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前編


「シャベールお兄様!嫌だって言ってるでしょ!」


バタバタと階段を登り、末の妹フレアは母親のミチルダのいる部屋へと逃げ込んだ。


「チッ!」


流石は私の妹だ。私が母上に逆らえないことを知っていて逃げ込むとは!

思わず舌打ちをしてしまったではないか!


仕方ない。今回は諦めることにしよう。



私の名はシャベール・フィン・アンドリエ。24歳になる。公爵家の嫡子だ。


私の住んでいる国は オーディフェンス王国。

この世界は五つの大陸から成り立っていて、その一つヘーバンス大陸と言って4つの王国がある。私が住んでるオーディフェンス王国は4つの国の中でも一番大きい国になる。とは言っても実質国は3つなのだが、

 ともいうのも、元々オーディエンス王国、ローインデリア王国、ギィオリンク王国、カンチス王国と4つの国があったのが、約一年前にカンチス王国が戦争を吹っ掛けてきたのだ。


カンチス王国は26年ほど前にも、我が国へ戦争を吹っ掛けてきて双方にかなりの犠牲者が出た戦争だった。その戦争は我が国は劣勢だった。当時の国王、私のお祖父様も出兵しその戦争で亡くなったのだ。その時に立ち上がったのは当時15歳だった若者五人だった。カンチス王国をコテンパにやっつけた一人が私の父でもあるダン・フィン・アンドリエ公爵。かなりの魔力を持ち、火魔法、雷魔法を駆使し一人で約二万人いた敵をほぼ全滅させたと言われている。

今でも英雄と謳われ、国民には尊敬され、他国では脅威の存在となっている。


その際にカンチス王国もかなりの打撃を受けていたのにも関わらず、20年以上かけて軍事力を回復させながら、兵士の育成もしてきたようでまた攻めてきたのだ。


我が国にも父、ダンには敵わないが強い奴らはいる。私も父上の魔力を受け継ぎ、多分父上の次には強いと思う。


父は宰相にまで出世し、国から離れることはできないので私も含め、大将を四人定めて、それ(敵陣)を食い止めに東西南北に分かれ戦った。


だが、私は思った。


『カンチス王国を滅ぼさないとまた悲劇が起こる』と。


私は妹フレアとの約束を果たすべく、自分の持ち分の所は勝利したのでカンチス王国を今度は私から攻めることにした。

私は3分の1の兵を残し、カンチス王国へと攻め込んだ。

意外にも勝利するのは簡単だった。総力を全てオーディエンスへ向かわせていたのですぐにカンチス王国は落ちたのだ。


そんなことをしたものだから私も「英雄」と言われるようになった。

なんとも迷惑なことだ。


カンチス王国は一応存続はさせているが、オーディエンス王国の領土ともいえるのだ。今のカンチス王国を治めているのはオーディエンス王国の第三王子リンクス様だ。その右腕として我が弟ギオレットがついている。そして補助役として、父上と共に戦った英雄の一人サンブリエ大公爵候がついていてくれてる。

少しずつだが三人が頑張っているお陰で、カンチス王国も落ち着いてきていると聞いている。



こちらはと言うと、末の妹フレアがとうとう私の親友でもあり、フレアの婚約者のローランの元へと行ってしまった·····


くそっ!ローランめ!結婚をするでにはまだ三年はあるのに婚前生活をするだなんて!


私は····私はフレアとの一緒にお風呂を入る為に頑張ったのに!

毎日一緒入る予定だったのに!

親友とは言えど憎くて仕方がない!


私には六人の弟妹がいる。すぐ下から、ギオレット、ノーレン、アンナ、リリアン、フレア、そして産まれたばかりの弟ダシャン。七人兄妹だ。


·····子沢山だ。うちの両親はまだまだ現役のようだ。特に父上。最近は母上の目の下の隈がひどい気がする。腰をトントンする日も多くなっている気がする。父上····頑張り過ぎだと思う。まあ、側妻三人全てと離縁したから一身に母上が愛を受けているのだろう。



そんなことはさておき、妹の中ではフレアが可愛くて仕方がない。ノーレン→どうでもいい。アンナ→まあまあ可愛いかな。リリアン→うっとうしい。フレア→激可愛い。


フレアとダンシャン以外の兄妹は全て父上に似ている。父上はかなりの美男だ。42歳の人間とは思えないほど若々しい。今でも英雄という名称を除いてもモテる。側妻、愛人と別れたと知った貴族らに結婚の申し込みもきている。

だが、今は母上しか目に入ってないらしく全て断っている。


その血を受け継いでいる我々もモテる。私も父親譲りの銀髪に濃い青色の目。日々女性にお誘いを受ける。そして日々違う女性のお相手をしている。

うん?女性にだらしないって?この世界では普通のことなのだよ。性には寛容なのだ。生娘のままで結婚する方が希少なのさ!


