって、それGだろ。 なんだか定番すぎるけど、意外とこんなもんだったりするんだろう。 って、そんなのはいいんだってば!


「教えてくださりありがとうございます! ですが、今は緊急事態でして……!」


(……一つ言い忘れてました。 サカキ様、大事な話ですのでよくお聞きください)


 声音から真剣さが伝わる。 年上の人に怒られるみたいな雰囲気がビシビシするのは気のせいであってほしい。


(この通信は本来非常用の物です。 そして、私が手を貸す事も原則禁じられてます。 たとえ二人のうちどちらかが死亡したとしても、私にはどうしようもありません。 ですので、私に手助けを期待するのは無駄ですよ」


「………………」


 神様ってのは薄情だ、とは思わない。 むしろそれが普通だし、ヘルヴェル様は優しい部類に入ると思う。 けど、それとこれは別だ。


「死亡なんてしません。 俺はザリアを守りますし、俺はザリアに守られます。 ヘルヴェル様が心配するような事態は、絶対にありません!」


 手助けを求める側に常にいると思われるのは、少し癪だ。 神様に祈るだけの俺はもっと癪だ!


(それは何より。 では、貴方達の旅に幸がありますように。 …………それから、私から初心者の貴方に特別にアドバイスを。 一回だけですよ。

 そこの街の名は《ノット・ノウン》、通称『結び目』と呼ばれるゼイラードでも有数の治安の悪い街ですが、金銭のやり取りに関しては厳格な所です。 困ったら『金銭の流れ』に注意してみてください。 それでは、私はこれで失礼します)



 ……うーん、折角威勢良く啖呵を切ったのに、ヘルヴェル様、良い神様すぎる。 なんやかんやザリアの事が心配なのだろう。 ザリアも愛されてるな。 そしてヘルヴェル様は余計なお世話を素でやっちゃうタイプと見るが、今回のアドバイスは本当に助かる。 これで大分作戦が建てられた。

 内容は、①金を使い、『流れ』を探す。 ②『流れ』の上流、流れ出す所が領主と関係のある金だ。 そこから領主の居場所を突き止める。 ③隙を見計らってザリアだけ回収して逃げる。


 そんなに悪くない作戦だが、問題は時間だ。 ザリアがいつ領主に殺されるかが分からない以上、迅速な行動を心がけるしかない。 また、騒ぎを起こすと俺も捕まるかもしれない、それだけは避けるため、戦闘は無しだ。 いかんせん多人数戦に致命的に弱い。 どうにかしてスキルで補っておかなければな。


「よし、作戦も決まったし後はスキルを見繕うだけだ」


 実戦に使える戦闘系スキルを取得して、CQCの弱点を補完する。 スキルを練習する暇は無いから、即戦力になりそうなのがいいな。



 草むらに紛れて数分間スキル一覧を眺めて、そして、実際に取ることにしたのが《剣術:ナイフ》と《魔術:火》、《製作派生:魔具製作》に《隠密》だ。 これでジャスト100ポイント。 残り820ポイントか、まだ結構ある。

 即断即決した理由はこれらを選んだ理由と同じで、単純な強化をしたかったからだ。 初めは対多数戦を意識しようと思っていたが、そもそもそんな事態になったら詰みだ。 それならむしろアサシンよりのスキル構成でも有りだし、《魔具作成》が俺の思う通りのスキルなら、CQCとナイフを取った事の真価が出てくる。


「とにかく、これで『結び目』に一人で突入し、ザリアを回収する。 初っ端からスニーキングとは笑えないぜ全く」


 いざ街に向かおうと思ったが、遠目から入り口を見ると、衛兵が立っているのが見えた。


「おっと、こんなこともあろうかとさっき身ぐるみ剥いだんだよ」


 さっきの男の服を代わりに着た。 少し大きかったが、捲れば丁度良いサイズだ。 幸運な事に服の内側にナイフが数本仕込んであった。 これでナイフを調達できた。


「さて、それじゃあ行きますか」


 顔をターバンのマスクで隠し、衛兵のいる門へと向かった。

御察しの通り、シリーズだと3が一番好きです。

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