フレアとダシャンは母上に似ていて平凡な顔をしている。母上は癒し系だ。フレアもそれを受け継いでいる。母上やフレアといると腐っていた心も和らぐ。

母上のもうひとつの特徴は何より巨乳なところだ!妹達はその巨乳を見事に受け継いでいた。妹達はそれぞれに相手がいて行き遅れはなさそうで一安心だが、フレアはちょっと早すぎると思うんだ!


ノーレンもアンナも既に家を出ている。リリアンも週の半分は相手の家に行っている。賑やかった我が家も今はダシャンの泣き声しか聞こえない。

今はダシャンがいるのでちょくちょくと妹達は実家に帰ってきている。


フレア·····兄は寂しいのだよ····だから一緒にお風呂に入って癒しておくれ。


そう言って今日もお願いしたら冒頭の状況になったのだ。


私は諦めて····一旦だけどね。自分の部屋へと戻ろうとした時に運悪く、父上に出くわしてしまった。


「シャベール。」


「はい······」


「前にも言ったが、そろそろ結婚相手を決めろ。周りがうるさいぞ。」


「分かっております。」


父上はそれだけ言うと母上の部屋へ向かって行った。

私はそのまま自分の部屋と向かった。


部屋に入る前にメイドに紅茶を持ってくるように頼んで椅子に座った。


「ふう。」


ため息しかでない。

英雄と周りに言われるのも不本意だが、その英雄に····しかも公爵家に嫁入りをさせようとする輩が後をたたない。

もちろんご令嬢からもアプローチがくる。

父上や母上の所にも話が沢山いっているらしく、恋人の居ない私にはなかなか断るのが困難な状況になってきている。ましてや24歳。我が国での男性は18歳~20歳で結婚する人が多い。因みに女性は16歳~18歳。それを過ぎすると行き遅れと言われている。

だから最近は父上も母上も断るのも限界だから、さっさと結婚しろと言ってきているのだ。

父上も母上も政略結婚はさせたくないと、今まで一切お見合いの話とは持ってこなかった。

今も、早く結婚しろっと言っているが、お見合いの話は持ってこない。

だがとうとう先日、


「シャベールよ、お前がいい人が見つからないのであれば、こちらが結婚相手を決めるぞ」


と父上に宣言されてしまったのだ。


·····それは嫌だ。だがなかなか見つからない。好みは今まで会ったことはないが顔は平凡で胸が大きくて癒し系。できれば背は小さい方がいいな。フレアも母上も背は小さい方になる。160センチはない。この国の女性の平均身長は160~170センチなのだ。男性は175~185センチが平均になる。因みに私は185センチだ。


理想は母上とフレアを足して2で割っているのような人だ。

探してはいるがこれがなかなか見つからない!

どこにでもいそうなんだが。


部屋のドアをノックするのが聞こえ、入るように指示した。メイドが紅茶を持ってきてテーブルの上にティーカップを置く。


「ありがとう。」


私はにっこりと笑いお礼を言った。するとメイドは顔を赤くして


「シャベール様、シャベール様宛にお手紙が来ておりましたので持って来て参りました。」


そう言ってテーブルには一通のお手紙が置いた。私はもう一度お礼を言うとメイドは部屋から出て行った。

そしてその手紙を手に取る。


「何だ?」


裏を見ると差出人は同級生のアルフレッドからだった。


手紙をペーパーナイフで封筒を開けて中身を取り出す。


内容は所謂同窓会の招待状だった。


日時は一週間後だった。アルフレッドの屋敷でするらしい。

ローランと私が主役だから必ず来ること!と書いてあった。


同級生に英雄が出たので皆で祝いたいとのこと。

15歳からは特待生で騎士団に混じって訓練とかしていたから学校はあまり行っていないので同級生と言われても知らない人の方が多いであろう。

面倒だがローランが行くなら行こうか。


その日の夜、ローランはフレアを迎えにアンドリエ家にやってきた。


「ローラン、ちょっといいか?」


「シャベールいたのか?てっきり何処かの女性達としけこんでるかと思ってたよ。」


さらっと嫌みをいうな。


「そういうお前は仕事だったみたいだな。ご苦労様。」


こちらも嫌みを返す。

そう、ローランが仕事だからフレアは実家に帰ってきていたのだ。


邪魔なローランが居ないから、フレアと一緒に入るチャンスだったのに!


『シャベールお兄様!水曜日に一緒に入ったでしょ!約束は週に一回ですわよ!』


と言って入ってくれなかった。私は週に二回と言ったのに····。


ローランはムッとした顔になった。


「で、シャベール用事は何だ?」


「ああ、これを見てくれ。お前の所にもいっていると思うが。」


私はアルフレッドからきた招待状を見せた。


「同窓会!?」


ローランも驚いている。まっ、当然か。


「ローランは行くのか?」


ローランは少し考え込み


「うーん。この日なら大丈夫だ。シャベールは?」


「そうだな·····面倒くさい。」


ローランは苦笑しながら諭す。


「アルフレッドが私とお前が主役だとか書いているぞ。せっかく企画をしてくれたんだ。行かないといけないだろ。」


ローランが行くなら私も行かない訳にはいかないな。


こうして同窓会·····と称した祝賀会に出席することになった。




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



私とローランは一緒に馬車に乗り行くことになった。

フレアも婚約者だから来ると思っていたが来ないと言った。


「同窓会!?行きませんわ!私が行っても面白くないです!女性に睨まれるのが落ちですわ!」


フレアは青い顔をしてブルブルと頭を振った。

そして最後にボソッと


「ローランの同級生の女どもはこえーんだよ」


うん?声が小さくてよく聞こえなかったけど、何かフレアじゃない言葉使いが聞こえたような······?


「アルフレッドとも久しぶりだな。」

「そうだな。だが私はアルフレッドの子供が産まれた時に呼ばれてフレアと行ったけどな。シャベール、お前は来なかったな。」


「ああ色々と忙しくてな。」

面倒くさかっただけだが。


「よく言うよ。女の所だろ?」

ローラン、よくわかってるな!

私はニヤリと笑った。

「女性が、私を離さなかったんだよ。」



「シャベール!ローラン!よく来てくれた!」


アルフレッドの屋敷に着き、執事が同窓会会場へと案内をしてくれた。見事な庭園を通り会場に入るとアルフレッドが待ち構えていた。


「シャベール様よ!」

「ローラン様もいる~!」


結構な人数が集まっている。

少し驚いている私達にアルフレッドが寄ってきた。


「皆、お前達に会いたくて集まっている。一応同級生全員に招待状送ったからな!感謝しろよ!」


同級生全員か。相変わらずお祭り好きなやつだ。アルフレッドは昔から集まるのが大好きだった。アルフレッドの人懐っこい性格に皆が好いて、いつも周りに人がいて騒がしかった。


「シャベールは本当に久しぶりだな!招待状はいつも送っているのにいつも欠席だもんな!」


アルフレッドがバンバンと肩を叩いてくる。


「まあな。忙しくしていたからな。」


「今回はシャベールとローランの勝利のお祝いだからゆっくりしていけよ!」


そう言ってローランと私に壇上に上がるように促してきた。

私は少しため息をつき壇上へ上がる。


ローランと私が壇上に上がったのを確認するとアルフレッドが祝辞を述べる


「我が同級生のローランとシャベールが先の戦争で無事我が国を勝利に導き英雄となった!皆の者!感謝とお祝いを込めて乾杯をしようではないか!」


わあっと拍手が鳴り響く。


アルフレッドはグラスを片手に高く上げ音頭をとる。


「乾杯!」


「「「「「「「かんぱーい!」」」」」」」


それからは私とローランの周りには沢山の人だかりができた。

私は色んな人から祝辞や誉めの言葉を貰った。その対応が大変だった。

そんな中、ふと視線をずらすと一人だけぽつんといる女性がいた。


「???」


その子はこちらには見向きもせず、テーブルにある料理を食べている。少し移動しては違う料理を取って食べている。


········。


気になる·····。フレアみたいだ。フレアは食に関しては貪欲で、夜会などにいくといつもすぐに料理のテーブルへと向かう。


それよりも同窓会と銘打っているが、実際は私とローランの祝賀会。なのに此方に来ずに料理のテーブルから離れないなんて気になるではないか!


私はどうしても気になり周りの祝辞なんて耳に入らない。

フレアに少し似ている気がする。フレアは母親譲りの赤い髪の毛だが、その子は赤茶色の髪の毛をしている。


あの子の所へ行ってみよう。


そう思い行動をした。


「ちょっと失礼。」


私は人だかりをかき分けて、そこ子の所へ向かう。

ローランや周りにいた人達も何事かと振り返った。


その子は料理に夢中なのか此方に気づかない。

ガツガツ食べている。 思わずクスリと笑ってしまった。

その子の所へ着き、あと一メートルまで近づいた時にようやく気付き顔を上げてこちらを見る。 


決して綺麗とは言えない顔をしていた。どちらかと言うと10人中9人は不細工と言うであろう。目は一重で綺麗な紫色をしている。顔には少しそばかすもあった。少し幼い気がする。女性というよりは女の子と言う方が合うかもしれない。誰かの連れなのか?

ドレスは····というよりか母上位の年代が着るような濃い青のシンプルなドレス····ドレスというか普段着?


だがその素朴差が私の興味を引いた。


母上とフレアの両方の匂いを感じる·····


私はとびっきりの笑顔で挨拶をした。


「やあ、私の名前はシャベール・フィン・アンドリエと申し···『ぎゃあーー!!』」


自己紹介の最中に悲鳴をあげられた!


「ぎゃあーー!!」?


私は驚き固まる。


その子はそっとテーブルに持っていた皿やフォークを置いた。

そこはガッシャーンと落とすところだと思うが····なかなかやるな!


そしてもう一度「ぎゃあーー!!」と叫び、そのまま走って私の横をすり抜けて去って行った。


私は突然のその悲鳴に身体が動かないでいた。


····え!?逃げられた??


私は生まれてこの方、話かけて

「きゃあ♪」と言われたことはあっても「ぎゃあーー!!」と悲鳴をあげられて逃げられたことなどない!


私は走って去って行く女の子を呆然と見ていた。


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